DFG~神に挑む犬~

BOY MEETS GIRL WITH DFG! 閼伽毘アスル作のライトなラノベコンテスト応募作品 通称『D犬』  

DFGは配られられた5枚のカード(エインヘリャルカルテ)を、

プレイヤー4人の中で最も早く戦場に出し尽くすこと(エンデ)が出来れば勝利となる。

公式設定によれば、「自軍の戦力を有効に使い切った者が戦に勝つ」とのことだ。

このルールが基本となるが、様々なオプショナルルールがあり、

対戦の都度条件が違うというのはままあることだ。

カードには1から13の数字が振られており、

その数字に対応したエインヘリャル(死せる兵士)を召喚できる。

2の数字のカイゼルが最も強く、3の数字のドライが最弱だ。

この13種のカードからランダムに5枚がプレイヤーの手札となる。

 この他にベルセルクというカイゼルにも勝てるカードも存在するが、

手札に回ってくることは稀で、さらに弱点もある。

今回のヒロキの手札は・・・

 

「おい、次誰かいかねーのか?」

観衆の一人がその場を仕切るように言ったが、

完全に脇役のセリフだ。

「ちょちょちょっ、待ってくれ!」

名も知らぬゲーマーがヒロキの隣で手を挙げながら叫んだ。

「なんだよ高橋?お前このゲーム苦手じゃなかったっけ?」

「俺じゃねえよ」

と言って名無しのゲーマーもとい高橋はコホンと咳払いをひとつ。

「この店のトップランカー、ロキ様がお見えだぜ」

「なっ・・・」

ヒロキは狼狽えた。

ざわついたモブキャラたちの視線が彼に向けられる。

ヒロキはこういった自分が注目される場面はあまり好きではない。

学校でもどこでも大勢の前に立つのは緊張する。

無論、この店のDFGプレイヤーでは最強であるためにプレイは注目される。

しかし、DFGのゲームブースはカプセル型の個室になっているため、

観衆の視線が注がれるのはヒロキ本人ではなく、観衆用のモニターだ。

そういった意味ではプレイを始めてしまった方が楽ではある。

「さあさあ、早く」

鈴木(高橋だっけ?)に急かされながらヒロキはおずおずとブースに向かう。

眼の端で意地悪そうに笑っている一部の連中を捉える。

彼らはヒロキが全国13位に勝てるとは思っていないのだろう。

いつも自分たちが敗北している相手がボコボコにされるのを見て

溜飲を下げようという魂胆が伝わってくる。

実際ヒロキのグラズヘイムでの最高順位は66位、

現在は80~100位のあたりをウロウロしている。

(にゃろう・・・)

元々負けず嫌いなヒロキに火がついた。

(やってやる!冷静に、冷静にだ!)

自分に言い聞かせる。プレイ前はいつもこうしている。

筐体の前に座り、ICカードを挿入する。

即座にプレイヤーデータが読み込まれ、アバタ―が表示される。

ゲームプレイで入手したマテリアルで道化師の服装に統一してある。

相対するアバタ―は戦乙女の甲冑姿、まさにヴァルキリーだ。

「このネカマ野郎がっ」

闘志をさらに煽るように呟く。

自分より強い相手を前にしての虚勢でもあるのだが、

ヒロキは自ら気付かないフリをした。

戦いを重ねて獲得したオナ―は、

勲章の形でアバタ―に身に付けさせている。

今日はなぜだかひどく薄っぺらいものに感じる。

緊張と冷静さ、闘志と不安がないまぜになり、

戦いの火蓋が切って落とされた!

「神の座を手に入れろ!
 
 『DFG』は死せる戦士エインヘリャルを召喚し、

 4人で戦い合うタクティカルカードバトル!

 ネットワークを通じて全国のプレイヤーと

 バトルを楽しむことができる『グラズヘイム』、

 全国のプレイヤーとチームを組んで

 敵CPUに立ち向かう協力モード『ヴィーグリーズ』、

 CPUや店内のプレイヤーとバトルできる

 『ヴァルハラ』など多彩なゲームモードを搭載。

 また、バトルで獲得したマテリアルやオナーによって、

 エインヘリャルをカスタマイズ可能!

 オリジナルのエインヘリャルがバトルを盛り上げる!」


犬上火飛露喜(いぬがみひろき)は半年前、

行きつけのゲームセンターでこんな煽り文句を見つけた。

初めは軽い気持ちでそのゲームのブースにはいったが、これがハマった。

シンプルなルールのゲームながら、奥深い戦略性を秘めていて、

マテリアルやオナ―といったやり込み要素も憎い。

ヒロキは半年でヴァルハラでは敵なし、

グラズヘイムでも上位ランカーとなっていた。

そんなある日、いつものようにヒロキがゲーセンへ行くと、

DFGの観覧用モニターの前に人だかりができている。

「あれ、今日なんかイベントの日だっけ?」

顔見知り(と言っても名前は知らない)のゲーマーに尋ねると、

「ああ、ロキか。グラズヘイム13位のプレイヤーが来てるってんで大騒ぎだよ!」

『ロキ』はヒロキのDFGでのプレイヤーネームであり、この店での通り名でもある。

「ふうん。」

興味がなさそうに装って、モニターのプレイヤーネームを見る。

『ヴァルキリー』という名があった。

確かに全国ランキングではよく見る名だが、ヒロキは対戦したことが無い。

記憶を探りながらぼんやりとそんなことを考えていると、

わあっと歓声が上がった。

見るとモニターには『25WINS』の文字、

ヴァルキリーがヴァルハラで25人目の挑戦者を倒した所だった。

 

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