それにしても昨日の高校生クイズの偏差値通りの決勝戦は今の時代を象徴しているようだった。中でも慶應女子コンビは「可愛くて賢い、人生楽勝」とか言われている。昔のクイズの強豪は必ずしもエリートではなかった。早稲田・慶應、一ツ橋などエリート大学生も多かったが、強かったのは断トツで立命館大学だったし、無名大学や高卒主婦で強い人もいた。
 東大クイズ研究会などは弱くはなかったが5番手、6番手が定位置で「クイズは偏差値じゃない」というのが面白さだった。そもそもクイズに強い連中は学業や仕事をおろそかにする連中が多く、何年も留年したり仕事をそっちのけにしている人が多かった。ただし、高校生プレイヤーはクイズで鍛えた記憶力が受験に役立つことが多かったようだ。別に名門高校が中心ではなかったと記憶している。進学校で高校生クイズで強かったのは、奈良の東大寺学園ぐらいだった。
 何故今は偏差値通りに高校生クイズの強豪が残るかと言うと、灘は勿論、慶應女子などはゆとり時代を経ても学力的な変化はないのではないかという印象だった。慶應女子チームが「新聞毎日読んでるのにな〜」というセリフをこぼした時、それを感じた。高校生にもなれば新聞を普通に読むのが当たり前のように思うかもしれないが、最近ではマスコミ志望の学生でも新聞を読んでいない人が多いのだ(しかも有名大生)。だけど昔からのエリート高校の生徒はきちんと新聞を読む習慣が残っていて、知的劣化していないということだろう。それに対して、底辺高校の生徒は新聞なんてまるで読まないのではないか。昔の高校生はネットがなかったこともあって、どんなレベルの高校生でも新聞やニュースをそれなりにちゃんと見ていた。偏差値上位高と底辺高との差は少なかったのだろう。
 だけど今クイズに興味を持つ高校生はエリート高校生が中心なのだ。20数年前のクイズブームの頃には幅広い高校生や大学生、社会人(失業中の人なんてのもちょくちょくいた)のクイズマニアがいたことを思うと、「格差社会」を感じざるを得ない。