千と千尋の経済学のblog

今まで、『千と千尋の経済学』シリーズをキンドル(電子書籍)で出版したり、YouTubeで動画を作成してきました。 このブログでは、もう少し自分の好きなように金融や経済の意見や解説を書きたいと思います。 特にアメリカの株式市場の動向とオプション取引について、役に立つ情報を発信していくつもりです。 ちなみに私の投資手法:Be contrarian and be lucky than good d(^_^o).

今年は517日のブログ「トランプ大統領と株価」に書いたように、トランプ大統領が就任して減税や規制緩和、海外利益の本国送還に加えて、Fedの金融緩和の転換を予想していました。ところがオバマケアの撤廃に時間をかけたあげく失敗し、国内外の要人に対する批判ツイート乱発するとともに、閣僚たちを次から次へと交換するのでそのたびに株価は乱高下しました。

そのため機関投資家のめまぐるしいセクターローテーションとヨーロッパや新興国市場への投資割合の増加によって、S&Pなどのインデックスは最高値を更新していきますが、当初の銀行(BACKEYPAYX)、エネルギー(EOG)や医薬系(BMYGILD)がうまく行かず、次のパーフォーマンスのグラフにあるように4月以降はかなり苦戦しました。

2017SeptOption結果
今まではContrarianな投資手法が中心だったのですが、市場の人気が一部の株(例えばFANG:Facebook Amazon Netflix Googleに集中していたので、今回は人気銘柄の買い(モメンタムの銘柄)も入れてみました(NVDASWKSDPZGOOGなど)。特に成功したのがボラティリティの高いNVDAで、オプションのレバレッジが効いて何度も高い利益を得ることができました。また医療系ではAMGNが人気だったので、これも安いときに購入して高く売ることができました。

ところが最近のブログに何度も書いたように、アマゾンショックでCOSTが急落したときにHDと一緒に買い始めたので、8月の損失によってポートフォリオがかなり悪化しました。ただ9月に入ってハリケーンのせいもあってアマゾンショックの影響が見直され、COSTHDの株価が上昇して年間予定利益率の30%に到達しました。

プロの人たちには笑われますが、今年に入って学んだオプション手法は次の通りです。

予想に反して株価が下落を続ける場合今までは購入したロングオプションを買い増して平均単価を下げていました。しかしそのやり方では当該オプションの総投資額が大きくなりすぎるのとベータ(感応度)が下がるので、原資産の株価が多少上がってもオプションの価値が上がりません。

そのため今回は、ベータの低くなったオプションをかなり売って損失を確定し、売った分とほぼ同額のベータの高いオプション(原資産の低くなった株価に対応したオプション)を買いました。その結果、下がり続けていた株価が上昇に転じると、オプション価格は一気に上昇しますので利益の確定がしやすくなります。

例:COST@160売りとCOST@150買い

手じまいした取引の評価:

AGN  (早めに売って正解でした)

BAC  Fedの金利上げや複雑なマクロ状況の影響)

BMY  ×(主力薬がうまくいかず)

COST  (アマゾンに対する市場評価が一方的)

DPZ  (決算が少しだけ弱かっただけ)

DWDP ◎◎(ダウとデュポンの合弁がとうとう実現)

EOG  ××(原油価格の読みの失敗)

FXE  ETFのオプションはダメ)

GILD  Kite Pharmaの買収まで我慢できなかった)

GOOG FANGの強いときの購入だったので良かった)

HAS  ×(ディズニーの失速に巻き込まれて失敗)

HD   (ハリケーンのおかげ?)

INTC  ×(なかなか株価が上昇しなかった)

KEY  (早めに利益確定して良かった)

LULU  (一時的な急落からの復活)

LVS   (少しだけ買ってみた)

MASI  ×(この株に対してはショートが強く非合理な株価の動き)

NVDA ◎◎(一日の上げ下げがすごくオプションには向いています)

PANW (安値から一気に急騰したので助かりました)

PAYX  ××(トランプ銘柄の代表だと思ったのですがダメでした)

PFE  (このオプションだけ今も保有しています)

SWKS NVDAほどわかりやすくないです)

 

最初に、アメリカ南部を襲った大型ハリケーンの甚大な被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。

さて今回のブログは、818日「アマゾン対ホーム・デポ(HD):アマゾン神話?(^^;)」の続きです。

度重なるアマゾンショックにより、ホーム・デポの株価は上がっては急落するパターンを繰り返していました。アマゾンが卸業・小売業に猛威を振るっているとき、アメリカでは825日に大型ハリケーン「ハービー」がテキサス州に上陸して大な被害をもたらしました。その影響も収まらないうちに、今度はフロリダ州で630万人に避難命令が出されたハリケーンイルマ910日にフロリダ州に上陸しました。

大きなハリケーン(自然災害)がアメリカ南部を襲うと、ホーム・デポのような大型ホームセンターの株価は上昇します。その理由はハリケーンに備えて多くの人が自家用発電機や住宅の屋根・床材(plywood)などの購入を増加させるからです。

このようなハリケーンの影響をホーム・デポの次の株価チャートから見てみたいと思います。

アマゾン対ホームデポ 3
まずハリケーン「ハービー」によって、ホーム・デポの株価は828日に151ドル程度に上昇しましたが、その後は831日まで逆に低下していました。つまり株式市場はハービーの被害は限定的・一時的と判断していたことがわかります。

ところが92日にハリケーンイルマカリブ海で発生しアメリカに上陸する可能性が高いことがわかると、91日から株価が上昇を始め98日には最高値の160ドルにタッチしました。つまり市場は連続して襲い来るハリケーンの被害によって、ホーム・デポやロウズ(LOW)の災害対策商品の需要と売上が大きく伸びると判断を変えたことがわかります(ただし8月末まで機関投資家は夏休み中だったことも関係するかもしれませんが)。

この想定外の連続したハリケーンの影響で、アマゾンショックによってなかなか株価が上昇しなかったホーム・デポが急騰したのでした。他人様の不幸の上に利益をあげるようであまり嬉しくありませんが、626日から買い続けていたオプションを98日に半分売却しました。またチャートのテクニカル指標では、MACDMFIは急激に改善しましたが、相変わらずChiakin Money Flowはトレンドはプラスに変化しましたがマイナス状態です。そのため残りは来週早々に売却する予定です。

北朝鮮のミサイルと有事の円買いと株安:パート2

前回のブログ「北朝鮮のミサイルと株安・円高の理由」で、地政学的リスクの際になぜ円高(株安)が起こるのか、ブルームバーグのニュースとヤフコメの疑問を使って考えてみました。

今日(830)のヤフーニュースで時事通信社「「有事の円買い」って?=北朝鮮リスクで進行」が、なぜ日本に危機や紛争が起きたとき「円高」になるか解説をした記事がありました。私の理解と大きく異なるので、もう一度、この記事のロジックを検証してみたいと思います。

記事によると、

   「有事の円買い」金融危機や紛争など異変が起きた際、投資家がドルなどの外貨やリスクの高い新興国の金融商品を売って、「安全な資産」とされる円を買うこと。リスク回避の流れが強まり、円高が進む。

   「例えばどんなとき」1993年の北朝鮮のミサイル発射や2008年のリーマン・ショック、11年の東日本大震災、昨年6月に英国の欧州連合離脱が決まった際などに急速に円が買われた。今月29日早朝の北朝鮮のミサイル発射後は、一時1ドル=10830銭近辺まで上昇、前日比1円近い円高となった。

   「なぜ円は安全資産なの?」円は貿易などの決済に使われる主要通貨の一つで、取引量が多い。また経済大国の日本は経常黒字国で、世界最大の対外資産を抱える債権国としての信用力もある。かつては「有事のドル買い」という言葉があったが、01年の同時多発テロや08年の金融危機などを経て、ドルは安全資産と言われなくなったそうだ。

   「危機にさらされている日本の通貨が安全?」外国為替市場はさまざまな思惑で動く。ミサイルで被害が出て損害を埋めなければならない事態になれば、日本は海外に保有するドル建て資産などを売って円に替えようとするだろうとの観測から、外国人勢を中心に円が買われているとの解説がある。また、ここ数年の外為相場の動きから「有事なら円買い」という行動が染み付いていて、条件反射的に円が買われているようだ。これまで円を売っていた人が買い戻しており、そうした流れに乗じて利益を得ようとする投機的な円買いもある。

の反論:北朝鮮のミサイルの前から強烈な「円高・ドル安」(円安・ユーロ高)が続いていました。つまりドルは主要通貨に対して「全面安のトレンド」にあり、ミサイルによって急にドルが売られて「安全な資産」の円が買われることはありません。しかもミサイル危機の829日は円安・ユーロ高に振れています。つまり「有事の円買い」は対ドルだけです。

の反論:リーマン・ショックの時の円高の主張をする前に、しっかりと2007年から2009年の株式市場、金利動向、為替相場を見てからにしましょう。次に2016623日に行われた英国の国民投票の結果が想定外(離脱)だったため、翌日に日経の先物が大量に売られて1300円以上の暴落が起きました。この日本株暴落と同時に円買い・ドル売りになったわけです。つまり日本株下落と円買いをセットで考える必要があります。このときキャリートレードで円を売ってポンドを買っていたから、その巻き戻しによって円買いが起こったと言うのは針小棒大な主張でしょう。外国為替の市場規模を考えると、相場のモメンタムを一部の市場参加者が簡単に変えることはできないからです。

の反論:これは情緒的な主張で何ら理論や統計的な裏付けがありません。ドル・円相場の変動に限定した議論や主張は間違いのもとです。また外貨準備高割合はドルが約64%、ユーロが20%前後、ポンドや円は4%前後(2016年後半)です。この数値から判断しても、の主張は根拠がありません。

の反論:北朝鮮のミサイルが日本に落ちてくれば、一瞬にして東アジアは戦争状態に突入します。そんなときに、悠長に日本人が海外資産を売って円に換える?!と言うのはナンセンスです。経済合理的なお金持ちは無価値になる円(株や国債)を売り払って、金(ゴールド)や安全な地域の海外資産(不動産)を買って日本を脱出しようとするでしょう(^^;)

最後にヤフコメの多くの方が、円高の理由に円のキャリートレードの巻き戻しを根拠としてあげています。しかしキャリートレードを正確に定義することもその規模を推測することも難しい。いずれにしても829日に108円前後に円高に振れますが、去年の夏からトランプの大統領選勝利まで100円前後だった相場と比較すればそれほどすごい円高レベルではありません。また今年に入っても110円と115円あたりを上下する相場(ボックス相場)ですから、キャリートレード云々を根拠に解説するのは「何も説明していない」ことと同じように思われます。

以上のように考えると、前のブログに書いたように、最近のドルの全面安のモメンタムによって円高・ドル安が進んでいたところに地政学的リスクが起きたので、日本経済に対する懸念・弱気の台頭による先物主導の日経平均株価の下落、つまり日本株・ショート(空売り)とロング・円のペアトレードが引き起こされたと考えるのが合理的と思われます。

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