2008年09月28日

『イントゥ・ザ・ワイルド』

イントゥ・ザ・ワイルドこの映画を見終わった後、少しだけショーン・ペンが羨ましく思えました。おそらく彼はこの『荒野へ』という原作を映画化したことで、彼の中での「幸福論」に答えを出すことができたのでしょう。幸せなんて人それぞれ千差万別、なのに世間は人並みの幸せを求めている矛盾。誰もが苦しみ、そして時には自分に嘘をついてまで目を背けるナイーブな問題。今の私にとって「幸せ」とは何かをもう一度考させてくれる映画でした。

全てに恵まれていたはずのクリストファー、いやアレックス。大学卒業の祝いに両親から新車を買ってもらえるのを断り、愛車さえ旅の途中で現金と一緒に捨てるその価値観は、一見もったいないと思える反面、普段物欲主義の世界で生きている私にはどこか羨ましく思えるシーンでした。
というのもいくらおいしいものを食べようと、いくら立派な家に住もうとそれだけで「幸せ」を感じれることがヲタクの価値観を持つ今の私にはできないんです。今の私が「幸せ」を感じれるのは趣味に没頭している時だけ。
でも実際のところ、その趣味に没頭している時でさえ時々「これが心からの幸せなのか?」と思うこともあるんですよね。
アレックスは趣味ではなく自分の好きなように生きる道を選びましたが、おそらくその道を選択した勇気が私にとっては一番羨ましかったのかも知れません。

また夫婦仲を取り戻したヒッピーや音楽と恋を大事にしたかったトレイシー、みんなの面倒を看るのが好きなウェイン、自分の勇気が少し足りなかったばかりにできなかったことをアレックスに託そうとする老人ロンなど、人が感じる、または追い求める幸せというのは十人十色の千差万別なんですけど、その根幹にあるのはどれも人との繋がり。

ただ人との繋がりだけが「幸せ」だとは私は思えません。誰とも違うものを探し出してこそ、そこに「心からの幸せ」があると思うからです。でもその正解もなければ誰の保証もないものを探すのは非常にしんどいです。
そんな答えを探していたアレックスは不思議なバスでの暮らしで最後に何を思ったのでしょう?どんなに離れていても唯一繋がっている空を見ながらの一時。自分なりの「幸せ」を見つけることができたのでしょうか?

私はまだ自分なりの「心からの幸せ」というものを見つけることができていません。ロビン・ライト・ペンと別れて、繊細な心がより脆くなったのかも知れないと心配していたショーン・ペンがおそらく見つけたであろう「自分なりの心からの幸せ」。
凄く哲学的で抽象的なことなんですけど、そんなナイーブな問題の答えだからこそ、探し出せたことを凄く羨ましく思いました。

深夜らじお@の映画館はどこに向かっているのか分からなくなる時がよくあります。

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この記事へのコメント

1. Posted by miyu   2008年09月28日 19:08
そうですよね〜。
人の幸せなんて人それぞれなのに、
どうしてこうゆう映画を観るとなんか
あ〜こうゆう幸せもありなんだよなぁ〜と
まるで自分の事の様に考えてしまうんですよね。
2. Posted by にゃむばなな   2008年09月28日 19:39
miyuさんへ

こういう映画を見て、こういう幸せもありかな?と思えるのは今の自分自身が幸せを実感できていないからでしょうか?
なんかいろいろと考えさせられる映画でしたよ。
3. Posted by とらねこ   2008年09月29日 00:26
にゃむばななさん、こんばんは。
うん、そうですね、クリスは、精一杯、自分がやりたいことをやったんですよね。
きっと、ただ単に考える時間が、大人になってしまう前に、自分ひとりだけになれる環境が欲しかった、そんな風に思ったりもしました。
冒険物語に繰り出す威勢のいい若者ではなくて、どっか哲学者風で、一人で思案にくれるタイプの若者で。
無知蒙昧かもしれませんが、げに羨ましきは、この無謀さ。
アウトローな生き方にいくつになっても憧れる男、そんなヤツ(ショーン・ペン)ってば素敵すぎます。
4. Posted by 睦月   2008年09月29日 12:58
こんにちわ。

『幸せの定義』・・・にゃむばななさんの
記事を読んでいろんなことを考えました。

他人がどう思うか?ではなくて、
結局は、自分自身の中でいかに納得して
満足できるか?ってことなんでしょうね。

いろいろなことを考えさせられた1作
でしたが、自分の生き方には限りなく
誇りを持ちたいなあとも思いましたです。
5. Posted by にゃむばなな   2008年09月29日 16:12
とらねこさんへ

クリスの生き方ってある意味羨ましくもあり、そして彼のような考え方を忘れてしまっている自分の現状を少し反省してしまう映画でしたよ。
6. Posted by にゃむばなな   2008年09月29日 16:14
睦月さんへ

本当にいろんなことを考えさせてくれる映画でしたよ。
やはりショーン・ペンという人は素晴らしい映画人ですね。
7. Posted by Franchesca   2008年09月30日 06:32
私は、クリストファーはアラスカの荒野で自由に生きることをずっと望んではいたものの、いざその場に到達した時には、やはり幸福とは他人と分かち合えてこそなのだと気づいたのだと思います。でもそれに気づいた時は時既に遅し・・・。
それを証明するかのように、大自然に奥深く入ってゆけばゆくほど閉塞感が強まっていったのもショーン・ペン監督の凄いところだと思います。
8. Posted by にゃむばなな   2008年09月30日 16:27
Franchescaさんへ

う〜ん、凄く映画の主旨を捉えたお言葉だと思います。
大自然の奥深くに入っていくのも、そういう意味だと思うと、この映画がさらに深い作品に思えてきましたよ。
9. Posted by 健太郎   2008年12月02日 23:43
4 こんばんは。

上手く言葉に出来ないのですが、「感じる」映画でしたね。
私はこの手の作品は正直苦手なのですが、この作品は好きです。

旅の途中で出会う人達は何かしら心に傷があって、だからこそお互いに引き合っているように感じました。

アラスカで何をしたかったのか正直解りませんが、もしかしたらそれが人生なのかもしれませんね。

家族や社会の中での旅を、自然に置き換え旅である人生を、そのものずばり旅にした。
そんな気がします。
10. Posted by にゃむばなな   2008年12月03日 13:58
健太郎さんへ

人によっては目標が決まっていて、そこに向かって突き進む人もおられますが、仮に本来人生って「誰かのために存在する」ことじゃないのかな?と思いましたよ。
人は自分で生きているのではなく、生かされているのかも知れませんね。
11. Posted by 健太郎   2008年12月12日 22:43
2 こんばんは。遅くなりましたが又来ました。
TB&コメントありがとうございます。

>人は自分で生きているのではなく、生かされている

クリスも色々な人の助けを受けていたし、色々な人の人生に影響を与えていましたからね。
深いですね。
12. Posted by にゃむばなな   2008年12月13日 16:12
健太郎さんへ

ショーン・ペンが映画監督として携わる映画はどれも深いものばかりですよね。
今回もいろいろと考えさせられましたよ。
13. Posted by Ageha   2009年07月17日 02:33
真剣に生きるということについて議論してるとこへすいません。

トレイシーって「トワイライト」の
ベラですよね???
・・・いや〜、こっちのほうが美人で
かわいかったです。(コラ)

親目線で見てしまってちょっと辛かったですね、コレは。

ただ、親子の確執の部分をそうそう
キツくくどく表現していなかったので
単純にバックパッカーの彼といっしょに
旅をしていました。
今ある生活を捨ててやっと手に入れられるものもある。だけど、
一人で生きるんだ〜って言うてても
旅先で出会うひとたちときっちり触れ合っていくなかでたどり着いたはずの真理。
・・・彼が生きていたらさぞかし
この経験は
これからの彼の心の糧となっただろうに、残念でなりませんでした。
14. Posted by にゃむばなな   2009年07月17日 13:52
Agehaさんへ

気がついたら惰性で生きてしまったいる我々も、改めて「生きる」ということに真剣に考えないとアカンなぁ^と思いましたよ。
15. Posted by ディープインパクト   2009年11月13日 19:57
 実は今回初めて、ショーン・ペン監督の映画を観ました。
 なるほど、幸せの価値観ですか?確かに色々と感じさせる映画であると思います。
 でも僕はこの映画の圧倒的な撮影に驚きがありますね。
 所々で鳥が隊列を組んで飛んでいるシーンが挿入されたりしていて、ドキュメンタリー映画を観ている気にもなりました、
 しかし、この映画は実話で最後は自然の罠に嵌って主人公が死んでしまいますが、僕はこの映画からは生命力を感じます。
 自然から、そして旅の途中で出会う人達からもエネルギーを感じます。
 僕も、今どうすることが本当に幸せなのか?自分自身に問いかけています。
 
 
16. Posted by にゃむばなな   2009年11月13日 20:30
ディープインパクトさんへ

ショーン・ペンは考える映画よりも感じる映画の方が好きらしいですよ。
そんな彼らしい、まさに考えるよりも感じてくれ!と言わんばかりの映画でしたね。

生命力を感じたというのも納得です。

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