2007年04月12日

『HERO-英雄-』

HERO-英雄-紀元前、のちに始皇帝となる秦王のもとに彼の命を狙う3人の刺客を倒したという無名と名乗る男が現れます。暗殺者から身を守るため、百歩以内には誰も近づけない秦王でしたが、無名から聞かされる槍の名人・長空、剣の名人・飛雪、剣と書の名人・残剣の驚愕の物語一つ一つを聞くたびに10歩づつ近づくことを許します。やがて無名があと10歩までの距離に近づいた時、秦王は無名の本当の目的に気づく…という張芸謀監督の最高傑作でもあるこの武侠映画。

その素晴らしさは何と言ってもまず映像美ですね。
例えば飛雪と如月の対決シーンでは落葉一枚一枚の色にこだわってみたり、無名から語られる物語に登場する人物たちの衣装はその時々の心理に合わせた色使いをし、最後に語られる真実のシーンは「潔白」の白衣装で統一する細やかさ。
秦王の宮殿は陳凱歌監督の『始皇帝暗殺』でも使われたセットらしいですが、そんなことには気づかないくらい黒と赤と白を基調としたあの奥深い雰囲気。ワダエミやクリストファー・ドイルといった職人技の凄さを改めて感じさせてくれるものです。

また登場人物たちの崇高なる想いも凄く美しいです。
秦王暗殺に人生の全てを賭けてきた残剣が「秦王を殺してはいけない」という答えに辿り着いたのは彼が本当に平和を望んでいるからなんでしょうね。
確かに秦王は自分達にとっては憎き仇ではあるものの、あの時代中国を統一できる実力を持っていたのは彼だけ。もし秦王が命を落とせば再び長い動乱の時代に戻り、より多くの命が失われ平和が遠のいてしまいます。

そんな崇高な想いを秦王も抱いていることを知った無名が選んだは武人らしく最後。戦うことだけが武人ではなく、理想を叶えることのできる者に託すことも武人らしい生き方なんでしょうね。無名が戦わず秦王に未来を託したラストの美しさは映画史に残る名シーンだと思います。

目に見える勝利を収めることだけが英雄ではない。真の英雄は心の勝利を得るものであると教えてくれたこの映画。この映画に対してあまりいい評価を下していない方が多いと聞きますが、もし本当にそうならばキャッチコピーの通り、この国はまだ本当の英雄を知らないのでしょうね。

深夜らじお@の映画館はこの映画こそがアジア最高傑作だと思います。

acideigakan at 18:30│Comments(8)clip!映画レビュー【は行】 

この記事へのトラックバック

1. 英雄〜HERO〜  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2007年04月12日 23:18
 コチラの映画はよく「LOVERS」と並んで中国系の映画のキャッチ・コピーでお見かけしますよねぇ。  確かに悪くはないと思うのだけど、個人的な好みからはちょっとハズレている感じですねぇ〜(^-^; 最初っから最後まで「え?何で?」とか「え?ど〜なるの?ど〜なっちゃ....
2. 映画(HERO 英雄)  [ 茸茶の想い ∞ ??祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり?? ]   2007年04月16日 01:12
チャン・チィイー大好き。リンク:HERO 英雄 チャン・イーモウ監督とチャン・チィイーは当時恋人関係にあったと「wowow」に書いてあったけど、なるほど脇役といえども、登場人物で唯一綺麗で可愛いく好印象が残った。  ↑山紫水明の世界!?  ...
3. HERO  [ 悠雅的生活 ]   2009年05月08日 19:29
剣。書。十歩必殺。

この記事へのコメント

1. Posted by にいな   2007年04月12日 22:29
にゃむばななさま

私もこの作品好きです。映像美もさることながら、あの考えさせられるラスト。
ずっと心の中に残る作品です。
2. Posted by miyu   2007年04月12日 23:20
確かに無名のヒロイズムは素晴らしかったですよね。
以前にゃむばななさんにコメいただいた記事ですが、
トラバさせていただきますね。
あたしはあまりこの映画ハマらなかったので、
あまりいい内容の記事ではありませんが。。。(^-^;
3. Posted by にゃむばなな   2007年04月13日 21:36
にいなさん、コメントありがとうございます。

そうそう、あのラストはいいですよね。
ヒーロー像を勘違いしているどこぞの3兄弟ボクサーとは全く異なる、真の英雄がこの映画にはいたと思いますよ。
4. Posted by にゃむばなな   2007年04月13日 21:43
miyuさん、コメントありがとうございます。

戦わないことで英雄になるという理念は一般的な英雄像とは大いに異なるものですからね、よぉ〜わからんという意見も出てくるのも当然といえば当然なのかも知れませんね。

でもこういう世界に到達した男は同じ男から見てすごくかっこいいんですよね。
5. Posted by ぬこCEO   2007年04月16日 23:34
僕もラストには拍手喝采しました!
門に残った無名の「人型」には切なくなりましたね。
映像の密度もハリウッドと肩を並べる美しさでしたよね。
6. Posted by にゃむばなな   2007年04月16日 23:59
ぬこCEOさん、コメントありがとうございます。

あのラストの人型は印象的でしたね。ああいう映像で締め括るところは本当に素晴らしい映画ですよね。
7. Posted by 悠雅   2009年05月08日 19:28
こんばんは。今更ですがお邪魔します。
今更、トニー・レオンにハマってしまいまして、
相当に遅れ馳せながら過去作を観ているところです。
派手なワイヤーアクションの作品でもいいから、と覚悟を決めて観始めてたんですが、
途中からの展開にビックリ!『羅生門』的に二転三転するうちに、
次第に見えてくる主題に、なるほど、だからこの表題なのかと、非常に納得しました。
衣裳の色、デザイン、役者たちも綺麗で、
最初の覚悟はどこへやら、とても好きな作品になりました。
お目当てのトニーはもちろん何より素敵だったんですけど(笑)
8. Posted by にゃむばなな   2009年05月08日 20:45
悠雅さんへ

これぞ「映画は総合芸術」という言葉をそのまま映画化したような作品でしたね。
個人的にはこれよりも完成度の高いアジア映画は存在しないと思えるくらい、素晴らしい映画でしたよ。

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