中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

リビア

リビアでの奴隷売買

リビアが、IS等のイスラム過激派の巣窟になっていることは、国際社会で周知の事実で、また同国がアフリカから欧州への難民(または非合法移民)の出発点になっていることも周知の事実でした。
また、これら難民を輸送する密輸業者が、多数の難民を危険な船に押しこめて、彼らを送り出し、多数の難民が遭難死した事も周知の事実でした。

然るに、これまでほとんど報道もされていなかった問題として、これら難民の窮状に付け込んで、彼らを奴隷としてリビアで売りさばく市場の存在があるようです。
本日も、CNNは現地レポートとして、女性取材者の潜入取材の画像を流していましたが、al qods al arabi net 及びal arabiya net は、このレポートがリビア内外で、深刻な反響を呼び、リビア当局に対して、至急断固たる措置をとるようにとの要求が高まっていると報じています。

但し、双方のネットは、この4月にも国際移民機構がリビアにおけるアフリカ人奴隷の売買について注意を喚起した時には、リビアの関係者はそのような事実はないとして、事実関係を否定したとのことで、また今回も、リビア当局(そもそもリビアにそんな代物があるのか、はなはだ疑わしいが)は彼らに責任はないと回答したものもいるとのことです。

記事によると、奴隷市場のあるのは9の都市とのことで、al arabiya netの地図によれば、それらはgadams、kabani、al zintan、caryan 、castelverde、sabrata、zuwara、alruban で、いずれもリビアの西に位置しています。(リビアの東部にはこういう奴隷市場がないのかは不明です、alarabiya net はどちらかというとトブルク政府とhaftar将軍等の東部勢力支持ですので)
これらアフリカ人は、労働者、農場労働者などとして売られ、一人当たり数百ドルの由。
また活動家によればチュニジアにも若い娘や児童を売る市場がある由。
またセラージュの率いる統一政府が、奴隷売買に関係しているとして悪名高いans al dabbasi部隊と、欧州への密航者の取り締まり強化について協定を結んだとして、活動家が非難している由。

http://www.alarabiya.net/ar/north-africa/2017/11/18/صدمة-في-ليبيا-أسواق-لتجارة-العبيد.html
http://www.alquds.co.uk/?p=827867

これら報道の信憑性については判断の材料は勿論ありませんが、午後見たCNNの潜入取材の画面はそれなりに、信憑性を感じさせるリアルなものでした。
これまでもモリタニアとか北アフリカの各地で、、奴隷が今でも存在しているという報道は、断片的ですが時々見かけられ、おそらくはリビアでもアフリカからの難民の窮状に付け込んだ悪質業者のやっていることで、このようなことが行われていることは、完全には否定できないところだろうという気がします。

それにしても、これまで国際社会は、ISの北イラク等におけるヤズディ教徒女性の奴隷売買にショックを受けていましたが、欧州の玄関先のリビアでも、同じようなことが行われていることに対して、どう対処しようとするのでしょうか?
このような問題をなくすためにも、また過激派のテロを防ぐためにも、矢張りリビアの治安回復が急務なのでしょうが、それがいつになったら実現するのか、はなはだ心もとないところです。

米総領事館に対する攻撃(米大使の死亡?)

ベンガジの米総領事館への攻撃で、米館員1名が死亡したというニュースは先にお伝えしましたが、どうも事件はそこで終わらずに。米大使の死亡の可能性が出てきたようです。

これは al arabiya net と y net news ,haaretz net が報じているところですが、まだ詳しい情報は出ていませんが、これらの報道によると駐リビア米大使と3名の米大使館員が死亡したとベンガジの当局者が語ったとのことですが、大使等は領事館内にいたのか、大使車内にいたのか不明とのことです。

al arabiya net は大使は窒息死の模様であるが、他方ベンガジの当局者は同放送に対して未だ遺体が発見されていないので、大使の死亡は確実では無いと語ったとのことで、まだ情報は混乱していますが、事実とすれば米国と中東の関係にとり重大な事件となリ得るので、取り敢えず

http://www.alarabiya.net/articles/2012/09/11/237447.html
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4280465,00.html
http://www.haaretz.com/news/middle-east/u-s-ambassador-to-libya-three-staff-killed-in-benghazi-rocket-attack-says-libyan-official-1.464509

リビアの首相選挙

リビアの首相選挙は12日議会で行われることになっていることは先日お伝えしましたが、6日付のal qods al arabi net は、この選挙に8名の立候補者があると報じています。

そのうちの1名はリベラル派連合指導者(確か移行評議会の下で一時首相を務めていたかと思われる)のmahmoud jibrilとのことです。
もう一人は現電気大臣でスラム主義者のaudh al baraasiとのことです。
また現副首相でイスラム主義に近いとされるmustafa bu shaqour も立候補している由。

リビアの国会は定員200名のうち、80名が政党に割り振られたが、残りの120が独立というか個人に割り振られたため、現在のところ必ずしもその政治的色あいが不明で、この首相選挙の結果が議会の動向を見極めるうえでも重要とのことです。

http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-09-06-15-14-57.htm

内務省前での車爆弾(リビア)

リビアでは選挙後も治安情勢は大きく改善はされていないようですが、19日付のal jazeera net とal qods al arabi net は、19日リビアの首都トリポリで2件の車爆弾事件があり(al qods l arabi は3台の車に仕掛けられた爆発物としている)、2名死亡、数人が負傷したと報じています。
最初の事件は内務省の前での車の爆発で、2番目は昔の警察学校で現在容疑者の尋問所として使われて建物の前とのことです。

記事の要点は以上で、犯行声明等はない模様で、誰の犯行かは不明ですが、内務省を狙った犯行として極めて政治色が強いことが注目されます。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-08-19-06-44-34.htm
http://www.aljazeera.net/news/pages/66220aad-8aef-49c8-b299-817ba6ba4385?GoogleStatID=9

リビア情勢(反カッダーフィ陣営の内部対立)

最近反カッダーフィ陣営内の対立(特に旧政権から移ってきたものとイスラム主義者との間の)が云々され始めましたが、13日付の al jazeerah net はこの問題に関して、2の記事を載せています。

双方とも革命軍、またはイスラム主義者と国民評議会との間の確執に関するものですが、その対象はどちらの場合も執行機関の長の jubril です。

1はリビアのイスラム指導者で世界イスラム学者連盟の aly al salabi の同放送への発言で、リビア人は誰も jubril を支持していなく、誰も彼を尊敬していないので、彼は辞職すべきだというものです。
記事によれば、salaby は jibril 及びその周辺の人間は、リビアに独裁政治を導入しようとしているが、リビア人民はは5万人の血で開放を勝ち取ったもので、この民主主義の時代には自分で自らの国を作れると語ったとのことです。

http://www.aljazeera.net/NR/exeres/65234A0E-B96F-4B31-A340-313D80EAE9A9.htm?GoogleStatID=1

2は同じ日付の別の記事ですが、こちらの方は independent および los angel times を引用して、トリポリの軍事評議会指導者 abdel hakim belhaji と jubril との対立が嵩じて、ついに前者が後者の記者会見をボイコットする事態にまで至ったと報じています。
記事は belhaji の報道官が、誰ひとり jubril を必要としていないし、尊敬してもいない、トリポリは我々自身が解放したもので、誰も新しい独裁者を必要としていないと語ったとのことです。また、リビア国民が犠牲を払いつつ戦っていた時に、彼は外国にいたとも語ったとのことです。

http://www.aljazeera.net/NR/exeres/18F2BC88-CBAD-4A8B-8517-C2334244D46D.htm?GoogleStatID=9

何しろこれまでリビアの中でどういう勢力があって、それがどういう関係を作っていて、また特にその後のカッダーフィとの戦いの中で、反カッダーフィ陣営の中で、どのような勢力がどのような連合、敵対関係を作っていたかも全く無知なので、これらの記事の重要性については、判断しかねるというのが正直なところです。

しかし、ざっと読んでみた限りでは、相当深刻で、今後のリビアの情勢に大きな影響を与えそうな気がします。
どうも、問題は世俗主義者 対 イスラム主義者、現実に武器を持って戦った者 と ベンガジなど後方で直接戦闘に参加しなかった者、という2の対立軸があるような気がします。またこの2つの軸が微妙に絡まっているような気もします。

核たることも言えずに申し訳ないが、今後より詳細な情報が集まってくると思います。取り敢えず。
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