2016年12月04日

M-1グランプリ2016

これぞ漫才決戦に相応しい、本当に面白い漫才を数多く見させてもらったと心から思えた今年のM-1グランプリ。結果は下馬評通りに銀シャリが王道漫才の強みを見せつけての12代目王者を勝ち取りましたが、いやはや今年のファイナルラウンド3組は昨年とは比べものにならないほどにレベルの高いものでした。

ただ残念だったのは、今大会の審査員が昨年の10人から半分の5人に減ったことで、各々の好みが大きく点数に反映されてしまったこと。特にK沼さんとM本さんは好みが正反対なのか、結構反比例していることが多かったですね。出来ればオール巨人師匠や中田カウス師匠のように、自分の好みを点数に色濃く反映しない審査員を増やしていただきたいものでした。

てな訳で今年も全組の感想を記していきたいと思います。

【アキナ】
トップバッターなのに王道漫才で堂々と勝負する根性がステキです。さすが元「ソーセージ」の2人。実力は折り紙付きでした。

【カミナリ】
インパクトは今大会No.1でしたが、2人の立ち位置が少し離れているのが叩きツッコミのネタバレになっていたのは勿体無い!

【相席スタート】
前半3組では最もネタが面白かった反面、もっと練って捻って面白くなっていただろうにと思えてしまったのも勿体無い。でもつい振ってしまう球みたいな女性には私も空振りをします。

【銀シャリ】
「レは…レ?」に「ファはファーのファ」などネタを被せに被せる面白さでファーストラウンドでは圧勝。鰻さんの凄さが橋本さんの面白さを霞めるくらいに素晴らしかったです!

【スリムクラブ】
2010年の衝撃の登場を意識しすぎたのか、スリムクラブの漫才ではなく「2010年のスリムクラブの漫才」になってしまったのが残念。

【ハライチ】
ノリツッコミを封印しての勝負魂は素晴らしいものの、やはりこのコンビは澤部さんのキャラクターに頼り過ぎなところがウィークポイント。岩井さんの魅力ももっと見せてほしい!

【スーパーマラドーナ】
本当に田中さんはキリッとしていた!という素晴らしいオチ。昨年同様に変態の田中さんの話と思わせるこの巧さ。好きですわ。

【さらば青春の光】
「漫画やん」をネタフリに「能やん」「浄瑠璃やん」で返す巧さは素晴らしいものの、でもどう聞いてもそれは能でも浄瑠璃でもないやん!と思われるようではねぇ〜。もっとネタを練ってムリのないネタで勝負をしていただきたい。

【敗者復活組:和牛】
得意のデートネタで勝負するのは和牛らしく、またツッコミの川西さんが腕を上げたこともあって、漫才としての完成度が高い。ただ昨年同様、こんな面白いコンビが予選敗退とは、予選時のネタ選びが下手なのか?

ファイナルラウンド
【スーパーマラドーナ】
中川家以来の「じゃ漫才」に加え、「プロの手加減で痛くないように叩いてます」を天丼で持ってくる面白さが素晴らしい。田中さんと武智さんの面白さが見事に融合していました。

【和牛】
続けてデートネタで勝負する潔さに加え、水田さんの「蛙は?」という小ボケも面白いけれど、見事な逆ギレをオチに使い続けるのは勿体無い。他のオチを持っているというところを見せて欲しかったです。

【銀シャリ】
うんちくネタでの王道漫才での勝負はスーパーマラドーナや和牛の勢いを考えると一見地味にも見えて勝負するには相当な勇気がいるもの。しかも1本目のネタよりも面白さが劣っていたものの、さすがこれぞ王道漫才の申し子。勢いよりも実力での勝利でした。

深夜らじお@の映画館はとろサーモンのスカシ漫才を決勝の舞台で見たかったです。

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2016年11月30日

『劇場版 艦隊これくしょん』

艦隊これくしょんこの戦いに意味はある!
私は提督ではないので、この作品に特別な思い入れはない。けれど不思議と艦娘が集合すると楽しいと思ってしまう。艦隊戦を見ると面白いと思ってしまう。
TVアニメ版の続きという流れでコミカルなシーンはほぼなく、シリアスな展開に終盤は主人公の精神世界での自問自答にはなっていても、楽しめた映画でした。

TVアニメ版ではほぼ登場することのなかった鳥海、加古、古鷹、衣笠、青葉、天龍による夜戦から始まるこの映画は、戦闘シーンがCGそのまんまで残念な結果に終わったTVアニメ版とは違い、艦娘たちの滑らかで格好良く戦う姿がとにかく見応えがあって、凄く楽しくも嬉しいもの。

しかも天津風や時津風、龍驤、明石、龍田、鈴谷、熊野といった上記の艦娘同様にTVアニメ版では登場機会のなかったキャラクターも多数登場して楽しい反面、高雄や愛宕、暁以外の第六駆逐隊、那珂、島風も出番なし状態ということもあってか、TVアニメ版を楽しんだ者としては嬉しさ半分悲しさ半分といったところ。

つまり「ぱんぱかぱ〜ん」や「バ〜ニング・ラ〜ブ!」といったコミカルな部分が全く描かれていないどころか、そんなコミカル担当の艦娘にさえも登場機会がほぼないというのは、やはり淋しくも感じるところ。

ただ単なるTVアニメ版の総集編ではなく、完全オリジナルでTVアニメ版の続きとして描くことで、一度は沈没した如月の帰還、その如月の深海棲艦化、そして加賀や吹雪といった深海棲艦から艦娘へと舞い戻ったことが希望へと繋がる話など、提督でない者でも十分世界観を理解出来る程度の展開で見せてくれるので、これはこれで結構楽しかったです。

でもやはりこういうアニメの最近の傾向なのか、クライマックスで主人公の吹雪が深海棲艦になった頃の片割れと対峙するくだりは、どうも退屈にも感じて勿体無いこと。
別にこういうシーンが不必要だとは思いませんが、もう少し短く描くことで、その空いた時間を別の艦娘を描く時間に充ててもらっても良かったのではないかとも思えてくるんですよね。

北上さんと大井さんの百合時間もほぼなければ、比叡・榛名・霧島の金剛お姉様ラブタイムもなければ、那珂ちゃんのソロコンサートもない。島風の自由奔放時間もなければ、陸奥の長門イジリタイムも第六駆逐隊のレディーへの修行風景もない。
天龍の怖い話は苦手というシーンはあるも、夕立の「ぽいぽいぽい」もない。睦月のヒロインタイムは十分あるも、赤城さんのお食事タイムもない。

結局、改二となった特型駆逐艦でもある吹雪が艦娘たちの希望として、主人公としてこの作品を背負う立場として、この劇場版で確固たる輝きを放っただけ。それで十分な作品ではあるものの、艦娘たちのキャラクターの多さを思えば、欲を出して他のものも見たいと思えてしまうも、それが描かれていないのが残念にも思える作品。

要はもっともっとこの作品をいろんなエピソードで見たいということ。だって高雄・愛宕・鳥海は登場したのに摩耶が登場しないのはダメでしょう。利根教官も登場しなければ、お嫁さんにしたい艦娘No.1の羽黒とお嫁に行かせてあげたい艦娘No.1の足柄も登場しないのは淋しいではないですか。

てな訳で是非ともTVアニメ版第2期を所望すると同時に、また劇場版でもこの艦娘たちを見たいと思える、そんな普通に楽しい作品でした。次の劇場版の時は是非コミカルな作品でお願いしたいものです。

深夜らじお@の映画館はデレる加賀さんをもっと見たいです。

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2016年11月29日

『ガール・オン・ザ・トレイン』

ガール・オン・ザ・トレインアルコール中毒・オン・ザ・トレイン。
古典的ミステリーと言われれば、まさに古典的ミステリー。定番のオチに落ち着くミステリーと言われれば、古臭さも感じるミステリー。要はアルコール中毒で虚言癖のある主人公をストーリーテラーとして受け入れることが出来るかどうかで、この映画の評価も決まってしまうのでは?

「初めて体験する衝撃のラストに激震!」という宣伝文句に興味を惹かれて見てきたこの映画ですが、まずOPから主人公のレイチェルが離婚歴のあるアルコール中毒という状況に「ガールちゃうやん!」とツッコミを入れてしまう始末。

さらにいつも列車の中から眺めているのはかつて結婚していた時に夫と住んでいた家ということもあって「何て未練たらしい女なんや」と思う一方で、虚言癖もあって全然信用の出来ない言動も相俟ってか、どうしてもこのレイチェルをストーリーテラーとしても受け入れることが個人的には難しかったのも事実。

またレイチェルが結婚時代に住んでいた家に現在住まう元夫のトムと彼を略奪したアナという設定も、そもそも略奪愛に成功した愛人が元妻の選んだ家具が並ぶ家に住みたいと思うか?仮に思ったとしてもこんなにも性格のいい女でいられるか?と疑念を抱かざるを得ないこと。

加えてこのアナの子供であるイーヴィのベビーシッターを務める隣人で、レイチェルにとっては理想の夫婦像であり友人でもあるメイガンも、若き日に出産するも自分の過ちで子供を風呂場で溺死させた悲しい過去があるとはいえ、そう簡単にスコットを捨ててトムと浮気するか?と思えて仕方ないんですよね。

結局アルフレッド・ヒッチコックの名作『裏窓』や『めまい』などを彷彿させる演出が散りばめられていると言われても、トムという女癖の悪いダメ男にコロッとダマされたバカな女3人のフェミニズムストーリーにも見えてしまったというのが残念なところ。
上記にもあるように、導入部分で引っ掛かってしまった者としては、どうしても古典的ミステリーと見ることが出来なかったのが残念なところ。

ですからアルコール中毒から立ち直り始めながらも、断片的な記憶を繋ぎ合わせてトムとメイガンの浮気に辿り着き、さらにそこからメイガン殺害事件の犯人が彼女の妊娠告白に動揺したトムだと判明するくだりも、どうも説得力に欠けるので衝撃とは程遠い感想しか残りませんでした。

まぁいつの時代も女癖の悪い男が一番悪いのは当然のことですが、ただそんな男にダマされる女の悪さもさほど追求せずに終わっちゃうラストもやっぱり衝撃とは程遠いものしか残らないこと。

これならレイチェル、アナ、メイガンによる3人の女性それぞれの視点による群像劇として描いた方がまだミステリーとしては面白く見れたかも?
少なくともアルコール中毒で虚言癖もあって明らかにガールちゃうやん!なレイチェルがストーリーテラーにならないだけ、ミステリーとしては見易いものになっていたのではないかと思えてしまいました。

深夜らじお@の映画館は主人公の年齢を考えると「レディ・オン・ザ・トレイン」の方が良かったと思いました。

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2016年11月27日

12月戦線映画あり!

ついにやってきました。映画ファンにとって最も忙しい一ヶ月が!正月映画シーズン到来です!何せこの秋映画は秀作が軒並み小品ばかりだっただけに、さぁ1年の締めくくりなんですから、見応えのある映画を待ってますで!と言いたいところなんですが…。果たしてどないなんでしょうか?
てな訳でそんな12月の注目作をピックアップです。

【12/1〜】
●『マダム・フローレンス!夢見るふたり』
どうもこの2人が夫婦に見えない。年齢差がありすぎ…。
●『ブレア・ウィッチ』
17年ぶりの続編って…。ホラー業界もついにネタギレ?

【12/3〜】
●『アズミ・ハルコは行方不明』
蒼井優単独主演作は8年ぶりなのか…。
●『沈黙のアフガン』
十三のオヤジ、今度はアフガンへ…ってランボーか!?
●『マックス・スティール』
人間×地球外生命体=ハイブリッド・ヒーロー!

【12/10〜】
●『海賊とよばれた男』
百田尚樹×山崎貴×岡田准一、再び!

【12/16〜】
●『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』
フォースと共にあらんことを…。

【12/17】〜
●『ヒトラーの忘れもの』
西ドイツの名作『橋』を思い出す、不条理な実話。

【12/23〜】
●『土竜の唄 香港狂騒曲』
ばっちこ〜い!あまり興味な〜し!

【12/24〜】
●『こころに剣士を』
アカデミー外国語映画賞フィンランド代表作品!
●『ストーンウォール』
ローランド・エメリッヒがストーンウォールの反乱を描きます!

てな訳で12月の注目作品は
『こころに剣士を』
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』
『ヒトラーの忘れもの』

深夜らじお@の映画館にとっては見る映画の少ない年末になりそうです…。

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acideigakan at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)clip!映画予告編 

2016年11月23日

『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』

ファンタスティック・ビーストファンタスティック・コワルスキーと魔法使いの妹の関係だけが気になります!
『ハリー・ポッター』シリーズが好きな方にはたまらない世界観。でも大人向けに作っている割には、やはり根底は児童文学が流れているために、最終的には中途半端なイメージしか残らない。
それが何とも勿体無い。これならコワルスキー主役でもええやん!

イギリスの魔法動物学者ニュート・スキャマンダーがとある目的のためにNYを訪れるという展開の割には、あまりイギリスとアメリカの違いについてはほとんど言及しない前半から、大人向けのファンタジーと銘打っても所詮はJ・K・ローリング原作なのだから、そういう子供が見ても理解されにくいことは描いていないのだと割り切って見るしかないこの作品。

それでも登場する魔法動物はどれも個性的で、かつ人間味溢れる騒動を起こしてくれるものだから、パン屋開業を夢見るジェイコブ・コワルスキーとの鞄の取り違えで大都会に放たれた彼らをニュートが捕まえるくだりは面白いことは面白い。

ただそんな魔法動物がいったい何匹逃げ出したのかも分からなければ、どんな特性があるのかも簡単にしか説明されないので、正直なところ光るモノが大好きなカモノハシもどきのニフラー捕獲作戦以外は特に盛り上がりもないのが残念なところ。

なのでニュートが苦労するのは魔法動物の捕獲というよりは、アメリカ魔法界のゴタゴタに巻き込まれてしまうことに重きが置かれてしまっているので、当然のことながらティナ・ゴールドスタインや彼女の妹であるクイニー、そして記憶を削除されないまま彼らと同行するマグル(ノー・マジ)のジェイコブ・コワルスキーと共に行動するニュートの活躍自体も少なくなっているのも残念。

本来ならホグワーツ出身のニュートの活躍を見せてくれてこその、新シリーズの主役の活躍を見せてくれてこその作品であるはずなのに、特に目立った活躍がないせいか、それともエディ・レッドメインがハニカミすぎなのか、どうも彼の魅力がスクリーンに映し出されていないように感じてならないこと。

逆にそんな地味な主役や地味なヒロインを抑えて様々な魅力を見せてくれるノー・マジのジェイコブ・コワルスキーが大きな活躍はないのに、なぜか彼をずっと見ていたいと思わせてくれるのだから、いっそのこと彼をストーリーテラーにしても良かったのではないかと思えてくるほど。

しかもこのジェイコブ・コワルスキーとクイニー・ゴールドスタインとの恋模様も、ニュートとティナの恋模様とは違って、応援したくなる可愛さもたまらないこと。心を読まれ、彼女の笑顔に蕩け、そしてピンチの時には自分がノー・マジであっても仲間であることには違いないことを強調するその格好良さ。

だからこそ、コリン・ファレルが姿を変えて白髪頭のジョニー・デップになった驚きも忘れさせるような、あの記憶を消す雨に打たれる男の覚悟を見せるシーンがたまらなく格好良く、そして切なく見えて仕方ないこと。

辛苦を分かち合った友も愛した女も忘れてしまうけれど、大切な友や愛した女性の住む世界の事情を考えると自分がこの雨に打たれることこそが一番いいことだと涙を堪えて決断するその姿。男前すぎるじゃなイカ!

そんな男前にニュートがオカミーの卵の殻をパン屋開業の資金にと渡し、クイニーがジェイコブ・コワルスキーの店を訪れるラストも心地いいこと。きっと彼の記憶からニュートやクイニーのことが消えていても、彼の唇はクイニーからのキスを忘れていないだろう。

そう思うとより一層ジェイコブ・コワルスキーのこれからの幸せをもっと見たい!ニュートの魔法動物集めよりも見たい!と思わせてくれるこの映画。やっぱり主役もしくはストーリーテラーはジェイコブ・コワルスキーにするべきだったのではないか!

深夜らじお@の映画館もティナよりもクイニー派です。

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2016年11月19日

『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』

ジャック・リーチャージャック・リーチャーよ、二度と戻ってるな!
こんなにも退屈な映画に出逢ったのはいつ以来だろうか。何もかも中途半端としか思えない映画に出逢ったのもいつ以来だろうか。
ジャック・リーチャーの魅力も相変わらずよく分からないまま、いやそれ以前にジャック・リーチャーの魅力なんて全く描かれていないままなら、もうシリーズ化なんて必要ない!

アウトローらしくないことがダメだったのか、『アウトロー』の続編なのに完全にタイトルが別物になっちゃっているこの作品。

確か前作で描かれたジャック・リーチャーは無法者で、自分の勝手な判断で自分が悪と決めつけた相手を勝手に葬ってしまうというキャラだったはずなのに、今作では退役はしたが未だに軍内部では影響力を残しているという「レジェンド」扱いをされていることにまずビックリ。というか、妙な違和感が残る残る。

しかも電話でよく話すだけのターナー少佐をデートに誘おうと直接軍施設を訪ねれば、彼女がスパイ容疑で逮捕されているという事実に、直接会ったこともない相手を完全に信じて脱獄させちゃうんですから、相変わらず俺様ジャック・リーチャーだけは健在。普通は少しでも調べてから「少なくとも彼女が犯人ではない」と確信を持ってから脱獄させるもんですけどね〜。

さらに娼婦だった女性から軍にジャック・リーチャーが父親だから養育費を払えという請求が来ていることにも「心当たりがないこともない」という理由だけであっさり認めちゃった挙句、その娘(仮)まで巻き込んでターナー少佐と共に3人で逃避行なんて、どこまでこの男は調べるという行為を軽視するんだ?ですよ。
あと、敵さんも敵さんで娘(仮)に利用価値があると信じ過ぎです。もしジャック・リーチャーが「俺は知らんで。全くの赤の他人や」と言い切ったらどないするつもりだったんでしょうね?

ですからそんな逃避行もとにかく退屈の連続。金髪の娘(仮)は頭の回転がいいのかと思いきや、敵にすぐ見つかる行為も当たり前のようにしちゃうほどのアホっぷりを連発。
ターナー少佐も有能なのかと思えば、特にジャック・リーチャーを凌駕するほどの能力を発揮することもない始末。

そして肝心要のジャック・リーチャーに至っては娘(仮)に言い返せない無様さをさらせば、ターナー少佐には「私の方がうまく出来た」と三行半を突きつけられるんですから、ホンマにこいつはレジェンド級の軍人だったのか?という疑問しか残らないとなれば、もはやこの映画が描きたいことが何なのかもよく分からなくなってくるんですよね。

結局プロとして詰めの甘い行動ばかり繰り返すジャック・リーチャーがターナー少佐と逃避行をしても結ばれなければ、娘(仮)に対しても父親もどきな感情だけで止まった挙句、雇い主の命令を完全に無視した暴れ犬状態の敵さんと特に大した結果にも繋がらない無益なバトルをするだけ。
将軍の麻薬密売という犯罪に気付くのも何のネタフリもなければ、高台から追手の行動を見張っていながら発砲されるまで敵の接近に気付かない無能ぶりばかりを見せつけるだけ。そんな映画が面白い訳がない!

やはりトム・クルーズには彼を輝かせることに長けたポーラ・ワグナーがいなければならない。彼女なしではトム・クルーズはまた娘(仮)に言い負かされて情けない顔をする演技ばかりすることになる。そんな彼を我々は見たいのではない!
心からそう思えるだけの映画でした。

深夜らじお@の映画館はトム・クルーズにはポーラ・ワグナーが絶対不可欠だと思います!

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2016年11月13日

『この世界の片隅に』

この世界の片隅にありがとう。この世界の片隅にうちを見つけてくれて。
これは万の言葉を用いても表現することの出来ない、今年の、いや日本映画界における屈指の稀有な傑作。見終わると他の映画と同じ扱いをしたくないと思える秀作。
昭和20年を生きておられた全ての先人に感謝します。私たちが今生きているのはあなた方のおかげだと。

1944年の広島・江波から軍港の街・呉の高台にある北條家へお嫁に来たのは絵を描くことが好きな、ぼっ〜としているという言葉が似合うほどのんびりした性格である18歳の少女すずさん。そんな彼女と共に過ごすこの126分は、戦時下の日常生活をありのままに描いた、一見戦争とは無縁にも思える作品。

「みんなが笑顔で過ごせるのが一番」という日常では、戦時下であることすら忘れるほどすずさんの一挙手一投足に絶えず笑いが起こる。憲兵にスケッチブックを没収されたり、楠公飯の不味さを知ったり、後頭部のハゲが見つかったりと、北條家での一日一日も温かく微笑ましい。
だから一家を支える若き主婦であるすずさんもご近所さんに色々教わりながら、食卓から裁縫まで創意工夫を凝らしながら、毎日を楽しく頑張っている。

けれど日常に戦争という「異常」が徐々に割り込み始める時代。初恋の相手で水兵になった水原哲や色街で道を教えてくれた白木リンとの時間の終わりは、すずさんの心に淋しさを呼んでくるが、同時に周作との夫婦喧嘩や義姉・径子の娘である晴美との楽しい時間の大切さを教えてくれる。

だからこそ、これまで時間を掛けてゆっくりと築いてきた大切な日常が戦争という「暴力」によって突然凄い勢いで壊されていくことに言葉に出来ない異様な恐怖を感じる。
当たり前のように土筆が育っている高台から防空頭巾を被ったすずさんが見た呉の空を覆う爆撃の煙。身体を張って嫁と孫を庇ってくれた義父が睡眠不足で倒れたとはいえ、肝を潰すほど心配して涙を流したこと。そんな異常が日常を食い尽くそうとする。

「ずっとこの世界で普通で、まともでおってくれ」と水原哲から言われたすずさんには強く生きることよりも普通に生きることが大切だったのに、空襲が呉の街を壊す。不発弾が晴美の命を奪う。すずさんの右手を奪う。すずさんが大切にしていたものを次々と奪う。

すずさんにとって未来の希望でもあった姪の晴美。大好きな絵を描いてきた右手。共に心の拠り所でもあった大切なものが奪われていく異常な日常。それは小さな子供がいる家庭では想像するだけでも耐えられない恐怖。自分の居場所を失うことと同じ意味を為す恐怖。

だがすずさんはそれでも北條家に居たいと願う。大好きな夫の帰りを待つこの家に居たいと願う。
そんな呉の街に西側から経験したことのない閃光が差す。強風が吹き荒れる。山の向こうから見えるきのこ雲が言い知れぬ恐怖を呉の街に降り注ぐ。

そして迎えた8月15日。玉音放送を聞き終えたすずさんが叫ぶ。「最後の一人まで戦うんじゃなかったのか」と。
信じてきたものが全て崩れ落ちる瞬間は、これまでの頑張りを全て無にされる瞬間。何のために晴美ちゃんは命を落としたのか。何のために私は右手を失ったのか。何のために肝を潰すほどの日々に耐えてきたのか。悔しさも怒りもぶつけることの出来ないすずさんの涙は私たちが流したことのない涙だ。

でも日常から異常が去っても、すずさんと北條家はこれまでと変わらず、いやこれまで以上に強く生きようとする。
ゆっくりと築いてきた大切な時間が凄い勢いで壊され続けた日々が終わったのなら、またゆっくりと時間を掛けて大切なものを築いていけばいい。

闇市での米兵残飯汁に義姉と「うっま〜」と感動した時間も、明るい照明の下で白米を楽しんだ時間も、戦争孤児を養子として引き取って育てていく時間も、全て日常における大切なもの。水玉模様の生地が女性たちにオシャレを楽しませる時代が来たのだから、また昔みたいに「みんなが笑顔で過ごせるのが一番」という日常も戻ってくる。

私たちは今「みんなが笑顔で過ごせるのが一番」という日常が当たり前の時代に生きている。それは昭和20年を生きておられた先人たちが異常な日常という恐怖に耐えて耐えて耐えて、それでも生きることを諦めてこなかったおかげである。この世界の片隅にある希望を見つけてくれたおかげである。

だからこの映画を見終ると、他の作品と同じように普通に映画館を出ようとは思えなくなる。何かこの映画のために、いやすずさんを始めとするあの時代を生きておられた方々のために、何かをしてから映画館を出たいと思えてくる。

そんなことを思わせてくれる稀有な映画に出逢えた。映画人生でもう2度とないかも知れない素晴らしい体験だ。

深夜らじお@の映画館にとってはパンフレットが1,000円なんて高いと思えない!むしろそれ以上の価値がある!

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2016年11月03日

『ぼくのおじさん』

ぼくのおじさんDas ist gut.:これでいいのだ。
平成の寅次郎、ハワイに現る。やはり時代や場所が変わっても男はつらいのだ。
何ともほっこりした映画なのか。まさに現代版『男はつらいよ』とも言うべき、この屁理屈が服を着て歩いているようなおじさんにまた会いたくなるではないか。
新たなる美女との関係性が気になる続編も早く見たい!

小学生の春山雪男が「自分の周りにいる大人について」の作文に悩んだ末に題材として選んだのは、父親の弟でもある、週に一日だけ大学で非常勤講師をしている居候のおじさん。

ただこのおじさんが本当に只者ではないのが面白いところ。ぐうたらでケチで見栄っ張りで屁理屈ばかりこねるうえに、甥の宿題は手伝わないけどマンガ雑誌を甥との共同で買おうとする、運動は全く出来ないけどネコの煮干しは強奪する、智子おばさんには頭が上がらないけど義姉に小遣いはせびる、最先端の哲学者だと言い訳ばかりするけど子供染みたいたずらはやめないなど、丸眼鏡に微妙な口髭と口癖である抑揚のない「ワオ」が何ともいい味を出していること。

そんな甥の雪男も嘆くダメなおじさんが一目惚れしちゃったのはお見合い相手でハワイの日系4世のエリー。コナコーヒーや写真のウンチクを垂れるわ、ホノルル大学に留学するかも知れないと嘘をつくわと何かとエリーの気を引こうとしては、ハワイに帰ったマドンナに逢うべく、資本主義的イデオロギーからの脱却を言い訳にハワイ旅行が当たる応募シール集めに大奮闘。

でも結局はご自慢のくじ運にも見放され万年床で不貞腐れる始末と思いきや、作文コンクールの副賞でハワイ旅行を当てた雪男に連れられ、いやおじさん的には雪男を連れて、いざマドンナの待つハワイへ!というところまでがこの映画の面白かったところ。

ハワイに到着してからはエリーの元彼が老舗和菓子屋の若社長・青木と判明すると容易にオチが読めてしまうわ、ドラッグで逮捕されたり、少しのコーヒー農園労働で倒れたりするおじさんの口癖である抑揚のない「ワオ」もすっかり消えてしまっているわと、前半での見せてくれたこの偏屈なおじさんの魅力やそんなダメなおじさんを叱咤激励する雪男とのやりとりなどもすっかり影を潜めてしまうため、どうしても物足りなさや停滞感を感じてしまい、このハワイ滞在期間が長く感じてしまうのが残念でならないこと。

ただそんなおじさんがエリーのことを想い、青木との復縁を優しく後押しするくだりは、昭和テイストな作風も相俟ってか、人情味に溢れていて心が温かくなるのだから、やっぱり『男はつらいよ』シリーズが終わった現代において、こういう作品は必要不可欠だと思ってしまう。

そんな観客の要望に応える用意があるのかどうかは分からないが、ラストで雪男の担任であるみのり先生がおじさんに好意的な興味を持つくだりは否応なしに観客に「ここから先の展開を見せてよ!」と思わせるのだから、「それはまた別の話」というオチはあまりにも残酷だ。

特に妹役の恐ろしいまでの棒読み演技もアシストしてか、春山雪男を演じた大西利空クンが素晴らしい魅力と存在感を放っているだけに、彼があまり成長しないうちに是非おじさんとみのり先生の恋模様を見てみたい!
というか、この屁理屈が服を着て歩いているようなおじさんにまたスクリーンで逢いたい!

深夜らじお@の映画館もいつか姪っ子たちに「わたしのおじさん」という作文を書かれる日が来るのでしょうか。

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2016年11月02日

『湯を沸かすほどの熱い愛』

湯を沸かすほどの熱い愛誰の心にも「お母ちゃん」が必要だ!
人生に迷った時、前に進みたくても進めない時、いつも我々の背中を押してくれるのは血の繋がりを越えた「お母ちゃん」と呼びたくなる女性。
本気で心配してくれて、包み込むように優しく抱きしめてくれて、いつも味方になってくれる「お母ちゃん」に涙が止まらない。

「湯気のごとく亭主が蒸発しました。しばらくお湯は沸きません」という張り紙を張って銭湯・幸の湯を1年間も閉めていた幸野双葉。誰からも好かれるというよりは、誰にでも自分の子供のように世話してくれる彼女の大きな優しさに触れると、自然とこの「お母ちゃん」にいい報告をしたくなる。

学校でイジメに遭っても反抗も認知もしてこなかった安澄が体操服を脱いでお母ちゃんが買ってくれた下着姿になってまで制服奪還を成し遂げる。
誕生日に実母が迎えに来ると信じても叶わずお漏らしまでしちゃった鮎子が泣きながらこの家に置いて欲しいと懇願しながら強い子になると心を決める。
北海道出身と嘘をついたバックパッカーの拓海が日本の最北端を目指すという目標を通して自分の歩む道を照らしてくれたお礼の報告に来る。

これは実母に限らず、職場などでも出逢う母親世代の女性たちに、特に精神面でお世話になった若い世代が自然と抱く気持ち。時に実母以上に親しみを感じる「お母ちゃん」的存在に対し、自分が出来ることなら何でもやります!恩返しをしたいんです!と思える気持ち。

でも「お母ちゃん」は決して恩返しを望んでいる訳ではない。自分の子供のような若者や頼りないダンナのことが心配なだけ。
特に末期がんと診断された双葉にとっては、その心配というのはあまりにも大きすぎるもの。本当に私がいなくてもダンナ・一浩の前妻の娘・安澄は、一浩の愛人の娘・鮎子は、人生に迷った拓海は、娘を育てるという現実から逃げ出した酒巻君江は、片親での子育てと探偵業で忙しい滝本は、そしてピラミッドを見せてくれると約束するも果たしてくれないダンナは大丈夫なのかと。

だから安澄に実母の君江と逢わせる旅に出る。安澄に手話を学ばせていたのもこの時のため。いやこの時から始める大切な時間のため。
鮎子やダンナには家族4人でしゃぶしゃぶを楽しみ、家族4人で毎日銭湯の掃除をする。家族がバラバラにならないように。

そんな双葉もまた実は母親に捨てられた過去を持つからこそ、実母が幸せに生きているという現実に複雑な気持ちを抱く。双葉にも「お母ちゃん」が必要なのに、その「お母ちゃん」は天国にはいない。私は大切な子供たちを残して一人で旅立たねばならないのかという悔しさがより彼女を孤独にする。

けれど双葉には血の繋がりはなくても心が繋がっている大切な家族がいる。そんな家族が夜の病院敷地内で人間ピラミッドを作る。発案者のダンナと共に拓海と滝本が土台になり、安澄と君江が中段に、鮎子が頂上に、そして滝本娘がスフィンクスに。
実物のピラミッドには敵わないかも知れないけれど、世界に二つとない幸野双葉にとっては人生最高のピラミッドに観客の涙が止まらなくなる。

ただ個人的にはあのラストがどうも気になる。人間ピラミッドのくだりで終わらせず双葉の臨終直前のシーンを入れたかと思えば、最後は双葉を幸の湯で火葬するというのは、ちょっとこれまでの流れを考えるとベタから急に奇を衒った展開になったかのようにも思えて仕方ないこと。
確かにこれで「湯を沸かすほどの熱い愛」という妙なタイトルの意味も理解は出来たけれども、そこまで双葉が望んでいたシーンもなかっただけに、ちょっと複雑な気持ちになったまま劇場を出るハメになったのは少々残念。最後までベタを押し通しても良かったのに…。

てな訳でやっぱり男は女には敵わない。特に母になった女性には敵わない。だって「お母ちゃん」なんだから!ということを改めて痛感した良き映画でした。

深夜らじお@の映画館にも「お母ちゃん」と呼ぶに相応しいほど、お世話になった女性がたくさんいます。

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2016年10月31日

11月戦線映画あり!

秋映画に消化不良のまま迎えてしまう11月。ここ近年の傾向から言って、11月はもはや正月映画第1弾の公開時期。つまりはもう年末気分の始まりでもあるんですよね。
そろそろ今年の総括を気にしなければならない一方で、改めて感じる夏以降の「今年の10本」に入るような作品の少なさ。
今年も残り2ヶ月。果たして「今年の10本」に入るような作品にはあと何本出逢えるのでしょうか。
てな訳でそんな11月の注目作をピックアップです。

【11/3〜】
●『ぼくのおじさん』
山下敦弘監督最新作。松田龍平おじさんが気になります!

【11/5〜】
●『ジュリエッタ』
ペドロ・アルモドバル監督最新作。
●『続・深夜食堂』
そういえば前作も未見のままですわ。
●『溺れるナイフ』
何か『恋空』っぽいと感じるのは予告編だけ?
●『ボクの妻と結婚してください。』
妻の気持ちは重要視されているのでしょうか?

【11/11〜】
●『オケ老人』
オーケストラを題材にする=ダメな連中のリベンジものばかり…。
●『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』
またあの自称アウトローが帰ってくる!

【11/12〜】
●『この世界の片隅に』
本年度大注目のアニメ作品、ついに公開!
●『ミュージアム』
カエル男を演じる俳優が誰かネタバレしちゃダメでしょう!

【11/18〜】
●『ガール・オン・ザ・トレイン』
これは楽しみなミステリーだ!

【11/23〜】
●『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
J・K・ローリング原作の新シリーズ第1弾。

【11/25〜】
●『メン・イン・キャット』
バリー・ソネンフェルドがネコになったケビン・スペイシーを撮ります。

【11/26〜】
●『エヴォリューション』
ギャスパー・ノエのパートナー:ルシール・アザリロヴィックが贈る、美しき悪夢。
●『疾風ロンド』
マジメな話じゃないのかも…。
●『劇場版艦隊これくしょん』
TV版の総集編なのか、それとも完全オリジナルなのか…。

てな訳で11月の注目作品は
『この世界の片隅に』
『ガール・オン・ザ・トレイン』
『エヴォリューション』

深夜らじお@の映画館は年末に向けて今年の総括の準備に入り始めます。

※お知らせとお願い
【元町映画館】へ行こう!

acideigakan at 00:04|PermalinkComments(2)TrackBack(0)clip!映画予告編 
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