中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

中国

ロシア軍米軍の撤収と中国軍の到着(シリア)

al qods al arabi net とal arabiya net は、ロシアの安全保障委員長が、ロシア軍は一部シリアから部隊を撤退することとなったがその準備が進んでいると語ったと報じています(ロシア部隊の撤退については、先にロシア国防省も同じことを発言していました)。
撤収部隊の規模及び種類(歩兵か空港の保守要員か空軍部隊も含むか等)は不明。

それに対して前者は更に、シリア民主軍のラッカ攻略を支援した米軍も400名が撤収すると有志連合が発表したと報じています。

上記2つの記事はシリア、イラクでISが敗北した結果ということですが、新しい動きとして前者は更に、シリア西部のタルトゥス港に中国の特殊部隊が到着したと報じています(規模は不明)。
これはロシアメディアが最近報じたものとのことで、それでは中国部隊の目的は、東部トルキスタンの過激派(要するにウズベキスタンのイスラム主義者のことかと思われる)と戦うためとなっている由。
このニュースについて、アラブの専門家は、事実であれば、一つの可能性はゴータに残存しているIS等と戦うためか(この点について、ロシア筋はゴータには東トルキスタンからのテロリストがいるとしていて、ロシアが中国に部隊の派遣を要請したとしている由)。
2つ目は宣伝目的で、ロシアが米国に対してその立場を強くしようとしている可能性、3つ目は彼らの目的がシリアに中国の基地を建設することの由。

http://www.alquds.co.uk/?p=836438
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/11/30/روسيا-تستعد-لسحب-وحدات-عسكرية-من-سوريا-.html

確かに、中国国内でもウィグルの分離的傾向を厳しく弾圧しており、またISにもウィグルからの参加者がいることから、中国軍の派遣もあり得ないことではないと思いますが、何しろ突然の話で、また事実関係等も必ずしも明確ではないようです。
もう少し様子を見る必要がありそうです。
しかし、仮に事実であるとすれば、これまで経済的なプレゼンスを除いて、中東には現実的に影響力を強化しよう(要するに部隊の派遣とか安保理でのイニシアティブとか)とはしなかった中国が、矢張り覇権国の地位を求めだしたということでしょうか?

米のシリアミサイル攻撃(各国の反応等)

CNNなどではその後も、ほぼ全面的に、米国のシリアの空軍基地に対するミサイル攻撃関連の番組を流していますが、国際的反響は、(当然のことながら)シリアとロシアが激しく米攻撃を非難し、シリアに至っては米はISとアルカイダを支援しているなどというコメントを流しています。

他方、西欧は英仏独その他がいずれも、米の措置を支持していますが、珍しいことにal qods al arabi net は、日本の安倍首相が米の断固たる措置を支持したと報じています。
中東では、サウディ、トルコ、カタール、ヨルダン等が、米支持を強く打ち出したとのことですが、イランはアラビア語メディアでは気が付きませんでしたが、当然激しく非難でしょうね。

と、ここまでは誰でも想像できる反応で、それほど注目すべき点はないと思われますが、問題は今後の米国の対シリア政策、米ロ関係の推移だろうと思います。

その点で、非常に興味があるのは、ロシアがプーチンを含めて米国の攻撃を(ある意味では口を極めて)非難していて、また米国務長官がアサドが化学兵器を所持し、それを使用したにはロシアに責任があるという異例の強い非難をしたにもかかわらず、彼のモスクワ訪問(確か、今週末か来週の予定ではなかったか?)がキャンセルもされずに、彼がモスクワ訪問をするらしいことです。

もう一つは、CNNで元米軍将軍とかいう男が言っていたことですが、今回の攻撃について米国は事前にロシア政府に通告をし、またロシア兵が巻き込まれないように細心の注意を払い、他方ロシアは強力な地対空ミサイルをシリアに保持しているにかかわらず、米軍の59発の巡航ミサイルを捕捉しようとしなかった、という点です。

要するに、今回の攻撃も、ある意味では軍事力を使った政治的メッセージという意味合いが強く、米もロシアも口では相手を激しく非難するが、実際の行動では両国の関係が、極端に悪化しないように自制しているということのようです。
あまり歓迎はしませんが、どうも米ロの関係は冷戦時代の米ソの関係に似てきましたね!
その意味で、国務長官の訪問で、表に出てくる話は別にして、双方が何をどこまで話すのかが、非常に注目されます。もちろん、そんな話はなかなか外には出ないでしょうが・・・・

もう一つの興味(と言ったら叱られますが)は、中国の主席とトランプの会談です。
もちろん周主席はこの事件があったからと言って、席を立って帰るようなことはせず、日本時間今晩、首脳会談があるはずです。
そこでは、当然2国間貿易問題、朝鮮問題に加えて、この事件も話し合われるとみられます。
そこで注目しているのは、この事件が中国に対しても、一つの大きなメッセージになるのではないか?要するに、(シリアについてのロシアの立場と同様に)中国が北朝鮮を抑えるべきで、そうしてくれればよいが、中国がそれをしない場合には、米国としては北朝鮮に対しても同じように軍事行動をする用意があるというメッセージではないか、それを意識してわざと周主席との会食後に攻撃したのではないか?などという疑念が持ち上がってきます。
まあ、そこまで行くといつも嫌いだ、嫌いだと言っている陰謀史観を自分で口にすることになるので、気が引けますが意図するとしないとにかかわらず、そういう効果もあるのではないでしょうか?
会談後の明日の発表ぶりが楽しみですね!!

米国の今後の対シリア政策については、トルコではこの際一挙にアサドを追い落とすべきだ、などの議論もあるようですが、どうやら米国はそこまで、というか現時点でアサド云々までは考えておらず、当面はラッカ攻略を粛々と進めるという見方が強いようですね。
もちろん、この辺も国務長官のロシア訪問の結果やアサドの反応ぶり等にもよるのでしょうが、とにかくおかげさまで中東はにわかに慌ただしくなって来た感じがします

リビア情勢(カッダーフィのロシア、中国、インドの買収?)

カッダーフィは13日中国、ロシア、インドに対してリビアの石油産業に投資する様に勧めたとのことです。

これは14日付の al qods al arabi net の記事が伝えるものですが、それによると13日のリビア国営放送が、カッダーフィがこれら3国の大使と会談して、リビア石油への投資を勧めたと報じているとのことです。

この会談が、どちらの側から持ちかけられたのかは不明で、また会談の主目的がなんであったのかは不明ですが(カッダーフィの側から持ちかけたものであれば、安保理で飛行禁止地域の決議案が出てきたら反対して欲しいこと、リビアに対する制裁を早期に解除してほしいこと等を伝えるためで、石油への投資は体の良い買収工作かと思われます)。

この3国の大使が揃って会談を求めるというのはグループとして若干不自然ですが、その場合には安保理決議に従って民間人への攻撃をやめ、反政府側とも早期に話し合うことを求めたのではないかと想像されますが、総て想像です。

http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2011-03-14-05-53-16.htm

イスラエル・中国関係(経済大臣のイスラエル訪問)

最近中国の中東、アフリカへの浸透が注目されていますが、政治的には常に厳しい態度をとっているイスラエルとの関係でも、中国はイスラエルからの軍事技術の導入に熱心だったと評されています。

この点に関し8日付の y net news の記事は、中国の chen deming 経済相がイスラエルを訪問し、イスラエルとの間で両国の対外経済機関間の協力に関する覚書に署名したと報じています。

同紙は、中国の経済相はエルサレムで多数を前にして、中国経済は前進しつつありイスラエルは重要なパートナーになり得ると強調し、中国が資本と巨大市場を提供し、イスラエルが技術とノウハウを提供する形での協力関係を築くことができるとしたとのことです。

なお、同紙は今後イスラエルにとって有望な分野は、中国での自動車生産で、中国では日、韓、欧等の既存の自動車メーカーが市場を押さえているが、今後有望な電気自動車の分野で、イスラエルと中国との協力の可能性は極めて大きいとコメントしています。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4038333,00.html

中国の飛行場建設(ハルツーム)

al jazeerah net は15日付の記事で、中国の国営会社がスーダンの首都ハルツームに新国際空港を12億1000万ドルで建設する契約を結んだと報じています。

それによると、国営の中国建設・通信会社(注:アラビア語からの音訳)に属する会社が14日発表したもので、A380 の着陸可能な滑走路、旅客ターミナル、航空機格納庫を含む新空港の建設とのことですが、上記会社は中国の巨大会社が香港に有する会社で、海外のインフラ建設を手掛ける会社とのことです。

同記事は中国はスーダンとは極めて友好的関係を有し、これまでも種々のインフラ建設を手掛けてきたし、またスーダンは中国に取り第5の原油供給国(確かこのため中国は南部スーダンの石油利権の投資をして、スーダンの人権問題にも無関心であると国際的に非難されてきました。南部の独立で中国の原油利権がどうなるか注目されます)になるとしています。

http://www.aljazeera.net/NR/exeres/6736050F-DF1D-45DC-9887-A91010318926.htm?GoogleStatID=9
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