2007年04月28日

『バベル』

バベル言葉が通じないと気持ちも伝わらない。言葉があっても気持ちは伝わらない。でも本当に伝えたい想いは言葉がなくても通じる。
一発の銃声が結ぶモロッコ、メキシコ、そして日本での計4つのエピソード。どの話にも相手に気持ちが伝わらないばかりに生まれるもどかしさと孤独があり、見終わった後に残ったのは言葉よりも大切なものがあるということでした。

一本の映画としては143分と少々長めのわりには意外と少ない台詞。そしてちょっとドキュメンタリー風なカメラワーク。どのエピソードも作られたドラマというよりは世界のどこかで起こっていてもおかしくない、本当の話のような感じを受けました。
特にこれといった衝撃的なものはありませんでしたが、なぜかどのエピソードにも他人事という気がしなくて、今の自分の生活においても周りの人と言葉は通じても気持ちは通じていないのではないか?と疑問が沸いてきましたよ。

以前「人と人が分かり合えることは針の穴に糸を通すことよりも奇跡的なこと」という言葉を聞いたことがあります。
兄を助けたい一心で泣きながら警察に懇願するユセフの想いも、息子の死ですれ違っていた夫婦の気持ちが再び通じ合えたことも、孤独と満たされない日々に苛まれていたチエコが孤独を知っている真宮刑事に気持ちを理解してもらえたことも、せわしい時の流れから見ればほんの一瞬の出来事かも知れません。しかしその一瞬の出来事がとても大切で他に代用できるものはないということが凄く心に響きました。
ですから16年間もアメリカに住んでいながら、甥のためにその全てを失ってしまったアメリアのエピソードもまた心に響く切ないものでした。

アカデミー作品賞候補などで話題になった本作ですが、見終わった後に印象に残るのは助演女優賞候補になったチエコ役の菊池凛子さんとアメリア役のアドリアナ・バラッサさんの2人でした。でも彼女たちの演技力や存在感がどうというよりもイニャリトゥ監督の演出の素晴らしさで際立っていたような感じでしたね。やっぱりこの監督って本当に凄い監督さんだと思います。

またラストの監督が自分の子供達に向けた「人生は暗闇の中を生きるようなもの、だからこそ希望という名の光は大切だ」というメッセージにも凄く深いものを感じましたよ。本当にこのイニャリトゥ監督にアカデミー監督賞を与えなかったことはアカデミー協会の大いなる失態だと思いますね。

深夜らじお@の映画館は今年もアカデミー作品賞候補になった5作品は全て見ます。

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この記事へのコメント

1. Posted by ジグソー   2007年04月28日 17:18
どうも!

これはアカデミー賞でもおかしくは無い映画ですよね。
なんでかな?賛否両論なんですかね?

最初は言葉が重要な映画なのかと思ってたら、気持ちが繋がらないという映画だったんですね。
終わった後の余韻はよかったです。
2. Posted by にゃむばなな   2007年04月28日 18:54
ジグソーさん、コメントありがとうございます。

多分見た人によって言葉の重要性や気持ちが伝わらない孤独感を味わったことがあるかないかで評価が別れているのではないでしょうか?

言葉があるから気持ちが伝わるのではない。ペットを飼っていたり、外国人さんに片言の英語で道案内した経験がある人なら理解できる、そんな映画のような気がしましたよ。
3. Posted by YUKKO   2007年04月28日 21:26
にゃむばななさん、コメント&TBありがとうございます!絶対これが作品賞とるべきですよね。全員が熱演ですよね。俳優たちからこの能力をひきだした監督は凄いです。そしてやっぱブラッド・ピットいいです。これからもこの監督に注目しようと思います。(名前が難しいので覚えられません)
4. Posted by あっしゅ   2007年04月29日 01:59
こんばんわ!

ボクも今日観てきましたよ!
いやぁ〜最初から本当に息が詰まるシーンばかりで最後まで切ない気持ちで観ました!
”想いは届かない、、、”
言葉が違えど、伝えたい気持ちは皆同じ、、、。
とても意味深い映画でしたね!
5. Posted by ちゃぴちゃぴ   2007年04月29日 02:30
こんばんわ!
ライブドアの調子が悪いようで、なかなかコメント出来ずにいたら
「バベル」だぁ〜〜
これ、どうなんかなぁ?って
凜子ちゃんで、盛り上がってますけど、私に内容はついていけるのかと…(笑)
俳優はすごくそそるんですね。
ケイトさんとガエルくんはファンだし。
にゃむばななさんの感想では、なかなか好感触。あ〜また観たいのが増えてしまったぁ。
6. Posted by にゃむばなな   2007年04月29日 10:34
YUKKOさん、コメントありがとうございます。

ほんと、この監督さんって凄い演出力を持っておられると思いますよ。俳優の能力をいかに引き出すかが監督や演出家の仕事ですからね。
7. Posted by にゃむばなな   2007年04月29日 10:39
あっしゅさん、コメントありがとうございます。

最後までしっかりと見せてくれる作品でしたよね。
ラストのチエコとヤスジローのシーンを遠巻きに撮るところも意味深くって好きですね。

こういう観客に考えさせる映画がもっと評価されないと!と思いますよ。
8. Posted by にゃむばなな   2007年04月29日 10:42
ちゃぴちゃぴさん、コメントありがとうございます。

ケイト・ブランシェットもガエル・ガルシア・ベルナルも出演時間はそんなに多くないのですが、なかなかいい仕事してますよ!

特にこの映画をきっかけにガエルくんの知名度が上がることを大いに期待したいですね。
9. Posted by miyu   2007年04月29日 20:10
トラバさせていただきました〜♪
確かに人が分かり合えるなんて奇跡ですよね。
でも、そんな奇跡がやっぱり必要なんだと感じ、
考えさせられちゃう映画でしたね。
どこにでもある風景、
でも重厚で暗い人間ドラマ。
おっしゃるようにこうゆう作品にこそ
受賞して欲しいものですが、
ちょっとエンターテインメント性が
低かったですよね。
10. Posted by にゃむばなな   2007年04月29日 20:48
miyuさん、コメントありがとうございます。

確かにエンターテイメント性は低い作品ですが、この監督の作品はもともとそんな感じのものだと思いますよ。
やっぱりエンターテイメント性もなければアカデミー作品賞は受賞できないのかな〜?
でもやっぱり『ディパーテッド』よりは遥かにいい作品でしたよ!
11. Posted by あかひ   2007年04月30日 23:32
>言葉が通じないと気持ちも伝わらない、言葉があっても気持ちは伝わらない。でも本当に伝えたい想いは言葉がなくても通じる。
ホントそうですね〜。監督は最後に希望を見せた終わり方をしてくれたのも良かったです。人間はそんなにすてたもんじゃないかもしれない・・。
12. Posted by にゃむばなな   2007年05月01日 18:53
あかひさん、コメントありがとうございます。

静かにかつしっかりとした希望を見せたあのラストはよかったですね。
あかひさんの仰るとおり、人間はまだまだ捨てたもんじゃありませんね。
13. Posted by ホーギー   2008年07月01日 22:00
こんばんは、ホーギーです。
この映画は見終わった後に、「結構、奥が深いなあ」とあらためて感じる映画でした。
まず、何と言っても、この映画の内容を見事に表している「バベル」というタイトルが素晴らしいと思いました。
異国で言葉が通じ合えないせつなさ、聴覚障害者の人との通じ合えないせつなさなどを一丁の銃によるある事件をきっかけに、それらが通じ合えることになるというストーリー
の素晴らしさに感心させられました。
それから、ブラピとケイトの渋い演技が光っていました。
ただ、何度も観たい映画か?と言われるとちょっと・・・・という映画ですね。
ということで、これからもどうぞよろしくお願いします。
それとTBもお願いします。
14. Posted by にゃむばなな   2008年07月01日 22:41
ホーギーさんへ

確かにこのタイトルの素晴らしさは際立っていますよね。
「バベルの塔」に引っ掛けてというよりも、この映画を見たら誰もが「バベルの塔」を思い出す、そんな作りでしたからね。
15. Posted by ノルウェーまだ〜む   2010年05月30日 17:21
にゃむばななさん、すっかりお返しが遅くなってしまいました。
心に染み入る深い映画でしたね。
本当に、世界のそこここに普通にあるような、些細な人間関係が、他人事には思えませんでした。
監督お見事!でした。
16. Posted by にゃむばなな   2010年05月30日 18:16
ノルウェーまだ〜むさんへ

どのお話も作られたお話というよりは、現実にあってもおかしくないお話ばかり。
それが非常に心に響いてくる感じがしましたよ。
本当にこの監督は凄い方ですよね。

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