中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

NATO

トルコ部隊のNATO演習からの引き上げ

最近トルコの人権問題やクーデター未遂事件関係者の亡命等の問題で、特にドイツとトルコとの関係がぎくしゃくしているようですが、この事件もそのような一般的なトルコとヨーロッパの関係の悪化が背景にあるのでしょうか?

CNNやトルコのhurryiet net 及びal jazeera は、ノルウェイで行われているNATOの合同演習でトルコに対する侮辱的行動があったとして、トルコがその参加部隊を引き上げ、NATO事務局長や司令官やノルウェイ政府等が、トルコに対して謝罪したと報じています。

一つは、トルコ共和国建国の父アタチュルクの写真が、銃撃訓練の標的として使われた事件で、NATO事務局長は関係者はノルウェイの民間企業の技術者で軍のコントラクターであったが、彼は標的としてアタチュルクの写真を見つけて、それを使用したもので、現在は解雇されてノルウェイ政府が調査中と説明した由。
もう一つは、クルド系のノルウェイ軍将校が偽名を使って、ネットにエルドアンを中傷する記事を載せたとのことで、こちらも職務から外され、ノルウェイ軍が調査中の由。

http://www.hurriyetdailynews.com/turkey-withdraws-40-troops-from-nato-drill-in-norway-after-enemy-table-scandal-122571
http://www.aljazeera.net/news/international/2017/11/17/الناتو-يعتذر-بعد-سحب-تركيا-قواتها-بسبب-إساءة

取りあえずの状況は以上で、この問題が今後どのくらい尾を引くかは不明です。
但し、クルド系の将校の犯行?の方は、最近のエルドアンの独裁的やり方やクルドに対する攻撃に鑑みれば、ある意味では起きるべくして起きた事件ともいえるかもしれませんが、建国の父の写真を標的にした方は、意図的か否かは不明ですが(もし意図的とすればかなり根深い対トルコ反感の表れと思う)、トルコにおけるアタチュルクに対する尊崇の念にも鑑み、どうも尾を引きそうな気がします。
取りあえずは、NATO関係者の謝罪で収まるのか、トルコが例えばインチェリック空港の使用問題等まで持ち出すのか等、トルコの対応が注目されます。

トルコ・EU関係

トルコのEU加盟問題は長年の懸案であるにもかかわらず、殆ど進展を見せていない模様ですが、12日のtoday's zaman net は、キプロス問題をめぐる両者の溝は埋めがたく、このままで行けば加盟交渉の決裂は避けがたいと報じています。

同紙によると、EU側からはキプロス(EUに加盟していて、国連加盟国でもある)の航空機及び船舶のトルコ寄港が認められない限り、加盟交渉の続行は困難としているのに対して、トルコの方ではキプロス問題の解決のための国連案をトルコ・キプロス側が受け入れたのに対して、ギリシャ系のキプロス共和国が拒否したにもかかわらず、その数日後にキプロスをEUに正式加盟させ、トルコキプロスに欧州と商売をさせるとの約束を反故にしたEU側に問題があると応酬しているとのことです。

なお、この問題のためEUとNATOの協力問題が全く進展していない(EU内ではギリシャ及びキプロスが拒否権を、NATO内ではトルコアが拒否権を有している)とのことです。

いずれにしても、このままの状況が進めば遠からずトルコのEU加盟問題は公式にも棚上げされることになろうと予測されているとのことです。

この問題は従来はトルコがEU加盟に一方的に熱心で、EUの種々の要求をいれて民主化などの政策を実効してきましたが、現在の政府及び与党のAKPは世俗主義政党ほど加盟に熱心ではなく、またトルコも経済的好調及び中東における影響力の増大を背景に、昔ほど一方的な「求婚者」でもなくなったので、確かに今後の交渉は対等な色彩が強まり、以前よりは複雑と言うか困難になった感じがします。

http://www.todayszaman.com/news-235372-news-analysis-ankara-brussels-brace-for-showdown-over-cyprus.html

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