2008年03月26日

『パリ、テキサス』

パリ、テキサス歴代パルムドール受賞作品の中でも一番好きな映画はやはりこれですね。見る前はタイトルからフランスのパリとアメリカのテキサスでの物語かと思っていましたが、これはテキサス州にあるパリという小さな町を目指す男の悲哀が描かれた最高のロードムービーだと思います。

テキサス州といえばその広い荒野がすごく印象的で、乾いた空気が人の心の潤いさえも奪っていくような淋しささえ感じる独特の雰囲気を持った土地。先日オスカーを受賞した『ノーカントリー』でもそんな描かれ方がされていましたよね。
でそんな乾いた大地に心が乾いた男が保冷用の氷を求めるオープニングから始まるこの映画。実際に映画を全編見終えるとこのオープニングがすごく印象に残るんですよね。何でもないシーンなのに、この映画全てを言い表しているような不思議な感覚。これはヴィム・ヴェンダース監督のような奇才にしか撮れないシーンだと思いました。

この映画が描いていることは中盤までを見ると、失踪した妻を探していくうちに4年間も置き去りにしてしまった息子との親子の関係を修復するものだと思っていました。でも監督が本当に描こうとしたのは親子・家族の関係や男と女の関係を超えた人と人との心の関係なんでしょうね。
特に見入ってしまったのは息子を排し、主人公が失踪した妻とマジックミラー越しに会話するシーンです。相手は自分のことが見えないのに自分は相手のことが見えるというマジックミラー越しに話すことで、次第に自分の表情も心も相手に見えているのではと思えてしまうこの不器用にしか生きられない男と女がとても切ないです。
不器用にしか生きられないからこそより輝きと増すこの男と女の愛と哀。余分なものなど何一つないシーンで描かれる2人の会話に、同じく不器用な生き方をしている私も思わず感涙してしまいましたよ。

そしてラストも切ないけど、なぜかこれでいいんだよねと思えるものでしたよ。不器用な男の生き方、それは不器用な生き方しか出来ない人間にはとても共感できる生き方。これから先たくさんのロードムービーを見ることがあるでしょうが、この映画を超えるロードムービーは現れないのではないか?と思えるほど素晴らしい映画です。

深夜らじお@の映画館は生き方も手先も不器用な人間です。

acideigakan at 18:00│Comments(0)clip!映画レビュー【は行】 

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