2009年03月09日

『ゴールデン・ボーイ』

ゴールデン・ボーイ戦争によって生まれた人の心の闇ほど恐ろしいものはない。この作品に触れると誰もがそう思えるのではないでしょうか。
原作読者には不評ながらも、原作未読の私にはそれなりに楽しめたこの映画。サスペンスとしては及第点程度でもラストに見せるナチス将校の制服を身に纏ったイアン・マッケランが見せるあのその場行進の迫力は圧巻だったと思います。やはりこの俳優さんは悪役も十分似合いますよね〜。

アドルフ・アイヒマンを始めとして、戦後数人のナチスの残党が世界各地に逃亡したという話は結構有名で、戦後その生死すらつかめていないナチス幹部も数人いるとか。
ということはまだこの世界にはナチス幹部としてユダヤ人の大虐殺に関わった人が生きている可能性も無きにしもあらずなんですよね。
もちろんナチス幹部だということがバレれば裁判にかけられ極刑に処されるのは必至。それを見越して優秀な高校生トッドがナチス幹部だった老人ドゥサンダーを脅して昔話をさせるというのは、一見学習意欲豊かに見えるんですけど、逆にそれが一番怖かったりすると想うのです。

私も歴史好きなので戦争時分の話などはできれば直接体験者から聴きたいという思いはあります。でも私が小学生の頃、学校の宿題で神戸空襲を体験した祖父に話を聞いてからというもの、戦争体験者に話を聞くなら相当な覚悟をせなアカン。戦争というものはそれを体験した人でしか分からない、とんでもない恐怖があるものだと子供心に悟った記憶があります。

この映画でもトッドが始めは興味本位で普段聞けない、そしてドゥサンダーしか知りえない「虐殺者」としての話を聞きたがる気持ちはよく分かります。私たちが戦争の情報を得ようとしても、そのほとんどは「反戦」というフィルターから見た、ある意味偏った情報ばかりなんですもん。時代背景のためとはいえ戦争を肯定し、進んで悪なる行為に身を投じた人の話は完全にアンタッチャブルな話にされ、本当はそういう話にも歴史的価値があるのに関わらず私たちはなかなかそういう情報に辿り着けないこの現実。

近年ようやく『ヒトラー〜最期の12日間〜』のような作品も増えてきていますが、あの作品も20世紀最大の悪魔が人間に戻り始めた姿を描いたものです。
でもこの作品は一人の人間が悪魔に戻りつつある様を描いたもの。その恐怖たるや、もし実際に体験したら、それこそとんでもない恐怖だと思います。

残念ながらこの映画をご覧になられた原作読者の多くの方が映画は原作の足元にも及ばないという感想を持たれているそうです。私も映画を見ながら本当ならもっと怖くてもいいのにと思っていただけに、原作を読んだときに感じる怖さは相当なものなのでしょうね。機会があれば私も是非一度読んでみたいと思います。

ちなみに余談ですが、イアン・マッケランはブライアン・シンガー監督のゲイ仲間だそうです。

深夜らじお@の映画館は怖い話は好きではありませんが、聞きたいと思ってしまう派です。

acideigakan at 17:47│Comments(0)clip!映画レビュー【か行】 

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