2007年02月28日

『ミリオンダラー・ベイビー』

ミリオンダラー・ベイビーこれこそアカデミー作品賞に相応しい映画です!映画を見終わった時のやるせなさと衝撃。ラース・フォン・トリアー監督の作品よりはまだ救いがある映画ではありますが、それでも深く心に残るクリント・イーストウッド監督の大傑作だと思います!

あることがきっかけで選手を大事に育てすぎるようになった老トレーナーのフランキーのもとに31歳の女性マギーが弟子入り志願をします。「女性ボクサーは取らない」主義であるフランキーは始めは彼女を拒絶しますが、幼い時から不遇の人生を送ってきた彼女にとっては年齢的にも唯一誇れるボクシングの才能に望みを託す最期の機会。フランキーの親友スクラップの助言もあってようやく弟子入りが認められたマギーはその実力を発揮し、快進撃を記録します。しかしチャンピオンの座を賭けた試合で思わぬ不幸がマギーを襲う…という物語。

私はこの映画を見る前に『海を飛ぶ夢』を見ていたので映画後半の衝撃は正直それほどでもありませんでした。しかしそれでも衝撃的な映画であったことには変わりありませんでしたね。特に映画全編に漂う悲壮感がたまらなくよかったです。

この映画の素晴らしいところ。それはボクシング映画なのに「動」ではなく明らかに「静」の映画であることや、ボクサーにしては遅咲きすぎる31歳のマギーを通して、それまで枯れていたフランキーやスクラップが生きることの素晴らしさに潤されていくこと。そしてフランキーが尊厳死を選ぶマギーに対してやりきれない思いに苦しむことなど、映画全編において人生の重み、命の重み、そして「愛の重み」を十分に考えさせてくれるところですね。
確かに動けない娘の見舞いにミッキーの耳をつけてやってくる母親は最低です。でもあんな母親に対しても愛情を持っているマギーと、そんな彼女のボクシングの才能を唯一の希望と信じて愛情を注ぎ、全てを賭けようとした2人の年老いた男たちの姿はとても素敵です。愛するという行為がいかに偉大であるかを知ることのできる大傑作だと思います。

硫黄島2部作や『ミスティック・リバー』など死と向き合った人間にしか描けない映画を次々と作り上げるクリント・イーストウッド監督と脚本家ポール・ハギス。才能の限界が感じられるマーティン・スコセッシ監督とは違い、まだまだこれからも傑作を生み出してくれそうな気がするのは私だけではないはずです。アカデミー協会もこういう才能に一つでも多くの賞賛を与えてほしいものですよ!

深夜らじお@の映画館はクリント・イーストウッド監督のさらなる飛躍を期待しています。

acideigakan at 19:20│Comments(6)clip!映画レビュー【ま行】 

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2. ミリオンダラー・ベイビー  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2007年04月13日 20:04
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3. ミリオンダラー・ベイビー  [ Yuhiの読書日記+α ]   2010年05月28日 23:54
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この記事へのコメント

1. Posted by YUKKO   2007年03月01日 00:49
私はこの作品は哀しすぎてダメでした。ここまで不幸になるとは思っていなかったので、かなり辛かったです。試写会で見たのでサクセスストーリーと思い込んでいたせいもありますが。とくに最後のボクシングのシーンでオェときました。私がイーストウッド監督で好きな作品は「トゥルークライム」とか「ブラッドワーク」等メチャマイナーなものです。
2. Posted by あっしゅ   2007年03月01日 01:22
こんばんわ!

この映画、もう一度観たいと思ってるんですよぉ〜!
クリント・イーストウッド監督ですもんね!
この映画はまだ記事を書いてないんですけど、途中で(前半で)寝ちゃって、、。よっぽど疲れちゃってたのかZZZでした!
今度もう一度観てみますね〜♪
3. Posted by にゃむばなな   2007年03月01日 22:15
YUKKOさん、コメントありがとうございます。

私は社会派の重いテーマの映画は結構好きなので楽しめたのですが、確かにあそこまで哀しすぎる連続はある意味辛いものがありますよね。

ちなみにYUKKOさんオススメの2作品はまだ未見なので是非見てみますよ。
4. Posted by にゃむばなな   2007年03月01日 22:19
あっしゅさん、コメントありがとうございます。

静かな映画なので確かに疲れていたら寝てしまうこともあるでしょうね。
硫黄島2部作で更に評価を高めたイーストウッド監督作品ですから、あっしゅさんのレビューを楽しみにしていますよ。
5. Posted by miyu   2007年04月13日 20:09
何となく重い映画だというのは聞いていましたが、
ずっしり見応えのある素晴らしい映画でしたね。
生きるという事が死であり、
死こそが生である。。。
あまりに悲しいマギーの最期でしたが、
おっしゃるように心に残る傑作ですね!
トラバさせていただきますね。
6. Posted by にゃむばなな   2007年04月13日 21:54
miyuさん、コメント&トラバありがとうございます。

確かに重い映画ではありますが、こういう中身の詰まった作品がアカデミーでも高い評価を受けたというのが素晴らしいですよね。
老練の域に達したイーストウッド監督ならではの世界観だと思いますよ。

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