2009年05月20日

『Laundry』

Laundry人生を洗い直すには「おかえり」と「ただいま」が必要。そんな優しさのある映画でした。サンダンス国際映像作家賞を受賞した脚本を森淳一監督が自ら映画化したというこの作品は、ファンタジーの中にリアリティさえ求めなければもっといい作品になっていたのにと、ちょっと残念に思うところはあれど、ほんのり心が温まるいい映画でした。

前半はファンタジー色が強く、後半はリアリティ色が強いこの映画。
その前半は窪塚洋介さん演じるテルの中性的な魅力とコインランドリーに集まる常連さんたちの話が面白く、特に乾燥機に閉じこもるボクサーは凄く印象的でした。
本来ならコインランドリーという一見他人との付き合いが希薄な空間にも関わらず、この映画にはどこか望郷の思いをも感じる温かさがあるんですよね。もちろん前半はコインランドリーが舞台ですから「おかえり」とか「ただいま」なんて言葉を発するシーンなど一切ないのですが、どこかみんなが帰って来れる場所みたいなあの雰囲気はとても素敵でした。

でもこの映画が描こうとしているのはそのコインランドリーでの群像劇ではなく、小雪さん演じる心に傷を負った水絵という女性がテルと出会うことによって変わっていこうとする様なんですよね。
水溜りを飛び越えようとしたり、妹との関係を修復しようとしたり、仕事を変えたりしながら、誰かに「以前とは変わったね」と言ってもらうことで前に進もうとするそんな姿。この辺りからこの映画はリアリティ色が徐々に増えていったのは個人的にはちょっと残念でした。

ですから水絵が主となるエピは基本的にどれも暗め。悲しくなるような暗さではないのですが、それまでのファンタジーに対して描かれるリアリティとの温度差が結構あるので、より暗さを感じてしまうんですよね。
結婚とか逮捕とか、ここで必要なエピなんだろうか?と思いつつ、その後にそのリアリティという無温を温め直してくれるエピも物足りなかったのも、ちょっと残念でした。

ただコインランドリーだけでなくバスの停留所や鳩の帰巣本能など、帰って来ることができる場所、つまりは「おかえり」と「ただいま」という言葉が意味を成す場所が人の心を温かくしてくれるという演出は素敵だと思いました。
別に「おかえり」とか「ただいま」という言葉が重要だというのではなく、誰にでもある自分が誰かに「おかえり」と言ってあげたい、誰かに「ただいま」と言いたいと思う優しき心。そしてそんな場所が自分にはあるという温かさが生み出す生きる活力。
それをこの映画は言葉ではないもので描いているところが本当に素敵でした。

でもこの映画で一番素敵なのは内藤剛志さん演じるサリーというおっちゃん。強面ながらも人情がある性格なのに「自分は優しくないんだ」とツンデレなことを言ったり、優しくテルや水絵を見守ったりするところがいいんですよね。
中でも「こういうのを地球では愛っていうんだよ。宇宙では知らないけどね。」というセリフは強面のおっちゃんが言うからこその魅力がある素敵なセリフでした。

さてそんな訳で結構丁寧な演出力がある感じがした森淳一監督が手掛ける、今週末から公開の『重力ピエロ』はどんな感じになっているんでしょうか?凄く楽しみです。

深夜らじお@の映画館は乾燥機に篭城した経験はございません。

acideigakan at 20:32│Comments(4)clip!映画レビュー【ら行】 

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1. Laundry ランドリー  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2010年05月04日 20:17
 『こういうの地球では「アイ」っていうんだよ。 宇宙では知らないけどね。』  コチラの「Laundry ランドリー」は、「重力ピエロ」の森淳一監督が、サンダンス国際映像作家賞受賞の脚本を自ら映画化し、監督デビューを果たしたヒューマン・ロード・ムービーです。主演は....

この記事へのコメント

1. Posted by Ageha   2009年05月28日 23:37
窪塚くんて性格は猫だと思うんですよね、
スクリーンの彼とそれ以外が違いすぎる。
パフォーマンスはどっちかいうと
意味不明だったり
飛び出しナイフみたいなとこがあって
ついていけない。

でも、犬みたいな目をしてるから(え)

この映画じゃ天使に見えるんだよな〜。(笑)

もうだいぶ前に見た作品なので
中身は薄れてますが
内藤さんの演じたサリーが
むっちゃイイ役だったことを
覚えてます。

2. Posted by にゃむばなな   2009年05月29日 15:22
Agehaさんへ

窪塚クンは多分ネコですね。
これまでの言動を振り返ってみると、彼はかなりの淋しがり屋ではないかと思うからです。

そういう人ほど役を演じると巧いって言われたりするんですよね〜。
3. Posted by miyu   2010年05月04日 20:18
あはは、確かにサリーはツンデレってヤツですよね♪
でも、本当に優しいからこそ、
あの2人を少しばかり気に入ったのでしょうしね。
水絵のエピがリアル過ぎたからでしょうか、
少し見ていて疲れてしまったのですが、
全体としては癒される映画なんでしょうね。
4. Posted by にゃむばなな   2010年05月04日 21:09
miyuさんへ

前半は御伽噺っぽいのに、後半の水絵のエピがリアルすぎたのが少し疲れを感じる原因だったのかも知れませんね。

でもまぁ雰囲気的には癒し映画になるんでしょうね。

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