中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

リビア

リビアの石油生産の停止

アラビア語メディアは、リビア国家石油庁がリビア東部の石油生産と輸出を停止したと、2日発表したと報じています。

これはhaftar の軍が石油の三日月地帯を制圧し、石油施設をその支配下に置き、その管理権を国家石油庁から、自己の支配下のベンガジの石油庁に移したことに対するものの由。
声明はさらに、al hariqaとal zuweitina の2港からの石油輸出停止にカイロ条項(不可抗力で石油輸出ができなくなった場合の条項)を適用すると発表したが、国家石油庁は前にシドラとラアスラヌーラの2つの港に関し、カイロ条項の適用を表明していて、これで三日月地帯からの石油輸出が全面的に停止することとなった由。

これでリビアの原油生産日量85万バレルと天然ガス7億1000万立方メートルが停止し、6740万USドルの収入を失うことになる由。

なお、1週間前にhaftar将軍は、石油の三日月地帯制圧を声明したが、米英仏イタリアはリビアの石油情勢に対する懸念を表明し、リビアの石油、輸出、その収入はすべてのリビア人のものだとして、国際的に承認された統一政府に属する国家石油庁の管理に属すべきだとした由。

http://www.alquds.co.uk/?p=966025
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/7/2/بسبب-حفتر-تعميم-القوة-القاهرة-بالهلال-النفطي

イランの石油をめぐる「石油戦争」(昨日報告済み)に加えて、リビア石油をめぐる争いが、今後国際石油市場に影響を与える可能性も強く取りあえず。

リビア問題に関するパリ会議

マクロン大統領がリビア問題の政治的解決のために、紛争当事者4者の他に、19ヵ国代表、4国際機関代表を集める野心的な国際会議を開催する由にて、29日には早速エリゼ―宮で次の4名と会談した由。

  • 統一政府首相:faiz alseraj
  • 軍司令官:kahalifa haftar
  • トブルク議会議長:akila saleha aisa
  • トリポリの国民評議会議長:khalid al mashali
 (これらの並べられた順番は、いずれの報道も同じで、おそらくは彼らの重要度の意識を反映しているのか?)

アラビア語のメディアの中では、al sjarq al awsat が、faiz首相顧問が4者は29日、リビアの占拠をこの12月10日に行うことで合意したと語ったと報じています。

これに対して、al arabia net はそのような報道があると紹介しつつ、今回パリでの会議も現地では楽観的には受け止められてはおらず、結局は現地における今後の状況の進展が、リビアの行くへを決めるであろうとコメントしています。
またこのal arabiya はサウディ系のメディアで、haftar及びトブルク議会支持のサウディの意向を反映してか、リビア問題の難しさはリビアの西部の民兵組織がfaizと同盟して、政治的解決を阻害してきたと、悲観的なコメントをしています。

http://www.alquds.co.uk/?p=944000
https://aawsat.com/home/article/1283656/%D8%A7%D9%84%D9%81%D8%B5%D8%A7%D8%A6%D9%84-%D8%A7%D9%84%D9%84%D9%8A%D8%A8%D9%8A%D8%A9-%D8%AA%D8%AA%D9%81%D9%82-%D8%B9%D9%84%D9%89-%D8%A5%D8%AC%D8%B1%D8%A7%D8%A1-%D8%A7%D9%86%D8%AA%D8%AE%D8%A7%D8%A8%D8%A7%D8%AA-%D9%81%D9%8A-10-%D8%AF%D9%8A%D8%B3%D9%85%D8%A8%D8%B1
http://www.alquds.co.uk/?p=944000

未だこの国際会議は始まってもいないので、どうなるかは今後の問題かとも思いますが、上記の通り12月10日に選挙を行うことで合意、との報道が流れる可能性もあるので、念のために報告しておきます。
それにしても、マクロンの仏はシリアと言い、サヘル諸国と言い、リビアと言い、最近とみに積極外交をしていることが注目されます。

トリポリでのテロ(リビア)

リビアでは南部におけるISの再編、活動の強化が報じられていましたが、今度は首都トリポリにおけるテロです。

トリポリでは、2日、国家最高選挙委員会が4人組に攻撃され、先ずは彼らは銃撃をしたうえで2人が建物の中で、自爆したとのことです。
このテロで15名が死亡し、19名が負傷した由。
男たちは「神は偉大なり」とISのスローガンを叫んだ由にて、またISのアアマーク通信も、事件がISの戦士により行われたと報じている由。

この事件は、国連、アラブ連盟、EU,アフリカ連合の4者が、本年末までのリビアでの総選挙と政治的解決への努力を支持すると表明した2日後に行われたもので、リビアでの総選挙を阻止するのが目的と見られている由。
ま、当然のことでしょうが、リビア国内、国際社会からはテロを非難する声が相次いでいる由。
因みに、最近おトリポリでの騒動は、各派閥の武装勢力による対立、衝突で、この種テロは久しくなかったものです。

以上は事実で、その点に問題はないと思いますが、al qods al arabi netは、リビアの観測者の中には、テロの背後には例のhaftar将軍と、彼の支持者たちの総選挙を喜ばない勢力があるとみている者がいると報じていることです。

それによると将軍はテロの数日前に、選挙の重要性を否定し、現時点での選挙がリビア国民の声を反映するとも思われず、リビアの統一と安全は軍が確保すると語った経緯があるとのことです。
(この将軍の発言が事実であれば、実力者軍人の本音が出たのかもしれません。因みにこのメディアはパレスチナ系で、al jazeeraの様にカタール系で、将軍と対立している系統ではありません)。

http://www.alquds.co.uk/?p=927627
https://www.alarabiya.net/ar/north-africa/2018/05/03/محللون-هجوم-طرابلس-رسالة-واضحة-لتعطيل-الانتخابات.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/5/2/هجوم-طرابلس-هل-يجهض-فرص-الانتخابات-بليبيا

何が真実か不明ですが、リビアは矢張り百鬼夜行の感がしますね。

リビアでの奴隷売買

リビアが、IS等のイスラム過激派の巣窟になっていることは、国際社会で周知の事実で、また同国がアフリカから欧州への難民(または非合法移民)の出発点になっていることも周知の事実でした。
また、これら難民を輸送する密輸業者が、多数の難民を危険な船に押しこめて、彼らを送り出し、多数の難民が遭難死した事も周知の事実でした。

然るに、これまでほとんど報道もされていなかった問題として、これら難民の窮状に付け込んで、彼らを奴隷としてリビアで売りさばく市場の存在があるようです。
本日も、CNNは現地レポートとして、女性取材者の潜入取材の画像を流していましたが、al qods al arabi net 及びal arabiya net は、このレポートがリビア内外で、深刻な反響を呼び、リビア当局に対して、至急断固たる措置をとるようにとの要求が高まっていると報じています。

但し、双方のネットは、この4月にも国際移民機構がリビアにおけるアフリカ人奴隷の売買について注意を喚起した時には、リビアの関係者はそのような事実はないとして、事実関係を否定したとのことで、また今回も、リビア当局(そもそもリビアにそんな代物があるのか、はなはだ疑わしいが)は彼らに責任はないと回答したものもいるとのことです。

記事によると、奴隷市場のあるのは9の都市とのことで、al arabiya netの地図によれば、それらはgadams、kabani、al zintan、caryan 、castelverde、sabrata、zuwara、alruban で、いずれもリビアの西に位置しています。(リビアの東部にはこういう奴隷市場がないのかは不明です、alarabiya net はどちらかというとトブルク政府とhaftar将軍等の東部勢力支持ですので)
これらアフリカ人は、労働者、農場労働者などとして売られ、一人当たり数百ドルの由。
また活動家によればチュニジアにも若い娘や児童を売る市場がある由。
またセラージュの率いる統一政府が、奴隷売買に関係しているとして悪名高いans al dabbasi部隊と、欧州への密航者の取り締まり強化について協定を結んだとして、活動家が非難している由。

http://www.alarabiya.net/ar/north-africa/2017/11/18/صدمة-في-ليبيا-أسواق-لتجارة-العبيد.html
http://www.alquds.co.uk/?p=827867

これら報道の信憑性については判断の材料は勿論ありませんが、午後見たCNNの潜入取材の画面はそれなりに、信憑性を感じさせるリアルなものでした。
これまでもモリタニアとか北アフリカの各地で、、奴隷が今でも存在しているという報道は、断片的ですが時々見かけられ、おそらくはリビアでもアフリカからの難民の窮状に付け込んだ悪質業者のやっていることで、このようなことが行われていることは、完全には否定できないところだろうという気がします。

それにしても、これまで国際社会は、ISの北イラク等におけるヤズディ教徒女性の奴隷売買にショックを受けていましたが、欧州の玄関先のリビアでも、同じようなことが行われていることに対して、どう対処しようとするのでしょうか?
このような問題をなくすためにも、また過激派のテロを防ぐためにも、矢張りリビアの治安回復が急務なのでしょうが、それがいつになったら実現するのか、はなはだ心もとないところです。

米総領事館に対する攻撃(米大使の死亡?)

ベンガジの米総領事館への攻撃で、米館員1名が死亡したというニュースは先にお伝えしましたが、どうも事件はそこで終わらずに。米大使の死亡の可能性が出てきたようです。

これは al arabiya net と y net news ,haaretz net が報じているところですが、まだ詳しい情報は出ていませんが、これらの報道によると駐リビア米大使と3名の米大使館員が死亡したとベンガジの当局者が語ったとのことですが、大使等は領事館内にいたのか、大使車内にいたのか不明とのことです。

al arabiya net は大使は窒息死の模様であるが、他方ベンガジの当局者は同放送に対して未だ遺体が発見されていないので、大使の死亡は確実では無いと語ったとのことで、まだ情報は混乱していますが、事実とすれば米国と中東の関係にとり重大な事件となリ得るので、取り敢えず

http://www.alarabiya.net/articles/2012/09/11/237447.html
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4280465,00.html
http://www.haaretz.com/news/middle-east/u-s-ambassador-to-libya-three-staff-killed-in-benghazi-rocket-attack-says-libyan-official-1.464509
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