2007年01月09日

『シンドラーのリスト』

シンドラーのリストいよいよアカデミー賞の時期が近づいてきたことと、昨日の『ホテル・ルワンダ』にもそのタイトルを挙げたことで今日は『シンドラーのリスト』を肴にしたいと思います。
誰もが知っているスティーブン・スピルバーグ監督の傑作。第二次世界大戦下でナチスによるユダヤ人大量虐殺が横行するなか、多くのユダヤ人を労働力確保という名目で安全な収容所に匿ったオスカー・シンドラーの戦いと苦悩を描いた作品です。

この作品が作られる当時までは実際にこのような立派な行動を起こした人が一般に知られることは少なかったようですね。日本人外交官杉原千畝さんの功績が世に知られるようになったのもこの映画が公開されてから。しかし何の因果か、この映画が世界で上映されている同じ頃にルワンダではあの大量虐殺が行われていたんですよね。歴史ってある意味すごく残酷なものですよね・・・。

この映画は全編白黒映像ということもあって、アルフレッド・ヒッチコック作品にも似たような古典映画特有の恐怖というものがあります。レイフ・ファインズ演じるドイツ人将校には映像以上に暖かい心が全くなく、またベン・キングズレーやリーアム・ニーソンは立派な行動をしているはずなのになぜか希望が見えないような空気が常に漂っている演出にはスピルバーグ監督の映画監督としての凄さを実感せずにはいられませんでした。
特にリーアム・ニーソン演じるシンドラーの表情が終始暗かったのがとても印象的でしたね。「もっと救えたはずなのに・・・」とか「同じドイツ人として恥ずかしい・・・」とか彼の様々な苦悩がより彼の置かれた状況の厳しさ辛さを物語っているようにも思えました。

ただこの映画に唯一難を言うとするならば、あえてその白黒映像でしょう。確かに白黒映像にしたことでのメッセージ性は強くなったと思いますが、その反面この悲劇がより遠き過去のことのように思えてしまうのも否めないことだと思います。
でもそれは私がこれまでに『ブラックホーク・ダウン』や『ホテル・ルワンダ』のような作品を見てきたから故の感想です。これらの作品を見る前はこんなことはちっとも思いませんでした。
ですから今改めて考えると、多くの人命が同じ人間の手によって奪われる悲劇を映画化し、そしてその事実から目を背けずに知ろうとすることの大切さを真っ先に教えてくれたスピルバーグ監督はやはり偉大な監督だと思いました。

深夜らじお@の映画館は人種差別撤廃宣言に心から賛同します。

acideigakan at 21:41│Comments(8)clip!映画レビュー【さ行】 

この記事へのトラックバック

1. シンドラーのリスト  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2007年08月17日 22:14
 コチラの「シンドラーのリスト」は、スティーヴン・スピルバーグ監督が「カラー・パープル」以降、娯楽作の合間に撮り続けてきたいわゆる"オスカー狙い"と揶揄されちゃったりもする感動作です。  だけど、念願叶って第66回アカデミー賞の作品賞&監督賞をはじめとする7...
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3. シンドラーのリスト - Schindler's List -  [ むーびーふぁんたすてぃっく ]   2010年04月09日 04:54
シンドラーのリスト スペシャル・エディション 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD] 「シンドラーのリスト - Schindler's List -」 感殮.

この記事へのコメント

1. Posted by にいな   2007年01月10日 12:34
にゃむばななさん

いい映画ですね。
白黒の中に浮かび上がる真紅が印象的でした。列車の中のユダヤ人に水を浴びせるシーン・・・涙が出ました。
2. Posted by にゃむばなな   2007年01月10日 19:11
にいなさん、コメントありがとうございます。

『ホテル・ルワンダ』でもそうでしたが、人間を物扱いする酷さには言葉を失ってしまいましたよ。
3. Posted by miyu   2007年08月17日 22:19
トラバありがとうございました。
こちらからもお返しさせていただきますね。
なるほど、あの白黒の映像によって
確かに過去の事という印象をより強める事で
あくまで実際に行われていたコトであって、
現在も行われていたり、これからも行われうる事との
印象は薄らいでしまうかもしれませんね。
4. Posted by にゃむばなな   2007年08月17日 22:31
miyuさん、コメントありがとうございます。

『ホテル・ルワンダ』を見たことで、ついつい『シンドラーのリスト』と対比させてしまいましたが、よくよく考えればこの映画があったからこそ、カラー映像で戦争の悲惨さをリアルに描くということができたのかも知れませんね。

そういう意味でもやはりこの映画は素晴らしい映画ですよ。
5. Posted by ホーギー   2008年10月05日 11:56
こんにちは、ホーギーです。
久しぶりにこの作品を観ましたが、何度観ても真のドキュメンタリー作品を観ているようで、毎回戦争や人種差別について考えさせられます。
まさにスピルバーグの最高傑作だと思います。そして、主役のリーアム・ニーソン、ユダヤ人会計士役のベン・キングズレイ、そして、収容所所長役を演じたレイフ・ファインズの3人の演技が素晴らしく、この映画に説得力を持たせていますよね。
本作品は「戦場のピアニスト」とは違った描かれ方をしていますが、両作品とも、過去の過ちを起こさないためにも大切な作品だと思います。
6. Posted by にゃむばなな   2008年10月05日 14:18
ホーギーさんへ

個人的にはスピルバーグ作品の中では『プライベート・ライアン』が好きなのですが、仰るとおりこの映画は主役3人の俳優によって輝いた作品でしたよね。
7. Posted by なな   2009年04月20日 09:34
賛否両論(賛の方が多いとは思いますが)ある作品ですが
スピルバーグの力量がいかんなく発揮された傑作だと思うし
これを製作した意義は大きいと思います。
昨日,アウシュビッツの記録映画の名作「夜と霧」を観ましたが
映像の残虐さはこの「シンドラー」をはるかにしのぐもので
「シンドラー」でもまだソフトに描いてたんだと戦慄しましたよ。
8. Posted by にゃむばなな   2009年04月20日 15:47
ななさんへ

私は『夜と霧』は未見なのですが、確かに『戦場のピアニスト』と比べてもゲットーの残虐さはまだマシでしたね。

でもこういう偉人がいたということを世界に知らしめただけでも、この映画の功績は大きいですし、ここまでの完成度を誇ったのも素晴らしいことだと思いました。

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