中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

ロシア

khasshoggi事件とプーチンのサウディ訪問

プーチン大統領はkhasshoggi事件に関し、捜査の結論が出るまではサウディとの関係を害するような言動は慎むべきであるとの立場を表明したことが注目されていましたが、al qods alarabi net は、ロシアはこの事件はサウディとの関係に影響を与えないとの立場を表明したと報じています。

記事によるとロシア大統領府報道官は、khasshoggi事件はプーチンのサウディ訪問に関する準備に、何の影響も与えていないと語った、とタス通信がと報じているとのことです。

それによると最近プーチンはサウディ国王と電話で話をしたが、プーチンの訪問(サウディ国王は2017年モスクワを訪問しており、プーチンの訪問は答礼ということになる)は、適当な時期に発表されるであろうとした由。

西欧の首脳等の発言に比し、トランプの発言が際立ってサウディに融和的と見られているときに、プーチンがほぼ同様の立場を示していることは興味深い。

これぞ現実主義外交の神髄とでもいうのであろうか?

シリアへのS300地対空防空システムの供与

ロシアがシリアへの防空ミサイルシステムS300の供与を発表してから、極めて短期間のうちに供与が完成したとの報道があり、余りの手際の良さに驚いていたら、y net news は、くだんのシステムはロシア空軍防空大隊が使用していたものを補修したもので(同大隊は新型のS400ミサイル部隊に改編された由)、その供与は無償だと報じていて2度びっくりです。

いくらお古の兵器でも非常に高価なもののはずで、「ほんまかいな?」と思いましたが、もともとのソースはロシアのタス通信の8日の記事とのことですから、間違いはなさそうです。

それによると、供与されたのは8基の発射台とそれぞれ100発のミサイルを備えた、3基のS300システムで、総て無償で引き渡された由。

これらシステムは修繕され、十分運用が可能とのことですが、過去2週間の間にロシア軍の輸送機が、レーダーシステムを含めた関連機材をラタキア近くのロシア軍基地・・・おそらくhameemeem 基地・・・へ運び込んだ由。

ロシア国防相によると、ロシア軍はこれから3ヵ月の間にシリア将兵の訓練を行う由。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5366412,00.html

ロシアが使い古した旧型のシステムを供与したことで、かくも短期間で大掛かりな防空システムの供与を管制できた背景は分かりましたが、少なくとも3ヵ月はロシア兵士等が訓練にあたっているし、その後もかなりの期間ロシア兵がそばに居そうで、ある意味ではシリア政府軍が勝手にイスラエル機に対して使用できなくなる(おまけに無償と言うことであれば、その所有権はどちらにあるのでしょうか?)し、他方イスラエル国防軍(IDF)機もロシア兵への危害を恐れて、自由に攻撃できないこととなり、ある意味では、イスラエルとシリア軍の間でロシア軍がかなり主導権を握ったことになるのでしょうか?

ロシアのイラン・イスラエル仲介努力(サウディ系紙の報道)

ロンドン発行のサウディ系紙al sharq al awsatは、ロシアのハイレベル筋が6日同紙に対して、ロシアはアサドへのS300の供給後、イランとイスラエルの間で対立が激化し、紛争に至ることを阻止するために、両者間の対話のチャネルを構築するために努力していると語ったと報じています。


また同筋は、ロシアとしては両国間の仲介をすることも厭わないと語ったとのことです。


記事の内容自体はそれだけで、それ以上目新しいところはありませんが(ロシア筋は、S300の供与は中東の不安定化ではなく、安定化に寄与すると考えていると語ったとか、ロシア筋がこれまで周知のロシアの立場を語ったとしているが)、興味深いのは、イスラエルのhaaretz net 、y net news の2つのメディアのネットが、アアラビア語メディアの記事をほぼそのまま報じていることです。


アラブ、メディアに比したら、はるかにジャーナリズムとして厳しいイスラエルメディアがそろって、この記事を転載したことは、おそらくイスラエルメディアとしても、満更の嘘ではなく、信用度の高いニュースと受けとめたのだろうと思われます。


まあ、常識的に考えても、イスラエルとイランの双方とかなり親密なコミュニケーションを有しているロシアは、両国が武力衝突に至る事態を歓迎しないどころか、大いに警戒しているのではないかと思われるので、具体的証拠はなくとも、十分あり得る話かと思います。


https://aawsat.com/home/article/1417741/%D9%85%D9%88%D8%B3%D9%83%D9%88-%D9%84%D9%81%D8%AA%D8%AD-%C2%AB%D9%82%D9%86%D9%88%D8%A7%D8%AA-%D8%AD%D9%88%D8%A7%D8%B1%C2%BB-%D8%A8%D9%8A%D9%86-%D8%B7%D9%87%D8%B1%D8%A7%D9%86-%D9%88%D8%AA%D9%84-%D8%A3%D8%A8%D9%8A%D8%A8
https://www.haaretz.com/israel-news/moscow-mediating-between-israel-and-iran-after-s-300-delivery-report-says-1.6531857
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5364764,00.html

S300の供与完了(ロシア、シリア)

もう一つシリアに関するニュースを・・・

ロシアのアサド政権に対する地対空ミサイル・システムS300の供与問題が、国際的な注目を集めていましたが、al arabiya net はロシアTV24によると、ロシア国防相はプーチンに対して2日、ロシアのシリア政府軍に対するS300の供与が完了したと報告したと報じています。

取り敢えず以上で、供与の規模(何基のシステムが供与されたのか)、配置場所、運用は当面誰がするのか(将来はシリア兵がするのでしょうが、当面は訓練の他に、少なくとも限定された範囲ではロシア将兵が運用にも関係せざるを得ないと思われるが)等は不明ですが、取りあえず。

ロシア民間人のシリア訪問激増(いわゆる傭兵か?)

一時イラク等における米警備会社が雇う多数の元軍人等がいわゆる傭兵だとして注目を浴びましたが、実はシリアでも多数のロシア人退役軍人が、ロシア軍の軍属または警備会社に雇われているようで(極端な例としては、昨年だったか東南部の確かブクマ―ルに政府軍が米軍の警告にもかかわらず、接近し、米の空爆で多数が死亡した中のロシア人は、ほぼ全員がこの種の傭兵だった例がある)、al qods al arabi net とal jazeera net は、最近ロシア民間人のシリア訪問が激増しているが、彼らはこの種の傭兵ではないか?との記事を載せています。

双方ともロシアの治安部局の、ロシア人の海外渡航に関する公式数字を基にした記事ですが、そもそもそんな資料を2つのアラビア語メディアが独立に偶々同時期に調べたとも思われず、誰が流した情報か、注目されます。
それはともかく、記事の要点のみ

  • 今般ロシアの治安当局が発表した公式数字によると、今年前半のロシア民間人のシリア訪問数は記録的増加を示した。
  • 今年の前半のロシア民間人のシリア訪問数は、17,000名を超えたが、これはロシアがシリアで軍事活動を始めた2015年以来、半年の数字としては最高である。
  • 1年間の数字としては、2016年が22,000名、2017年が25,000名であった。
  • これに対して2013年、2014年のロシア人と後者はそれぞれ約1800で、2015年の前半もほぼ同じであった。
  • これらのロシア人の中には、ロシア軍との契約者(いわゆる軍属)や、退役軍人で、ロシア軍または警備会社のために戦闘に従事するものも居ると思われ、ロシア民間人のシリアでの活動に光を当てている。
ロイターは数千人の退役軍人が、ロシア軍と協力しているも、民間人であるとされていると指摘している。
ロシア軍は、退役軍人との関係は否定し、彼らが個人意思で戦いに従事するのも自由であるとしている由。
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