中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

ロシア

ロシア空軍基地に対する攻撃(シリア)

アラビア語メディアは、シリアのhamimim空軍基地がロケット攻撃を受けて、ロシア機7機が破壊されたと報じています。
元のソースは、ロシアの日刊紙komrsalt(アラビアもjからの訳)が、外交、軍事の2の筋からの報道として伝えたもので、事件は昨年12月31日に起き、戦闘爆撃機SU24が4機、戦闘機SU35が2機、輸送機のアントノフが1機が最低破壊されたとのことです。
また攻撃で、10名以上の兵士が負傷した由。
ロシア国防省は、事件に関してコメントを出して居らす、ロイターの質問にも答えていない由。
この事件はロシア軍介入以来最大の損失の由。

他方、上の事件とは直接関係はないと思われるも、同じ12月31日ヘリのMI24が、技術的問題で墜落し乗員2名が死亡した由。

http://www.alquds.co.uk/?p=855106
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/01/04/تدمير-7-طائرات-روسية-في-قصف-على-قاعدة-حميميم-بسوريا.html

ロシア国防省が確認していないので、事実関係は何とも言えないが、仮に事実とすれば、ロシア軍基地のかなり近くでも反政府軍、または過激派の活動がいまだ活発であることを示すものでしょう。

ロシア軍米軍の撤収と中国軍の到着(シリア)

al qods al arabi net とal arabiya net は、ロシアの安全保障委員長が、ロシア軍は一部シリアから部隊を撤退することとなったがその準備が進んでいると語ったと報じています(ロシア部隊の撤退については、先にロシア国防省も同じことを発言していました)。
撤収部隊の規模及び種類(歩兵か空港の保守要員か空軍部隊も含むか等)は不明。

それに対して前者は更に、シリア民主軍のラッカ攻略を支援した米軍も400名が撤収すると有志連合が発表したと報じています。

上記2つの記事はシリア、イラクでISが敗北した結果ということですが、新しい動きとして前者は更に、シリア西部のタルトゥス港に中国の特殊部隊が到着したと報じています(規模は不明)。
これはロシアメディアが最近報じたものとのことで、それでは中国部隊の目的は、東部トルキスタンの過激派(要するにウズベキスタンのイスラム主義者のことかと思われる)と戦うためとなっている由。
このニュースについて、アラブの専門家は、事実であれば、一つの可能性はゴータに残存しているIS等と戦うためか(この点について、ロシア筋はゴータには東トルキスタンからのテロリストがいるとしていて、ロシアが中国に部隊の派遣を要請したとしている由)。
2つ目は宣伝目的で、ロシアが米国に対してその立場を強くしようとしている可能性、3つ目は彼らの目的がシリアに中国の基地を建設することの由。

http://www.alquds.co.uk/?p=836438
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/11/30/روسيا-تستعد-لسحب-وحدات-عسكرية-من-سوريا-.html

確かに、中国国内でもウィグルの分離的傾向を厳しく弾圧しており、またISにもウィグルからの参加者がいることから、中国軍の派遣もあり得ないことではないと思いますが、何しろ突然の話で、また事実関係等も必ずしも明確ではないようです。
もう少し様子を見る必要がありそうです。
しかし、仮に事実であるとすれば、これまで経済的なプレゼンスを除いて、中東には現実的に影響力を強化しよう(要するに部隊の派遣とか安保理でのイニシアティブとか)とはしなかった中国が、矢張り覇権国の地位を求めだしたということでしょうか?

シリアに関する3首脳会議(エルドアンの説明)

ロシア、トルコ、イランの3首脳会議については先日お伝えしましたが、hurryiet net はその結果等に関するエルドアン大統領の説明を載せています。

その中でも、注目されるのがクルド勢力(PYDとその軍事部門YPG)の扱いですが、エルドアンは、彼らはテロリストで、彼らには国民対話会議(どうやら今後の3者の斡旋による和平会議をこう呼ぶ模様です)にはいかなる場所もなく、アサド大統領もこの点では同意見(というよりもトルコよりも強い意見の由)だとしています。
またプーチン大統領もこのようなトルコの立場を理解しているとしていますが、ロシア大統領府はこのようなトルコの立場は会議の妨げにはならず、今後3国の専門家たちが参加者名簿を作っていくとしています。
(一見、妥協困難な問題に見えますが、どう解決するつもりでしょうかね?個人の資格での参加とか他のグループの一員としての参加とか、いわゆる外交的解決を図るのでしょうか?もっともロシアも米国と違い、クルドに対しては大きな同情というか共通利益は有していないと思います)

エルドアンは、クルド問題に関連して、危険な地域はafrin (現在YPGが支配している飛び地)だとしながらも、同地域に関しては元の居住者(アラブとかトルコマンのことらしい)が戻ってきつつあり、元の住民比率50%がアラブ、30%がクルド、残りがトルコマン等に近い姿に戻りつつあると語った由。

その他の点では、国民対話会議の仕事は2で、新憲法の策定と国連傘下での自由な選挙の実施とのことで、憲法に関しては現憲法の実施で良いと思っていたグループも新憲法の必要性に合意した由。

エルドアンはまた、米国が依然としてシリアで軍事力を強化し、YPGを支援し続けていることを批判した由
(最近トルコと欧米との離反のニュースには事欠かない。矢張りトルコのロシアとの接近の裏側は米国との離反ということか?)

エルドアンは、さらに2回目の3首脳会議がテヘランまたはアンカラで開かれる可能性があるとした由。

http://www.hurriyetdailynews.com/no-place-for-ypg-in-syria-solution-president-erdogan-122972
http://www.hurriyetdailynews.com/syria-congress-to-go-ahead-despite-turkey-reservations-over-ypg-kremlin-122960

3国首脳会議とその準備外相会議

ロシア、イラン、トルコの3首脳(プーチン、ロウハニ、エルドアン)は22日ロシアのソチで、シリア問題の最終的な解決を目指した協議をすることになっていると報じられているところ、al qods al arabi net とal arabiya net は、その準備のために上記3ヵ国外相が19日トルコのアンタリアで会議を開いたと報じています。
但し、会議の内容等については、現時点(20:00)では何も報じられていません。

因みに、al qods al arabi net の別の記事は、3首脳はシリア問題の最終的解決を目指して協議することになっているが、アサド政権を支持するロシア、イランとこれに反対するトルコでは、依然相互の対立が大きいとして、首脳会議で議論される問題としては、
・イドリブの過激派(ヌスラ戦線のことと思われる)を如何に掃討するか
・如何にして、大きな問題を起こさずに、トルコ軍のafrin侵攻を許すか
・非戦闘地域に対する空爆の停止
・政治解決への移行問題
・トルコを怒らせずに如何にしてクルド勢力を政治解決のプロセスに入れるか
等の問題があるとしています。

http://www.alquds.co.uk/?p=8291
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/11/19/اجتماع-وزاري-روسي-إيراني-تركي-حول-سوريا-في-تركيا-.html
http://www.alquds.co.uk/?p=829217

シリア問題の最終的解決にはまだまだ時間がかかりそうな気もしますが、3ヵ国首脳会議の前に、わざわざ外相レベルでの会議を持ったことが、これら3ヵ国が真剣であることをうかがわせます。
それにしても、米国は完全な蚊帳の外ですね。
またシリア問題と言いながら、どうやらアサド政府も蚊帳の外(もっともイランがある程度は代弁するか?)らしいことが、シリア問題の現実を示していると思われます。
いずれにせよ、あと数日で、かなりの情報が流れてくるものと思います。

日本決議案に対するロシアの拒否権

シリアでの化学兵器使用に関する安保理決議案ついて、ロシアが拒否権を使ったことは先に報告しましたが、ロシアはまた同じ問題について17日再度拒否権を行使しました。

今度は日本の決議案ですが(アラビア語メディアは、それほど細部に拘らないので、自信はないが、どうやら共同提案国はなく、日本単独の決議案の模様)、その決議案は、先の米国の決議案が廃案となったことを受けて、安保理と化学兵器禁止条約機構の調査団の任期を30日延長して、その間、国連総長と同機構事務局長が、今後の作業の在り方について検討し、提案することを求めるというものの由。
今回も反対はロシアの他にボリビアだけで、中国は棄権した由。(ほかに棄権の有無…例えばエジプト…は不明)

http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/11/18/مجلس-الأمن-سيصوت-على-تمديد-قصير-لعمل-لجنة-كيمياوي-سوريا-.html
http://www.alquds.co.uk/?p=828688

通常は極めて大人しい日本が、ロシアの拒否権行使が予測される問題について、決議案を提出したことは、日本政府としては相当思い切った行動かと思います。
矢張り安倍総理の決断でしょうか?
北方領土問題への跳ね返りなど考慮はしたのでしょうね?
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