中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

CIA

ヒズボッラ(CIA等のスパイ)

先日はヒズボッラ内部のイスラエル・スパイの話をご紹介しましたが、今度はCIA等のスパイです。

24日付の al qods al arbi net の記事は、ヒズボッラのナスラッラ書記長が、24日ヒズボッラがその内部の米国のスパイ2名、欧州国のスパイ1名を摘発したと発表した旨報じています。
 
ナスラッラは、これらのスパイは過去5月以内にリクルートされたが、ヒズボッラの幹部や宗教指導者や書記長の親族は含まれていないと述べたとのことです(書記長の親族云々のところが、何故わざわざこんな発言をしたか気になりますが、おそらくそのような事件が前にあったのでしょうね?)。

そして、ナスラッラはイスラエルがヒズボッラに浸透できなかったことが米国に協力を求めることになった背景であると説明し、ベイルートの米大使館は今やイスラエルのためのスパイリクルート拠点になっていると非難したとのことです(このイスラエル云々のところはつい最近イスラエルのしかも、ヒズボッラ内の大物スパイの話が報じられた直後であるだけに、極めて奇怪です。もしかするとイスラエルスパイが中枢にまで入り込んでいたと言う話を打ち消すためにCIAスパイ云々の話を持ち出した可能性が濃厚のような気がします)。

http://www.aljazeera.net/NR/exeres/D99E7CC7-EF4B-484D-AD1B-2B890C021D07.htm?GoogleStatID=9

リビア情勢と米国

先ほどny times のサイトをご覧になるようにお勧めする記事を書きましたが、その時に最近リビアの情勢についても米国の出方がカギを握っていると感じたと書きました。

その背景等については下に説明しますが、個人的な経験ですが、若干長い間中東に居たり、外から中東を見ていて、常に心のどこかで、中東がどうなっていくかは、米国の政策に大きくかかっていると感じていました。

イランのクーデター(1953年)を始め冷戦時代の米国の中東に対する関与から始まって、中東和平、湾岸の状況等極言すれば中東の問題で米国の息のかかっていない問題は無いくらいに感じていました。その極端な例がブッシュのイラク戦争とアフガニスタン戦争ですが。

それはオバマに代わっても同じこと、むしろ彼がイスラム、中東重視を打ち出してからは更にこの関係が強くなると考えていました。

ところが彼が最重要視した中東和平問題で、ネタニアフにあしらわれて、アラブ、ムスリムの信頼を失ってから、米国の影が薄くなって行くのを感じ、特に先日の安保理での拒否権(何しろ欧州諸国は総て賛成)行使で、こと中東の問題に関しては米国は国際社会で完全に孤立したと思われ、今回の一連の事件でも、例えばエジプトに関するオバマの対応は非常に切れが悪く、慎重だなと感じていました。

今回のリビアに対する対応ぶりでも、例えばクリントン長官の発言が対カッダーフィ強硬から慎重に変わったり、オバマもつい最近カッダーフィの即時退陣を求めるようになりましたが、その前はかなり慎重で発言にもぶれがあったような気がしました。

それよりも何よりも、かっての米国であればそのような外交的な発言と合わせて、国際会議の開催や、調査団の派遣から始まって、最終的には米軍または第3国軍の派遣、はては軍事力の行使等、米国の眼から見てあるべき姿にするには何をすればよいかを検討し、同盟国と協議し、そう言ったニュースを背景に圧力をかけつつ、米国の考える方向に誘導して行ったと思います。

それが gun boat diplomacy と言われて、多くの途上国(カッダーフィなどは一番)から反発を買ったものですが、世界秩序に責任のある立場の国としては、米国であろうが無かろうが多かれ少なかれ、「実効力のある政策を」をとるのは当たり前だし、それが所謂大国と言うものだろうと思っていました(勿論各国と協議して物事を進めるか、かってのソ連や現在の中国のように国際社会の声を無視するかで、反応に大きな差が出るのは当然です。それがブッシュの父と息子の対イラク政策で、国際社会の反応が大きく違った理由でしょう)

ところが今回のリビアに関しては、反政府運動が激しくなってから、カッダーフィが空軍、治安部隊、アフリカ傭兵を使って反政府側の民衆を激しく弾圧しようが、リビアの元閣僚が大挙して離反しカッダーフィの暴挙を非難しようが、キレナイカが反政府側の手に落ちようが、トリポリの近くで戦闘が行われようが、オバマ政権は具体的に動こうとはしませんでした。

国際的に最も注目を浴びた飛行禁止区域の設定に関しても、大きな軍事作戦を要するとの名目で、非常に慎重な立場を貫いてきました。

それが良いか悪いかについてはいろいろと議論があり得るところでしょう。何しろ中東での米国の軍事介入は大きな議論を巻き起こすし、カッダーフィのこれまでの反米ぶりに鑑みれば、躊躇するのも理解できないところではありません。

しかし、最近このまま国際社会が何もしなければ、リビアは反政府のキレナイカ、政府側のトリポリタニアと2つにわかれて、長い血生臭い戦闘が続く可能性が強くなってきました。また軍事力からすれば政府側が最終的に勝つ可能性が高く、その場合にはカッダーフィが反政府にたった者たちに対して如何なる報復をするかも略見当がつこうというものです。

と言う状況を反映したのか、この2〜3日毎日何回か見ているBBCとCNNの放送態度に最初は微妙な、そして昨日くらいからは明らかな差が見られるように感じられてきました。

要するにBBCもカッダーフィに対する批判的報道と言う点では同じなのですが、同じトーンでもCNNの方がより強く、それが更にますます強まりつつある印象を受けて、本日の放送、特にリチャードソンとかいう北朝鮮問題で活躍してきたどこかの知事とtime magazineの編集長を入れた討論では、米国は介入すべしという意見を米政権につきつけている感じさえ受けました。

その議論で最も驚いたのは、飛行禁止区域事態では、軍事的バランスを崩せないので、CIA等を使っての秘密工作、武器供与、アラブ、アフリカ諸国を使っての介入とう所謂 covert operation をやるべきだと、2人とも力説しているところでした。

またその他の知識人も大体が米国は人道的見地から介入すべきだとの意見の持ち主が多いように見受けられました。

最近のCNNの米国内における影響力がどの程度のものか解りませんし、またこのような意見が特殊CNN的意見なのか、米国民、または議会などでの有力意見なのかどうかも不明です。

しかし、いくらCNNが外国ニュース専門とは言っても、米国民の常識からかけ離れた意見に固執するとは思われません。またそれとは別にCNNやBBCの放送するカダーフィ部隊の弾圧の映像は、米欧市民に対してカッダーフィに対する反発と国際社会の介入を求める声を増大させるのではないかとの気がしてなりません。

以上長々と書いてきましたが、特に何らかの具体的な証拠や情報がある訳ではありませんが、どうも米国をはじめとした国際社会が、飛行禁止区域の設定を含めてリビアに対して何らかの具体的措置をとる時期が近付いている気がして仕方がありません。

全くの個人的な感じでものを言うのは良く無いのですが、是非厳しいコメントをいただけたら有難いと思っております。

ムスリム同胞団は世俗的な集団(米国家情報局長の証言)

エジプトの政局との関連で、ムスリム同胞団の性格が議論されているところ、11日のイスラエル紙 y net news は米国家情報局長(政府の情報組織の元締め)が10日の議会での証言で、ムスリム同胞団は、その中に種々の潮流を含むが、暴力を放棄して世俗的な組織であると証言したと報じています。

それによると James Clapper 長官は、エジプトのムスリム同胞団はおおむね世俗的で、雑多の潮流を含んでいるが、暴力を否定し、アルカイダを軽蔑していると証言したとのことです。

また同胞団は社会的サービスを目指し29の病院を経営しているが、これらはレバノンのヒズボッラとは異なり、政治目的のためのアンブレラではないと語った由。

証言の内容については以上の通りで、詳細は不明ですが、同紙はこの証言について米情報当局はこれでまたエジプト情勢について誤りを犯したと評しています(もう一つの誤りは、CIA長官がムバラクは近く辞任すると言ったが、これが誤りと判明したと言うのもの)。

それにしても一国の報道機関が友好国の高官の議会証言について、特段の根拠も示さずに頭から「誤りを犯した」と評することは異例ですが、この問題のイスラエルにとっての深刻さがうかがわれます。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4027076,00.html

☆James Clapper(ウィキペディア:英語)
http://en.wikipedia.org/wiki/James_Clapper

エジプト情勢(CIAは昨年末オバマに警告)

国際的に大きな事件が起こると、特に米国では、情報機関が政権責任者に対して適切な情報を適切な時に報告していたか否かが、必ず問題とされますが、今回のエジプトの情勢についても、米議会でCIAが証言を求められ、オバマ政権には昨年暮れにはじめてエジプト政権が危ない可能性があるとの報告を上げたと述べたとのことです。

これは4日のal qods al arabi net が報じているもので、CIAの副長官が上院の情報委員会での質問に応えて証言したとのことです。

委員会の委員長はCIAが適切な情報を適時に挙げていたか否かについて疑念を有し、米政府は情報機関からのそのような情報を必要としていると指摘した由。

またこのような事態が起こるのを防ぐために社会的ネットワークを活用しているのかとも質問した由(注:ここがなにを意味するのかは不明だが、仮に米国の情報機関がエジプトの国内で、何らかの工作をしていたのかと言う意味であれば、友好国内における情報機関の工作と言う意味で極めてデリケートな問題に触れていることになると思います)。

また委員会のメンバーはCIAがエジプトの情勢についてどのような報告をしていたのか時系列的に説明する資料を10日以内に提出するように求めたとのことです。

http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest/data/2011-02-04-00-49-03.htm
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