中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

石油

リビアでの抗議運動(全くの個人的解説)

チュニジアで始まりエジプトに波及した抗議運動がリビアにも遂に押し寄せてきました。

既に多くの反政府派の代表がカッダーフィの辞任を求める声明に署名をした模様ですし、また東部の町ベンガジでは抗議デモと警官が衝突し、1名死亡と伝えられます。

遂に」と書きましたが、実は理由があります。

エジプトとチュニジアに挟まれたリビアは、実は長期独裁政権で民衆抑圧政権となると、中東では指折りの政権で、おそらくシリアとNo1を争う国でしょう。

何しろカッダーフィその人が政権を握ったのが1969年、それ以来リビアは彼の独裁体制で、如何なる批判も許されず、その抑圧振りには定評がありますが、加えて息子のサイフルイスラム(恥ずかしくもなく言うよ。イスラムの剣と言う意味です。)が後継者に目されているという正しく独裁国家の典型です。

これが国内では人権抑圧国家の典型で、国外にあってはテロ支援国家の代表と言うのですから、これに比べたらエジプトやチュニジアの独裁ぶりなど可愛いものと感じられるくらいです。

従ってレーガン大統領時代にはカッダーフィは中東の悪役No1と言うことでしたが、その後テロ支援を止め、核開発も止めた為か、英米等の覚えも目出度くなり、最近では余り話題にも上らなくなりました。

しかし上に書いたことを若干振り返ってみれば如何にカッダーフィの政権が抑圧的な独裁政権であるかは、ある意味で一目瞭然で、その政権がこれまた中東随一の抑圧機関に守られて、総ての反対派を圧殺してきた訳ですが、遂に国内でも反対デモが起きる状況となったとは、中東民主化のためには慶賀すべきことですが、その政権が倒れるまでには相当血生臭い事態が続く可能性を覚悟しなければならないかもしれません。
その点で政体は全く異なりますがイランの場合と似ているかもしれません。

カッダーフィの国外におけるテロはよく知られています、一番よく知られているのは、例のロッカビー事件でスコットランド上空で、パンアメリカン航空機を爆破させて(確か)300人以上の乗客、乗員を殺しています(尤も、この事件で判決が確定してスコットランドで無期懲役で服役中の元情報部員が末期がんと言うことでリビアに送還されましたが・・彼は1年半後の今も生存中・・その釈放には英政府が・・BPの石油利権のためと云われる・・が介入したと伝えられ、英政府は否定していたが、最近それを裏付ける証拠が出てきた模様。要するに英米政府など信用してはいけないという実証証拠ですね)。

それと有名なのがベルリンのディスコで米兵を狙った爆破事件です。
その他北アイルランドのIRAをはじめ世界中のテロ組織に資金や武器を援助していたことでも有名です。
個人的な経験を書けば、かってトリポリの有名な grand hotel に泊ったことがありますが、そこは当時リビア政府の世界中のゲリラ組織に対する迎賓館?としても使われていたらしく、ロビーの方々に如何にも胡散臭い連中がたむろしていて、薄気味悪かった・・但しリビア政府のおひざ元だから安全で、身の危険は感じなかったが・・ことを思い出します。

しかし、こんなこともある意味では、リビア人に対する抑圧、弾圧に比べたら序の口みたいなもので、カッダーフィ政権は国内であらゆる手段で反対派を完全にねじふせたうえに(逮捕、拷問、検閲、デモ禁止、殺人)海外にまでヒットチームを送り、反政府派の暗殺を実行しました。

これも個人的に経験したことですが、85年頃、リビアのヒットチームがカイロに亡命していたリビア人を暗殺しに潜入します。
しかしそこはエジプトの情報機関もさる者で、その情報を入手していて、暗殺者を寝返らせたかして(具体的なことは30年近くも前のことで忘れたが)、その代わりに暗殺対象の男が血まみれになっている写真・・勿論血ではなく赤インクだが・・の写真をリビアの当局に送った事件がありました。
そこでリビアの方で得意になって犯罪者の××がカイロで死亡したと報じたのに対して、エジプトの国営TVが連日血まみれに見える写真とその男の元気な写真をつけて、如何にカッダーフィが悪辣だが間抜けかと言う話を流していました。このTVは、当時娯楽の少ないカイロでは最高の娯楽だったようです。
勿論この男は幸運な男で、リビアのヒットチームに暗殺された反政府派は多数に上ったと思います。
ヒットチームの派遣などその点でもイラン政権と共通点がありますね。

そして世襲です。彼の息子のセイフルイスラムなどという大層な名前を付けた(イスラム、イスラムと言っている割合には、彼はムスリム同胞団等のイスラム主義者を弾圧していることでも知られるし、今のヒズボッラを作ったリビアのシーア派の指導者・・sadr師・・をリビアにおびき出して暗殺した疑いももたれている)男が、確かカッダーフィ財団などと言う資金団体を使って、方々に金をばらまき、名前を売り出しており、カッダーフィの後継者と目されているとの評判です。
また彼か別の息子か忘れましたが、確かジュネーブのホテルで使用人を殴り殺して、捕まり、そのこともあってスイスとの間でもめごとがあった(ここのところは記憶が若干あやふやです)こともあるように、その専横も目に余るようです。

と言うことで、ついにあのリビアにも改革運動が及んできたかと書いた訳ですが、何しろカッダーフィが長年作り上げてきた抑圧装置の国ですから、そう簡単には手を上げないような気がしています。また手を上げるにしても、相当な流血の後と言う可能性も強いと思います。

またリビアは北アフリカの産油国で、上にも書いた通り大量殺人で収監していた男さえ、石油のためには英政府が釈放に尽力する国で、米国も種々の石油利権を有しているので、どうもこれまでのところ英米や欧州政府からリビアの民主化応援、抑圧反対という声は大きく上がっていませんね。

偏見かもしれないが中東の場合、石油利権と英米の関係は無視できないと思っています。

いずれにしても以上は個人の偏見と独断に基づく意見です。


☆パンアメリカン航空103便爆破事件(通称:ロッカビー事件)(ウィキペディア:日本語)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%B3%E8%88%AA%E7%A9%BA103%E4%BE%BF%E7%88%86%E7%A0%B4%E4%BA%8B%E4%BB%B6

中国の飛行場建設(ハルツーム)

al jazeerah net は15日付の記事で、中国の国営会社がスーダンの首都ハルツームに新国際空港を12億1000万ドルで建設する契約を結んだと報じています。

それによると、国営の中国建設・通信会社(注:アラビア語からの音訳)に属する会社が14日発表したもので、A380 の着陸可能な滑走路、旅客ターミナル、航空機格納庫を含む新空港の建設とのことですが、上記会社は中国の巨大会社が香港に有する会社で、海外のインフラ建設を手掛ける会社とのことです。

同記事は中国はスーダンとは極めて友好的関係を有し、これまでも種々のインフラ建設を手掛けてきたし、またスーダンは中国に取り第5の原油供給国(確かこのため中国は南部スーダンの石油利権の投資をして、スーダンの人権問題にも無関心であると国際的に非難されてきました。南部の独立で中国の原油利権がどうなるか注目されます)になるとしています。

http://www.aljazeera.net/NR/exeres/6736050F-DF1D-45DC-9887-A91010318926.htm?GoogleStatID=9
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