中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

リビア

リビア首都で続発する暗殺事件

al arabiya net は、最近リビアの首都トリポリで、治安関係者とか民兵幹部とかの暗殺が相次ぎ、民衆の間ではリビア情勢が再び、武装勢力間の無秩序な殺し合いに逆戻り得るのではないかとの恐れが高まっていると報じています。

記事によると最近の暗殺事件は、

・24日の麻薬対策対策部隊の司令官。
・18日の特別対応部隊幹部2名の誘拐と殺害。
・その1週間前、内務省の安全局(諜報部か)の司令官の暗殺。
・16日民兵の「トリポリ革命隊」幹部一人の暗殺。
・その数日前のリビア軍士官の暗殺。

等があるが、これらはいずれも銃によるもので、同じような手口だが、誰の仕業か、犯行声明もなく、また政府からも説明はない由。

さらに問題は、このような連続暗殺が、国連の調停で、統一政府と各種民兵との間で、民兵は重要政府庁舎や施設から撤退し、内務省とかの政府軍のみがその警備にあたることで合意ができた直後から発生していることの由。

リビア・アルジェリア関係

確か、若干前のことになりますが、リビアの実力者haftar将軍が、アルジェリアがその軍の一部をリビア内に進駐させているとして戦争も辞さないなどと強硬な発言をしたことをご紹介したかと思います。

何しろアルジェリアは兵員50万を擁する域内随一の軍事大国ですから、haftarは何を血迷ったのかとのコメントをしたかと思います。

アルジェリアの方でも公式の反論などと言うことはなく、報道機関を使ってアルジェリア兵のリビア内存在を否定する形で適当にあしらい、一件落着と思っていました。

そうしたら、al jazeera net は、haftar将軍は21日、彼の部隊のベンガジ掃討作戦(確かベンガジではベンガジ革命評議会の戦闘員…アルカイダ等の過激派を含むイズラム勢力が中心…に対して、4年に渡り彼の部隊がその掃討作戦を進めていて、これに対してエジプトとかUAEの空軍機が実際の空爆に参加する等の支援をしているという噂が絶えなかった)で、エジプト、UAE、ヨルダン、アルジェリアが軍事的支援をしたと語ったと報じています。

それ以上の詳しい情報はありませんが、ベンガジの戦闘では数千人が死傷した由。

このように、ベンガジ作戦で軍事的支援を受けたアルジェリアと、haftar の間で何があったのかは依然不明ですが、先ほどのトリポリでの戦いと言い、リビアの情勢は滅茶苦茶の印象を受けているので、一つの証左として。

それにしてもベンガジでのエジプト、UAE、ヨルダン、アルジェリア等の軍事的支援は彼らは隠しておきたかったはずですが、なぜ今になってhaftarがそんな昔の話を暴露したかも不明です。

リビア情勢(大統領評議会の国際社会への呼びかけ)

リビアの首都トリポリで戦闘が断続的に続いていることは、先に報告しましたが、アラビア語メディアによると、戦闘は18日に再開され、19日夕から激しくなり、21日にはこれまでで最も激しい戦闘があったとのことです。

この戦闘に関し、政府の負傷者部(そんな機関があるのですかね?)によると、8月以来の戦闘で、96名が死亡し、444名が負傷し、うち306名が重症から中程度の負傷とのことです。
戦闘は相変わらずタルフーナの民兵とミスラタの民兵が中心で、空港道路等で行われている由。

この戦闘に関し、統一政府(国際的に認知されている政府)の大統領評議会(議長がセラージ)は21日の声明で、国際連合、そのリビア代表等に対して、リビア問題について、民衆を守るために、より具体的で断固たる措置をとり、安保理をしてリビアの現状に直面させるべきであるとした由。

声明はまた、特定のグループ等を名指しすることなく、戦闘に参加している全てのグループに対して、戦闘を中止するように呼びかけた由。
(ここまでくると、リビア政府…統一政府…の混乱と無能ぶりも極まれりというところでしょうか?)

そもそも、一国の治安と安全の確保は政府の最重要な責務のはずで、その責任が安保理等にあるわけではありません。もちろん世界中にはこのような責務を果たせない政府は非常に多く、その場合には安保理等の助力を求めることになりますが、それでも国内不安定の一義的責任は政府にあり、国際機関にあるわけではありません。

勿論、外国からの侵攻や外国勢力の教唆によるテロ活動で、国内情勢が不安定になり、そのことを何度も安保理等に提訴しても、具体的な措置が取られないような場合には、安保理に責任があると思いますが、リビアの場合、基本的にISの問題はあっても国内の民兵同士の戦闘で、しかも正統政府も存在しているところですから・・・)

他方、かなり前であったか、必要に応じ適当な時期にトリポリに進軍する用意があると表明した、ベンガジのhaftar将軍は、今回の戦闘に関し、彼の部隊は関与していない、とその関与を否定し、更に適当な時期に進軍する用意があると繰り返したとのことです。
(haftar将軍の部隊が進撃してきて、短時間で制圧して収拾できるならばともかく、彼の部隊の介入は…これまで軍事的に非常に強力との印象はない…状況をさらに混乱させるだけかもしれません)

トリポリでの戦闘再開

リビアでは首都トリポリを巡り民兵間の衝突が、散発的に続いてきましたが(要するに戦闘が激しくなると、国連等が介入して停戦が合意されるが、下手すると数時間後には破られるという状況)18日、19日にかけて戦闘が再開し、19日午後からは大砲やT55戦車等も戦闘に参加し、激しい戦闘が続いている由。

戦闘は主として首都の南、空港道路方面で行われている模様で、戦闘のために航空機燃料の貯蔵庫も被害を受けた由。

また世界移民機構によると、3,825家族、1,925名が避難民となったが、その他多数の住民が家等に閉じ込められている由。

このため、国連リビア特使事務所は、声明で、総ての戦闘に参加しているグループに即時停戦を呼びかけ、住民を害する如何なるグループもその責任を免れないとした由。

また統一政府のセラージュ首相は、NYでの国連総会への出席を取りやめた由。
先にも告白した通り、リビアの状況は、具体的に誰に誰が、いかなる理由で戦闘をしていて、その背景は?等の肝心な点が不明で、また事態がコロコロと変わり状況把握は困難な状態です。

本日の上記アラビア語メディアの記事も、統一政府支持派の民兵と反対派の民兵が衝突という形で報じている状況ですので、取りあえずは不本意ながら、リビアの首都では散発的に衝突が続き、今のところ収拾の見通しもなさそうだという程度に報告しておきます。

トリポリ空港の閉鎖

リビアでは数日前から、首都トリポリで、民兵間の衝突があり、また石油庁が武装者に襲われ(ISが犯行声明を出したが、3とも6ともされた犯人は自爆?した模様)たことは報告済みですが、今度はトリポリ空港に、砲弾複数が落下する事件がありました。

事件は11〜12日の夜間におきましたが、空港当局は当初、空港の人員及び施設に影響はなく、空港は通常に運営されているとしていましたが、その後の報道では、空港にあった航空機は他の空港に移され、エジプトからトリポリに向かっていた航空機は、ミスラタ空港に回され、空港は閉鎖され、今後しばらくはミスラタ空港が代替するとしている由。

更に、al arabiya net は空港内で火災が発生したとし、alqods al arbi net は、海上に墜ちた砲弾で数名が負傷したと報じています。
現在の所、犯行声明はなく、誰の仕業かは不明の由。
以上、速報ベースの話で、詳細は不明ですが、トリポリ空港閉鎖と言う事態になると、リビアの情勢は統一政府が設立される前の、最悪の混乱時代に逆戻りした感じもあります。
取り敢えず。
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