2008年02月01日

『アメリ』

アメリこれぞまさにフランス人にしか作れない映画という独特の空気が漂う素晴らしい映画でした。『エイリアン4』でハリウッドシステムに嫌気がさしたジャン・ピエール・ジュネ監督が母国フランスに戻り、心機一転作り上げたのがこれまでの作風とはちょっと違ったものであったことにも驚きましたが、それよりももっと記憶に残っているのはこの映画が公開されていた時の映画館を埋め尽くす女性陣のあまりの多さでした。どうやらこの映画って女性が一番好むタイプの映画らしいですね。

確かにいろんな女性と話をしていていつも思うことは、女性は他人の恋愛を見て自分の恋愛を夢見る傾向が強いみたいで、この映画でもアメリは喫茶店の花粉症の同僚の恋愛キューピットになってあげたりと他人の恋愛の世話をしては一人淋しく自分の恋愛を夢見る女性として描かれています。
特にここぞというチャンスに動けず自己嫌悪の末に水になって流れてしまうシーンは結構共感できる人が多いみたいで、男性の私からすれば女性のみなさんはああいう考え方をしているんだなぁ〜とかなり勉強になりました。

でもこの映画が本当に面白いのはアメリを単なる恋愛を夢見る少女として描いていないところなんです。彼女は恋愛に奥手というよりもどちらかと言えば妄想少女。TVでアメリの死を悼むニュースが流れたり、写真の男が4人で勝手に話し出したりするのも全て彼女の妄想。
でもその妄想がどれも妄想好きの我々からすればとても身近に感じるものばかりで、妄想が現実を巧くリンクしたときに生まれるあの感動と幸せを映像化したこの映画は本当に楽しく、小さいけど温かい幸せをたくさん感じる映画でした。特に子供の頃のおもちゃ箱を手にした中年男性の話はすごく好きです。

またアメリが時に必殺仕事人になっては嫌味な八百屋店主に家に忍び込んでは数々の仕置きを残して帰り、時には引きこもりがちな実父のために庭に置いてあった置物の小人に世界旅行をさせたり、また時には気になるニノの職業を勝手にあれこれ想像した挙句に回答ゾロになったりするのも全て愛らしくて面白いです。
特に娘の愛あるイタズラに巧いこと振り回される親父さんはいいですね。世界中から送られてくる写真を見続けた挙句に本当に旅行に出掛けてしまうんですもん。少しかわいらしく思えましたよ。

そして冒頭にも述べたようにこの映画がフランス人にしか作れないと思ったのは、こんな愛らしい要素や身近に感じる妄想など全てが、日本やハリウッドでは決してマネできない独特のおしゃれな雰囲気で装飾されているからなんです。
あのセンスはおそらくフランス人にしか表現できないものなんだと思います。女性にはフランス好きが多いと聞きますから、多くの女性がこの映画を気に入るのも納得ですね。

てな訳でこの映画がアカデミー外国語映画賞を受賞できなかったことは非常に残念でしたが、それでも何でも録音するストーカー男を好演したドミニク・ピノンがさらにお気に入りになってしまった、素晴らしい映画でした。

深夜らじお@の映画館は四六時中妄想していたいです。

acideigakan at 18:00│Comments(4)clip!映画レビュー【あ行】 

この記事へのトラックバック

1. アメリ  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2008年02月01日 23:45
 「ミュンヘン」では、暗殺チームの一員だったマチュー・カソヴィッツの代表作と言えばコチラです。  実はミュンヘンのチラシにコチラのタイトルがあったので、チョイスしてみたのですが、予告編やチラシにある代表作ってどんな基準で選んでるんでしょう?  やっぱり....
2. 夏恋の映画数珠つなぎ「ロング・エンゲージメント」→「アメリ」  [ 映画に恋してる ]   2008年02月07日 17:41
「ロング・エンゲージメント」を観て、映画の余韻にひたりながら次に観る映画は何がいいかな?主人公マチルドはことあるごとに願をかけては消息不明の恋人が無事であることを自分に言い聞かせていたね!「トンネルを出るまでに、車掌が来たらマネクは生きている」。「朝食...
3. 映画『アメリ』  [ 茸茶の想い ∞ 〜祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり〜 ]   2008年02月11日 00:35
原題:Le Fabuleux destin d'Amelie Poulain (2001年製作) もしかしたらこういう人って実際いるかもしれないねって・・思わせてくれる。パリ・モンマルトルを舞台に風変わりな人々と空想好きなアメリの物語・・。 登場人物のそれぞれの好きなこと嫌いなことを並べ...
4. アメリ  [ LOVE Cinemas 調布 ]   2011年09月01日 00:15
最近では『ミックマック』が記憶に新しいジャン=ピエール・ジュネ監督の人気作品だ。主演は小悪魔的なキュートさが女性に人気のオドレイ・トトゥ。妄想好きの女性が恋に目覚めるも、持ち前の空想力を働かしながら一風変わった作戦でお目当ての青年にアタックしてゆく。コミ

この記事へのコメント

1. Posted by miyu   2008年02月01日 23:46
ん〜、他人の恋愛もそうだけど、
女の人はやっぱり妄想が好きってのもあるのかも。
でも、映画が好きな人ってどちらかと言えば、
妄想好きだから、映画好きな人にも受け入れられる映画だったのかもしれませんね。
2. Posted by にゃむばなな   2008年02月02日 23:33
miyuさんへ

そうですね、女性に限らず映画ファンなら誰でも妄想好きですもんね。
だからこそこの映画は多くの映画ファンから愛されているんですね〜。
3. Posted by KLY   2011年09月01日 00:19
そうですよね、あのこじゃれた雰囲気はフランス映画ならではだと思います。ハリウッドやら日本でやっても多分滑りますね(苦笑)
オドレイがまた可愛いこと!にゃむばななさんが言うとおりこのあとどーもイマイチですよね。作品に恵まれないのかな。もっとも作品はともかくシャネルの彼女なんかは素敵でしたけど。
4. Posted by にゃむばなな   2011年09月01日 20:30
KLYさんへ

オドレイ・トトゥに関しては、この映画のイメージが強すぎて他の役を演じる障害になっているのかも知れませんね。
作品には恵まれていない訳ではないものの、彼女自身も演技力をよほど磨きあげないとダメなのかも?

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
昨日の訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

※オススメです♪※
『KANO~1931海の向こうの甲子園〜』主題歌
ぷろふぃ〜る

にゃむばなな

Twitter始めますた
nyamu_bananaをフォローしましょう
livedoor 天気
ちょいとした広告掲載