今年に入ってからもアメリカ経済は絶好調なのでオプション取引もうまくいくはずですが、今年の1月に米株市場が最高値をつけて投資を増やしたとたん暴落して、かなり損失を被ってしまいました。その後もトランプ大統領の貿易戦争の仕掛けに翻弄されて、下手くそな売買をしています。まあ仕方ないですね(^^;)

そこで今回は、今後の投資戦略に関係するトランプの対中国貿易政策の影響を考えてみます。まずトランプの貿易政策の概要を次のようにまとめました。
 「アメリカファースト」を掲げて国内の経済成長と雇用を最優先⇒その目的のため、税制改革や規制緩和、多国籍企業への恫喝、
Fedの金利上げへの牽制、ドル安の演出⇒国内の労働市場・消費市場・住宅市場・株式市場などを活性化⇒強い国内の経済を背景に、アメリカの利益を優先した、①不公正貿易の是正、②知的財産権の保護、③国家安全保障の目的を達成。

トランプの貿易政策

 まず法人税減税に続けて、利益の国内還元(repatriation)の税控除政策は、次のグラフからも明らかなように成功しています。2018年第1四半期には3000億ドル以上が還元しており、Fedの予想では海外利益は1兆ドルと見積もっているようです。同時に株式の買い戻しも1兆ドルに達しているようなので、実際の海外利益は2.5兆ドルと推定しているアナリストもいるようです。つまりトランプが貿易戦争を声高にアピールしても米株市場が強いため、資産効果のおかげで消費者の信頼感指数(Consumer Confidence Index)は最高値を維持しています。また賃金上昇によるインフレ懸念されない完全雇用状態も達成されています。

repatriation

 次に米中貿易のデータをグラフにしました。グラフより、習近平の訪米やトランプの訪中にもかかわらず、アメリカの対中国貿易赤字が拡大していることがわかります。もちろんトランプが言うように貿易不均衡が是正されないのは、中国が不公正な貿易をしているからだという一方的な批判は経済学的にはナンセンスですが、政治的な思惑によるプロパガンダとしてはとても便利なデータになります。

またトランプが一手に悪役を引き受けていますが、実際は民主党の方が対中国に対しては強硬な姿勢を取っているようです。『千と千尋の経済学:デリバティブの「化け物語」』にも書きましたが、中間選挙を控えたアメリカの政治家はまったく信用できません。

米中貿易

 次に、貿易赤字の関税措置では輸入超過のアメリカが勝つに決まっていますので、中国に対して一方的な関税措置の脅迫を行います。それらを次の表にまとめました。このブログを書いているのは917日ですが、近日中にトランプ2000億ドル関税の追加制裁25から10発表するようです。

 次回のブログでは、「トランプ大統領の対中国貿易戦争2:本質」というタイトルで、上記②知的財産権の保護の視点から更にこの問題を考えてみたいと思います。

関税措置