2006年08月11日

『海を飛ぶ夢』

海を飛ぶ夢生きるとは何か?死ぬとは何か?そして死ぬ権利とは何か?いくら考えても正しい答えのない問題ですけど、誰もが考えなければならないことです。特に身近に死を迎える家族や友人がいる方にとっては多分他人事としては見れないそんな映画だと思いますが、決して暗く重い映画ではなく、見終わった後に自分ならどうするだろう?と自問自答したくなる名作だと思います。

『アザーズ』を始め、死をテーマに映画を作り続けているアレハンドロ・アメナーバル監督。この第77回アカデミー賞において外国語映画賞を受賞したスペイン映画は、
史実を基に映画化されているとはいえ、監督が自分の考え方を観客に押し付けるタイプではなく、あくまでも観客に「あなたならどうしますか?」と投げかけるスタンスで作られたもの。
ですから事故で首から下が全身不随になり26年間も寝たきり生活を送っていたラモンが尊厳死を選ぶことにより、家族や友人など、彼の周囲の人々の心の葛藤もきちんと描かれているんですよね。

冒頭でも述べましたが、この映画は身近に死を迎える存在がいる人が見ると、凄く心に響く映画です。
かくいう私もこの映画に出会ったのはちょうど愛犬が15歳になり、死の影が近いことが実感できていた頃。特に言葉を話せないペットはもちろん尊厳死を選びたいなんて言えないのは当たり前。なら家族として考えるのはこのまま自然死を待つか、それとも安楽死を選ぶかということ。

もし自然死を選べば、それは寿命をまっとうしたと考えられますが、その一方で死ぬまで家族であるペットを苦しませたという罪悪感は残ります。
かといって安楽死を選べばペットを苦しみから救ってあげることはできても、家族を自分の意思で殺したという事実と罪悪感だけが残ります。
どちらも正しい答えではないですし、間違った答えでもない。じゃあ、自分はどうするか?
それまでいつかは考えなければならないと心のどこかで思いながら、ずっと避けてきたことをこのとても他人事とは思えない映画を見たことで、私自身も真剣に考えるようになりました。

結局私はどちらも選べないに近い形で自然死を選択することになりましたが、今でも心のどこかで無念さだけが確実に残っています。
ですからもしこれが尊厳死を選択できる大切な友人や家族なら…。
そのとき、みなさんならどういう決断をしますか?

命が軽視される時代になって本当に久しいですが、でもこういう時代だからこそ是非見ていただきたい映画。アメナーバル監督の最高傑作とも言える映画だと思います。

深夜らじお@の映画館は最後は自然死を選ぶのでしょうか。

acideigakan at 22:32│Comments(8)clip!映画レビュー【あ行】 

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この記事へのコメント

1. Posted by pumiwo   2006年08月14日 00:08
すばらしい作品でしたよね。
尊厳死、つまり自分の命に対して自分で責任をとる、ということについて深く考えさせられました。
私はこの映画から
尊厳死がいいとかいけないとかひとくくりにして考えるのは無意味であり
ひとりひとりが自分の生に向き合って答えを出すべきなんだ、と感じてなぜか安心もしました。
死を考えることはよりよく生を生きること、という言葉もあります。
思いテーマを扱いながら明るくさわやかな印象を残し希望すら感じさせる傑作でした。
(なお、私の母の感想は「あんなに知性的な人なんだからもすこし頑張れるそうなのにー」でした。これはこれで率直な意見…)

2. Posted by にゃむばなな   2006年08月14日 00:21
pumiwoさん、コメントありがとうございます。

お母さまのご意見もなるほどとは思います。でも頭の良さにかかわらず、死について考えれば考えるほど生きるってことはどういうことか悩んでしまいます。
3. Posted by れいんぼうず   2006年08月14日 19:16
にゃむばななさん、こんばんは♪コメントありがとうございました♪

いろいろ自分と置きかえて考えてしまいますね。身内が尊厳死を望む場合、自分が四肢麻痺になった場合…どれが正しい答えというのは明確にないですが、いろいろ考える良い機会になりました。
4. Posted by にゃむばなな   2006年08月15日 00:14
れいんぼうずさん、コメントありがとうございます。

こういう風に色々と考えさせてくれる映画が増えてくれると嬉しいですね。
5. Posted by miyu   2008年01月09日 00:20
コレは考えても考えても答えはないんだろうけど、
考える事にこそ意味のある問題でもありますよね。
にゃむばななさんの愛犬、ペットの場合、
人間でも意思表示が出来ない場合、
様々なケースがありますし、
人それぞれの考え方もありますものねぇ。
6. Posted by にゃむばなな   2008年01月09日 19:56
miyuさんへ

誰もがいつかは経験する死をテーマに、決して持論を押しつけるのではなく、見る人に考えさせる演出は見事でしたよ。
7. Posted by かのん   2011年03月13日 22:09
ホントいろいろと考えさせられる作品でした。私はラモンのような四肢麻痺でもサポートを受けながら人生を精一杯を謳歌されてる方を実際に知っているのでやっぱりラモンには生きてほしいなという思いのほうが強いです。でもそれは人がどうこう決めつけることではなく個人の思いが出来るだけ尊重されることが一番望ましいのかもしれませんね。
8. Posted by にゃむばなな   2011年03月13日 22:21
かのんさんへ

そうですね。一番大切なのは個人の思いが尊重されること。
ですからラモンに生きて欲しいと思われたかのんさんの考え方も、彼の死を認める見方をした私の考え方も決して間違いではないんですよね。
なぜならこの映画の問いかけに正しい答えなんてないのですから。

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