2007年01月08日

『ホテル・ルワンダ』

ホテル・ルワンダこの映画を見た方の評判の良さを受けて遅ればせながら見てみましたが、これは映画館で見ておくべき映画だったなぁ〜と後悔するくらい非常に素晴らしい作品でした。確かに重いテーマの映画ではありますが、これは「人として見るべき映画」だと思いました。

1994年、ルワンダで起きた多数派フツ族による少数派ツチ族大量虐殺の悲劇。和平交渉にあたっていた大統領が暗殺されたことで混乱状態になった首都キガリでホテル「ミル・コリン」の支配人でフツ族のポールは妻がツチ族ということでひとまずホテルに避難します。このホテルは外資系資本のためフツ族の民兵も手を出せない場所ということもあって続々とツチ族の避難民が訪れるようになります。国連や欧米諸国からの救助もあてにならないままでの、ポールの家族や仲間の命を守る戦いを描いた作品です。

恥ずかしながら私はこのルワンダでの大量虐殺のニュースは記憶としては残っていますが、知識としてはほとんどないに等しいものでした。ですからラジオのニュースで安易に人々が虐殺行為を行うことや同じ人間をゴキブリ呼ばわりすること、そして霧が晴れたら現れる虐殺された死体で埋め尽くされた道にはとてもショックを受けました。特に白黒映像だった『シンドラーのリスト』と比べても、ルワンダの民族衣装が色鮮やかということも加味して、より血の色が生々しくリアルに見えてしまうのには言葉を失ってしまいました。まるで画面から血の臭いが漂ってくるような恐怖。ここまで恐ろしいことが実際にあったことが信じられません。

またオープニングの「なぜツチ族を嫌うのか?」という問いには「歴史を学べ」と答えるくだりにもショックを受けました。ホアキン・フェニックス演じるジャーナリストの台詞にもありましたが、見た目ではツチ族とフツ族の見分けなどほとんどつきません。ポールとタチアナのように民族間を超えた結婚も普通みたいです。フツ族とツチ族の対立には長い歴史があるようですが、逆に言えばそれだけ長い時間があれば仲良くなる機会はたくさんあったはずです。お互いを理解しようとせず、相手に恐怖ばかり抱くあまりこんな悲劇が起こってしまったことに、人類の精神的進歩の未熟さを感じずにはいられませんでした。

でもそんな絶望だらけの中でも常にみんなを先導し、悪徳将軍たちと交渉するポールの勇気ある行動は「立派」という言葉以上にすごいものでした。特に電話作戦には感動してしまいました。相手の見えない電話で相手の手を握れという言葉は心に響きます。あんな恐怖だらけの状況下で心に響く言葉を言えるなんてすごいです。
でもこの映画はそんな彼を安易に英雄と描かず、家族を守りたいと願う一人の人間として描いているところがいいですね。何もごちゃごちゃ考えず大切な人を守りたいというポールみたいな想いと、彼のような勇気ある行動を知り学ぶことが平和な時代に生きる私たちには必要であることを実感できた傑作でした。

深夜らじお@の映画館は心から平和を願っています。

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『ホテル・ルワンダ』を観ましたルワンダ事件(100日で100万人が虐殺された)を背景に、愛する家族を守りたいという想いをきっかけに1200人もの命を救ったホテルマンの行動を描いた実録社会派ドラマです>>『ホテル・ルワンダ』関連原題:HOTELRWANDAジャンル:社会...

この記事へのコメント

1. Posted by YUKKO   2007年01月08日 21:00
5 私の2006年ベスト1映画です。東京と大阪以外あまり公開されなかったと聞きましたが、どうなったのでしょうか。涙も凍りつく映画でした。もしかして、今もどこかの世界でこのような事が繰り返されている可能性もありますよね。
2. Posted by にゃむばなな   2007年01月08日 21:34
YUKKOさん、コメントありがとうございます。

そうですね、今もイラクなど世界のどこかでこのような悲劇が起こっている可能性はありますよね。
こういう悲劇はもう二度と見たくない、聞きたくないという思いになる、すごい映画でしたね。
3. Posted by ちゃぴちゃぴ   2007年01月08日 22:08
これは、観ておく映画でしょうね。
何も出来ないけど…。知るためには観ないとね。
血で血を洗うような民族の争いは、悲惨です。
凄い映画だったなぁと思いました。
ポールは、ただ家族を助けたかった。それだけなんだよね。
シンドラー〜よりは、色彩的にもズンっときた事は同じです。
4. Posted by にゃむばなな   2007年01月08日 22:18
ちゃぴちゃぴさん、コメントありがとうございます。

知らないことが罪であるという言葉が胸に響く、そんな作品でしたね。
我々には何もできないかも知れませんが、少なくとも「恐いね」と言いながら食事を続けることは止めることができると思いました。
5. Posted by ミツ   2007年01月08日 22:35
こんばんは!
コメント&TBありがとうございました!

この映画はポールを英雄的に描こうとすればいくらでもできたと思うんです。けれど彼はあくまで結果的に英雄になっただけなんですよね。こういう描き方をちゃんとしたのは、とても好感をもちましたよ。『ユナイテッド93』もそうでしたが、制作者側が真摯にテーマと向き合っていることがよく分かりました。
6. Posted by にゃむばなな   2007年01月08日 22:58
ミツさん、コメントありがとうございます。

結果的に英雄的行動をとっただけというのは、すごく適切な表現だと思いましたよ。
伝えるべきことはその人の存在ではなく、その人の行動だということを明確に映像に残した製作者の意識の高さに感服するばかりでしたね。
7. Posted by にいな   2007年01月09日 14:46
にゃむばななさん

わぁ〜早速見られたんですね!!良かったー。知っていたのに何一つ動こうしなかった自分が恥ずかしいです。
全世界の人が一斉に声を上げたら、あれだけ多くの人が殺されずに済んだかもしれません。
時な無関心ということは、見殺しにするのと同じ意味を持つのですね・・・
8. Posted by にゃむばなな   2007年01月09日 20:58
にいなさん、コメントありがとうございました。

昨今のいじめ問題にも共通していることですが、無関心の恐ろしさや自分の利害だけに囚われ見て見ぬふりをすることの非常さを痛感させられた作品でしたね。
所詮他人事という考えを持っていた自分をすごく恥じた映画でしたよ。
9. Posted by 由香   2007年03月31日 18:06
にゃむばななさん、こんにちは!
遅れ馳せながら鑑賞しました。
私は、恥ずかしながらルワンダ紛争について何も知りませんでしたので、虐殺が始まって激しく動揺しました。
そして、民族間の争いが、そもそも植民地支配層が煽ったものだと知り、やるせなくなりました。
世の中には知らない事ばかりです。
でも少なくとも無関心でいてはいけないな。。。と強く思いました。
10. Posted by にゃむばなな   2007年03月31日 22:23
由香さん、コメントありがとうございます。

いつの時代も強者の都合で生まれた溝が嫌なくらいにまで永く残るのは悲しいことですよね。
電話作戦のシーンでも語られていましたが、一人でも多くの人に関心をもってもらうことの大切さがこの映画を見ると痛切に感じますよね。
11. Posted by ジグソー   2007年04月09日 19:05
どうも!
ようやく見ました。

この映画で何より良かったのが、ホアキンのキャラでした。
僕らと同じ客観視してるキャラで、『怖いねと言うだけでディナーを続けるんだ』という台詞がとても印象的でした。
12. Posted by にゃむばなな   2007年04月09日 19:40
ジグソーさん、コメントありがとうございます。

そうですね、あの台詞は凄く重みがありましたね。
昨今のアフリカの悲しい歴史を描いた作品全てに共通するものだと思いますよ。
13. Posted by miyu   2008年08月25日 21:28
本当にこの映画は観るべき映画ですよね。
でも、同時にそれだけではいけない
映画でもありましたね。
「シンドラーのリスト」もそうだったけど、
おっしゃるように決して英雄として描いていない
ところも良かったですね。
14. Posted by にゃむばなな   2008年08月25日 22:04
miyuさんへ

もし彼を英雄として描いていたら、「これは見るべき映画」なんて感想にならなかったと思います。
「見るべき映画」とは何かを念頭に置いて作られたからこそ、たくさんの人に感動を与えてくれるんでしょうね。

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