2009年03月04日

『殯(もがり)の森』

殯の森2007年度第60回カンヌ国際映画祭にてグランプリを受賞したこの作品。一言では表現できない映画であり、良くも悪くもフランスの芸術系映画に近いものがある作品なので、見た人によっては眠たいだけと感じるかも知れません。でも私にはいろんな意味で非常に興味深い映画でした。

実はこの映画がカンヌでグランプリを受賞した頃、NHKで河瀬直美監督のインタビュー番組を見たことがあるのですが、その時のこの監督に対する印象は強烈でした。良く言えば明確なヴィジョンと強い意志を持っている芸術家、悪く言えば周りが何と言おうと妥協も強調もせず我が目的を果たす昔気質で男勝り。そんな感じでした。

ですから映画にもそんな監督の性格が見事に現れているように私には見えてくるのです。普通女性監督の映画といえば、映像から包容力や母性などの男性監督には出せない「優しさ」をダイレクトに感じるのですが、この映画にはストーリーを読み解くことでしかその女性的優しさを感じることができないんです。でもかといって男勝りな映画でも、中性的な映画にしかない独特の雰囲気を持っているんです。

要は理解してくれる人にだけ理解してもらえばいいというような感じで、映画自体もエンターテイメント風でもなければドキュメンタリー風でもない独特のもの。
映画の前半でも主人公の先輩介護士が何度も「こうせなあかんことなんてない」と言うくだりや、本来なら冒頭に持ってくるはずの「殯(もがり)」という言葉の説明を最後に持ってくるところも、映画にレシピもマニュアルもない!映画に「こう作らないとダメ」なんて制約はない!という監督の映画制作に対するアンチテーゼ的なメッセージを感じましたよ。

そしてお話自体もそんな監督の信条そのもののようでした。
世の中を見ても、誰しもが世間体とか社会人としての振る舞いとかという、暗黙の「こうせなあかん」というルールに縛られていると思うのです。
でも十人十色という言葉があるように本来は人それぞれ独自の「自然色」を持っているもの。「こうせなあかん」というルールに縛られると人は「自然色」を失い「人工色」に染められてしまうと思うのです。

ですからお茶畑のシーンでの豊かな緑色や暗い森の中で土の色、割れたスイカの赤い色など自然物でしか出せない色を強調することで、「こうせなあかん」というルールから脱却することも大事。そしてその先に生きるとは何か?死ぬとは何か?の答えに出会えるかも知れない。そんなメッセージを感じました。

とにかくメタファーだらけで分かりにくい映画でもありますし、見る人の生活状況によっても感想が大きく異なる映画だとは思いますが、興味がある方はある程度の覚悟をしてからご覧になられることをオススメします。

深夜らじお@の映画館は人に迎合するのが苦手です。

acideigakan at 18:00│Comments(0)clip!映画レビュー【ま行】 

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