中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

人権

中国のクルド人問題への関心

これも同じく22日のeconomist誌によると、最近中国のネットで、トルコのクルド人に対する弾圧に反対する論説が急激に増えているとのことです。

勿論それは中国当局が裏でけしかけているという性格だと思われます。

それにしても、これまで中国がクルド問題に(と言うかほとんどの国の少数民族問題とか人権問題に、と言った方が正確と思うが)関心を示したことなど全く無かったのに、最近急に「気の毒なトルコ領内のクルド人に対する人権侵害問題」に関心が払われだしたのは、他でもなく世界の国々の中でトルコだけが「敢然と」中国のウルムチにおける騒擾で「ウイグル族に対するジェノサイド」を非難したことに対する、中国風の回答であるとのことです。

同誌に依れば、長いものには巻かれろ、というか経済は人権より重要と言うか、とにかくトルコ系住民の多い中央アジアの国も軒並み、新疆での騒擾に対しては沈黙を守っているのに対して、トルコだけが敢然と中国を非難したことに対する中国風の反発、嫌がらせと言うことだそうです。

そういえば、日本の役人も「江戸の敵を長崎で取る」ことが得意なだけに、中国のやり方はよく理解できるのではないでしょうか?

それにしても、トルコはロシアのチェチェン問題と言い、新疆自治区の問題と言い、トルコ系民族若しくは昔の因縁ある場所に関しては、敢然と発言しているところは極めて立派と言いうると思うが、願わくはそれがドンキホーテ式の独りよがりにならないことです。

名誉の犯罪

本日のeconomist誌電子版に依ると、最近シリアのアサド大統領が、名誉の犯罪と言われるものについて、これまで殺人の場合でも、最低の刑期の規定がなく、最長でも1年で出所してきたものを、最低2年間は入獄させるとの大統領令を出し、欧米の人権団体がこれを評価していると報じています。

名誉の犯罪とは、中東等のイスラム諸国で、女性の親や兄弟や親族が女性の不行跡のために(基本的にはセックス絡みのスキャンダル)一族の名誉が失われたとして、彼女を殺す行為で、これに対してほとんどの中東の国が、一族の名誉を守るための止むに止まれない行為として、一応は彼を裁判にかけても、殆どが1年以内に出所させているという問題を指します。

これはイスラムの問題と言うよりは、中東の部族社会の「掟」という性格を有するものと考えられますが、中東の近代化、世俗化に伴って徐々にその数が減少してきたとみられていたのが、昨今のイスラム回帰現象に伴い、中東一円、アラブ諸国で増加しつつある重大な人権侵害の問題と言われています。

筆者もその昔レバノンの山岳地帯の村を通りかかったときに、若い男を肩車に乗せ(ということは彼が英雄と言うことを示す)村の男が行進しているのに出くわし、近くの人に事情を聞いたら、ある家族で旦那が出稼ぎでクウェイトに1年間出かけている間にその奥さんが浮気をして、奥さんの弟(肩車の主)が彼女を刺し殺したが、彼が1年たたずに出所してきて、村では英雄として歓迎しているという説明でした。

このような風習は湾岸諸国のみならずシリア、ヨルダン、イラク等の比較的「文明開化」のアラブ諸国でも最近増加しているようで、国際的人権団体が警鐘を鳴らしていたものです。

21世紀の世の中こういう風習が増加しているというのも中東の一面です。
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