2009年03月03日

『チーム・バチスタの栄光』

チーム・バチスタの栄光現役医師が書いたミステリー小説の映画化ということだけあって、医療現場の最前線にいた者にしか分からない緊迫感のある作品でした。医療ミスという社会問題をテーマにしておきながら、完全なる密室ミステリー要素で見せてくれる巧さは素晴らしかったのですが、ただ途中に含まれるコメディタッチなシーンは本当にジャマだと思いました。

前半から術死の原因を探るという名目のもと、心臓を一度止めて拡張型心筋症の手術をするという専門チーム7名の人となりをカンタンに紹介するくだりが軽快で、素晴らしかったです。特に全員を動物に例えるというのは面白いですし、巧いと思いました。あれで情報が少ないなか、人物像がごちゃ混ぜになることはなかったですし、何よりもこれもまた観客をフェイクする一因になっているんですから。

というのも人のイメージって周りから見れば、それはいろいろあるもの。この映画でも聴取を受ける7人がそれぞれ誰かのことを悪く言ったり、良く言ったりすることで人間関係がややこしく見えそうなんですが、実はよくよく考えてみると観客は聞き手にしか廻っていない田口先生というフィルターを通じてでしか、このチーム・バチスタの7人を見ていないんですよね。

ですから厚生労働省からやってきた破天荒な白鳥さんがわざと相手に気を遣わない方法で相手の本音を引き出そうとすることで、次々と7人の新たな一面や予想外の面が見えてきて、より面白く見えてくるんです。
もちろんその前に訳ありの黒人の子供の手術を見せることによって、手術のどこに問題があるのか、誰が原因となっているのかというミスリーディングも素晴らしいです。
あれで一度は犯人が桐生先生と鳴海先生だけだと思いましたから。

でも真犯人が分かることで本当の問題は真犯人を生み出したシステムにあるということも暗示していたところも巧さを感じましたよ。声高に言うのではなく、全体を見てくださいと言わんばかりの原作の構成力の巧さには感服しました。

ただやっぱりあのソフトボールのくだりなどコメディタッチの部分はいらないです。
また白鳥さんがソバをおかずにうどんを食べている変人だとか、録画された手術映像を見ながら食事が出来るとか、そういうところも面白いのですが、どうも同じ阿部寛さんだからでしょうか、白鳥さんが『トリック』の上田教授や『バブルへGO!タイムマシンはドラム式』の下川路さんとダブって見えてくるんですよね。上田教授のように頭がキレ、財務省の役人だった下川路さんが厚生労働省に変わっただけに感じてしまったのはちょっと残念でした。

さてこれで今週末から公開予定の『ジェネラル・ルージュの凱旋』はどないしましょう?
『クライマーズ・ハイ』で怪演を見せた堺雅人さんが出演しているだけに興味はあるのですが、『L change the world』以来何かと悪役ばかり演じても「ホテル」の赤川さんのイメージが拭えない高嶋政伸さんも出演されてますからね〜。
真犯人が配役から予想できるようなことにはならなければいいのですが。

深夜らじお@の映画館は病院は好きではありませんが、ナースのお姉さんは大好きです。

acideigakan at 18:00│Comments(8)clip!映画レビュー【た行】 

この記事へのトラックバック

1. 『チーム・バチスタの栄光』  [ 京の昼寝〜♪ ]   2009年03月05日 17:24
□作品オフィシャルサイト 「チーム・バチスタの栄光」□監督 中村義洋 □脚本 斉藤ひろし、蒔田光治□原作 海堂尊 □キャスト 阿部寛、竹内結子、吉川晃司、池内博之、玉山鉄二、井川遥、田口浩正、田中直樹、佐野史郎 ■鑑賞日 2月9日(土)■劇場 チネチッ...
2. チーム・バチスタの栄光  [ 悠雅的生活 ]   2009年03月05日 21:55
医療の現場で起こる殺人
3. チーム・バチスタの栄光  [ ★YUKAの気ままな有閑日記★ ]   2009年03月06日 15:01
くどくて申し訳ないが、海堂尊氏の『チーム・バチスタの栄光』が大好きだ。だから、その小説が映画になると聞いた時に、「ほぅー」と思った。で、キャストを聞いた時には思わず「ゲゲッ」となった。何故なら、本作の主役を務める田口公平の名前が田口公子になっており・・・...
4. No.132 チーム・バチスタの栄光  [ 気ままな映画生活 ]   2009年03月07日 13:10
3 原作がベストセラーですがまだ読んでいません。 ちょっと見終わった後に読んでみようかなと思いました。 小説を絶賛する人が、映画ではイマイチという声が 多かったので。原作では、竹内結子が演じた役どころは 女性ではなく男性らしい。
5. 海堂尊「チーム・バチスタの栄光」  [ たけい食堂 ]   2009年03月12日 22:56
ダ・ヴィンチで特集されてたのを読んで興味を持って、たまたま妻が文庫を持ってたので読んでみました。著者が現役の医者ということもあり、病院関連の内部情報はかなり精密に専門的な情報まで書いてあります。(ネタバレはありません。) チーム・バチスタの栄光(上) 「この...
6. 映画『チーム・バチスタの栄光』  [ 闘争と逃走の道程 ]   2009年03月13日 22:57
 テレビ放映に合わせて、以前の記事に加筆してアップしました。続編『ジェネラル・ルージュの凱旋』が今週末に公開だけど、この映画を観たの..

この記事へのコメント

1. Posted by まりっぺ   2009年03月03日 20:45
最後の野球では、死球をぶつけたれ!!
と、思いましたが、予想が外れてしまいました。
2. Posted by にゃむばなな   2009年03月04日 16:40
まりっぺさんへ

最後はバットがあんなに飛びましたというのも、おもろないわ!って思いました。
あの変人役人の性格を考えるとあそこは死球ですよね。
3. Posted by 悠雅   2009年03月05日 22:03
シリアスな作品に笑いがあってもいいとは思うんですけど、
程度問題だな、と思う取り入れ方でした。
笑ってほしいのか退いてほしいのかわからないあたりも辛かったですわ(^^ゞ
4. Posted by にゃむばなな   2009年03月06日 14:17
悠雅さんへ

シリアス路線で突っ切ることができないのが邦画の悪いところなんでしょうか。
場違いと思えるような笑いを排除できる勇気を製作者も持ってほしいと思ってしまえたのが本当に残念でした。
5. Posted by 由香   2009年03月06日 15:05
こんにちは〜イーサン・ハントさん♪(笑)
この映画ですが、私は原作の大大大ファンだったもので、どう〜もイマイチのれませんでした。
全体的に軽く見えちゃって、、、コメディシーンも邪魔でしたし。
何より原作では男性医師である田代先生が女性ってのが今でも解せません(汗)
とか言いながら、ジェネラル〜は観に行くつもりです!
原作の速水先生っていうのがカッコ良くてねぇ〜(笑)映画の仕上がりが楽しみです♪
6. Posted by にゃむばなな   2009年03月06日 21:36
由香さんへ

早速映画占いの結果を使ってのお返事でありがとうございます。

確か公開当時から原作ファンの方から厳しい意見が多かったというのは記憶にあったのですが、やはり主人公の性別が変わっているのが一番解せなかったみたいなんですね。

まぁ原作とキャラを変えてしまう訳ですからね。それはちょっと無謀な挑戦ですね。
7. Posted by シムウナ   2009年03月09日 02:16
TBありがとうございました。
小説はまったくの未読ですが、予告編とベストセラーと
聞いていたので期待していたのですがサスペンス物と
しては展開不足かなと思いました。小説を絶賛する人が
多いので今度読んでみようと思います。

今度、訪れた際には、
【評価ポイント】〜と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!
8. Posted by にゃむばなな   2009年03月09日 15:14
シムウナさんへ

原作と映画は違うとはいえ、ミステリーとして賞賛された原作の映画の割にはミステリー色がちょっと弱いかな?と思いましたよ。
やはりコメディシーンがジャマだったのかも知れませんね。

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