2009年07月30日

『ぐるりのこと。』

ぐるりのこと。なんか夫婦っていいなぁ〜。結婚してから改めてこの映画を見たらもっといいんだろうなぁ〜。そう思える映画でした。別に劇的なことが起こる訳ではないのですが、一緒に育てたトマトを食べる、手を繋いで歩く、決め事をカレンダーに記すという、何でもないことが凄く羨ましく感じる素敵なエピソードが丁寧に描かれていた映画でした。

とある夫婦が過ごしてきた1993年からの10年という軌跡。1993年からのこの時代というのは私にとっては思春期を過ごしたまさに青春時代であり、数多く見聞きしてきた社会事件もそのほとんどが未成年目線で見た記憶ばかり。
でもこの映画を通して「大人の目線」で見るみると、今のダメな日本はまさにこの10年で築き上げられたと言えるような気がしました。

バブルが崩壊してもまだ人々の心の中に残る自分勝手でわがままで傲慢な無神経さ。それが不況と社会不安な時代の中で、徐々に人々の心の中から人を思いやる優しさを忘れさせていく。
宮崎勤事件、オウム真理教事件、池田小児童殺傷事件など以外にもこの映画で描かれる不動産業の兄夫婦、夜逃げしたトンカツ屋親子、女子大生画家に構ってもらえなかった日東テレビ記者など、そのどれもが傲慢・不安・自分勝手で彩られたこの10年を象徴しているように思えるんです。

でもそんな悪い時代だからこそ見えてくる幸せというのもあるもの。
確かに翔子が娘を亡くしたことで鬱になってしまったのは悲しいことですが、でもカナオの言う通り子供のことを毎日想い子供の分まで幸せに生きるとか、夫婦で一緒にお風呂に入って笑顔になるとか、泣いている翔子の鼻水をカナオがかんであげるとか、「たったそれだけ」と思えることでも優しさが生活に溢れていれば人は自然と幸せを感じられるはずですもん。
そこには豪華な生活とか子沢山とかは絶対必須条件ではないはずなんです。

だって考えてみてください。ここ和の国・日本。夫婦が手を取り合うだけでも輪が作れる、人と人との繋がりを重んじる「思いやり」の国。
病院に見舞いに行けば肺気腫だった記者がやがて転勤から帰ってきたり、カナオが音信不通だった義父の幸せそうな話をすれば離婚届を出せなかった義母の心が晴れたりなど、何事も「思いやり」という繋がりで出来た輪があれば幸せはその輪を伝って「ぐるり」と一周して自分のところに帰ってくるはずですよ。

思いやりで繋がった人の輪も「ぐるりのこと」。
輪廻転生も「ぐるりのこと」。
夫婦を始めとして誰かと係わり合いを持つことはちょっと面倒くさいことで、いろいろあったりするけれど、それでもいとおしく思えてしまう。それが凄く素敵で幸せに思える映画でしたよ。

そしてリリー・フランキーさんの飄々な演技と木村多江さんの繊細な演技が素晴らしいと思えるにも関わらず、まるでどこかの夫婦の生活を垣間見ているような「等身大な夫婦」に見えたことも凄く印象的な映画でした。

深夜らじお@の映画館は週に一度は必ず「めんどくさい〜」とボヤいてます。

この記事へのトラックバック

1. 【ぐるりのこと】  [ 日々のつぶやき ]   2009年07月30日 18:47
監督:橋口亮輔 出演:木村多江、リリー・フランキー、倍償美津子、寺島進 めんどうくさいけど、いとおしい。 いろいろあるけど、一緒にいたい。 ?? 一組の夫婦の10年の物語 ?? 「靴の修理のバイトをするカナオと結婚した出版社に勤める翔子。、間もなく
2. ぐるりのこと。  [ 佐藤秀の徒然幻視録 ]   2009年07月30日 20:00
公式サイト。橋口亮輔監督、木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島進、安藤玉恵、八嶋智人、寺田農、柄本明。色々と、色々な意味で性的な肉体と、それに伴う出産のイメージ、死産のイメージの様態が折に触れてバリエーションを付けて描かれる。
3. ぐるりのこと。  [ 悠雅的生活 ]   2009年07月30日 20:02
君が好きだから。
4. ぐるりのこと。  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2009年07月30日 20:13
 『めんどうくさいけど、いとおしい。 いろいろあるけど、一緒にいたい。』  コチラの「ぐるりのこと。」は、6/7に公開された「ハッシュ!」の橋口亮輔監督の6年ぶりの復活作となるヒューマン・ドラマです。なかなか評判がよさげだったのですが、評判に違わずいい作品....
5. ぐるりのこと リリー・フランキー、映画初出演!  [ 銅版画制作の日々 ]   2009年07月30日 21:14
 ぐるりって?→自分の身の周りのこと。または、自分をとりまく様々な現境のこと。   7月17日、祇園祭りの最中・・・・。京都シネマにて鑑賞しました。お客さん、さすが少なかった?みんな祇園祭で巡行見学みたいです。私は母の入院の手続き終了後、いそいそシア...
6. ぐるりのこと。/木村多江、リリー・フランキー  [ カノンな日々 ]   2009年07月30日 21:18
リリー・フランキーさんに芝居なんて出来るの?と思いつつけっこう楽しみにしていた映画です。早く観たいと思いつつチネチッタでの公開日をずっと待っていました。数々のヒットドラマで脇役ながらも重要な役どころを演じることが多かった木村多江さんの初主演も楽しみな作品....
7. 『ぐるりのこと。』(2008)/日本  [ NiceOne!! ]   2009年07月30日 21:53
監督:橋口亮輔出演:木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島進、安藤玉恵、八嶋智人、寺田農、柄本明公式サイトはこちら。<Story>「お、動いた!」小さく膨らんだお腹に手を当て、翔子(木村多江)は夫のカナオ(リリー・フランキー)とともに、子を身籠...
8. 木村多江とリリー・フランキーの「ぐるりのこと。」を観た!  [ とんとん・にっき ]   2009年07月30日 22:19
木村多江とリリー・フランキーの映画「ぐるりのこと。」を観ました。悲しみから心を病み、やがてそこから力強く再生していく妻・翔子を演じるのは木村多江です。そして、何があっても妻をやさしく受けとめる夫・カナオを演じるのはリリー・フランキーです。それぞれ映画
9. 83●ぐるりのこと。(舞台挨拶つき)  [ レザボアCATs ]   2009年07月31日 00:27
わーい!リリー・フランキーが大好きな私。リリーさんに生で会えるぅ!と喜び勇んで、舞台挨拶つきジャパンプレミアに、出かけて参りました。
10. 「ぐるりのこと。」  [ 京の昼寝〜♪ ]   2009年07月31日 08:25
□作品オフィシャルサイト 「ぐるりのこと。」□監督・原作・脚本・編集 橋口亮輔 □キャスト 木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島進、安藤玉恵、八嶋智人、寺田農、柄本明■鑑賞日 6月21日(土)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、...
11. 子供のこと  [ Akira's VOICE ]   2009年07月31日 10:25
「ぐるりのこと。」 「闇の子供たち」 
12. 映画 【ぐるりのこと。】  [ ミチの雑記帳 ]   2009年07月31日 20:04
映画館にて「ぐるりのこと。」 橋口亮輔監督の6年ぶりのオリジナル脚本作品。 おはなし:1993年。零細出版社に勤める妻・翔子(木村多江)と、靴修理店でアルバイトする夫・カナオ(リリー・フランキー)。日本画家になる夢を捨てきれないカナオは、あるとき法廷画家の仕事...
13. ネタバレ「ぐるりのこと。」みなさん絶賛なのに・・・困った・・  [ ポコアポコヤ 映画倉庫 ]   2009年08月01日 11:07
凄く見たかったので、まだ新作だけどレンタルして来ました。 いやぁ〜ホント、世間の方々が絶賛されていて、感想非常に書きにくいんですが・...
14. 「ぐるりのこと。」:深川一丁目バス停付近の会話  [ 【映画がはねたら、都バスに乗って】 ]   2009年08月01日 18:44
{/kaeru_en4/}ここは、深川閻魔堂って言ってな、本堂の左側の建物の中に閻魔様がいるんだ。 {/hiyo_en2/}閻魔様って、あの恐ろしいエンマ様? {/kaeru_en4/}ああ、エンマ様だ。 {/hiyo_en2/}じゃあ、こんなところでうっかりしたこと、言えないわね。 {/kaeru_en4/}死んだ人...
15. 決して逃げず、引き受け、愛し、寄り添う〜『ぐるりのこと。』  [ 真紅のthinkingdays ]   2009年08月01日 21:33
 法廷画家で甲斐性のないカナオ(リリー・フランキー)と、小さな出版社に勤める しっかり者の翔子(木村多江)。学生時代からの腐れ縁の??.
16. ☆「ぐるりのこと。」  [ ★☆ひらりん的映画ブログ☆★ ]   2009年08月02日 00:27
今月は試写会づいてるひらりん。 先週に引き続き、今週の平日休みもヤクルトホールにて試写会。 実は来週も予定が・・・。 近くのシネコンで映画観てたほうが空いてて楽なのにーーーー。
17. その先の自分がどう生きていくのか・・・。『ぐるりのこと。』  [ 水曜日のシネマ日記 ]   2009年09月30日 12:38
2008年6月に劇場公開された映画。美大出身の同級生夫婦で、真面目で几帳面な妻と自由奔放な夫の絆を描いた作品です。
18. リリー・フランキー 木村多江 / ぐるりのこと。  [ 中川ホメオパシー  ]   2010年01月24日 01:03
ワケもなくお祭り騒ぎ どうも。 ギャグ漫画ゲリラ・中川ホメオパシーのちあきなおみ担当、ブロッケンです。 橋口亮輔脚本・監督の映??..
19. ぐるりのこと。  [ LOVE Cinemas 調布 ]   2010年09月11日 21:55
『ハッシュ!』の橋口亮輔監督が送るオリジナル脚本のヒューマンドラマだ。とある夫婦が子供の死を乗り越えて再生していく10年間を描いている。主演にはこの作品で日本アカデミー賞主演女優賞を獲得した木村多江、共演に『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の原作...

この記事へのコメント

1. Posted by 佐藤秀   2009年07月30日 20:06
この映画って生むことと死ぬことのイメージを徹底して生々しい血で描いていますね。女性はもっとジワーンと来る作品かと思いましたよ。
2. Posted by 悠雅   2009年07月30日 20:12
結婚して四半世紀余り、夫との付き合いも30年になるわたしは、
必死の子育てをしている10年間を振り返る映画でもありました。
特に、子供たちが幼児だった頃の事件は未だに背筋が冷えるものです。
そんな時代を共に生きてきたのだなぁ、と
自分と同じ分だけ年齢を重ねた夫の顔を観てしまいましたわ。

つまんないことで喧嘩もしたけれど、
つまんないことで喜びあえて、
お互いに力になれたことが何度かあったのだろうな、なんて
自分の長い人生と結婚生活を振り返る機会でもありました。
3. Posted by にゃむばなな   2009年07月30日 20:12
佐藤秀さんへ

生きると死ぬは表裏一体ですからね。
それをしっかりと捉えた映画でしたよね。
4. Posted by miyu   2009年07月30日 20:15
本当この10年色んな凶悪な事件がありましたよね〜。
おっしゃるように大人になって改めて事件を考えると、
改めて日本の現状を悲観してしまうのも、
それらによって人の心が病んでいくのも分かりますよね〜。
5. Posted by にゃむばなな   2009年07月30日 20:18
悠雅さんへ

味のあるコメントですね〜。
長年夫婦をされた方だけが言えることですよね。
そういうことを語れるって凄く素敵ですよ。
6. Posted by にゃむばなな   2009年07月30日 20:21
miyuさんへ

10年一昔なんて言われてましたが、特にこの10年というのは今改めて振り返るともう遠い過去に思えるほどですよ。
怖い時代ほど早く過去のものに思えてしまうんでしょうかね?
7. Posted by かのん   2009年07月30日 21:53
夫婦の距離感がとても素敵に感じられる物語でした。好きで結婚した二人であっても長い年月の間にはいろんなことがあるわけで、辛い時も手を取りあって、小さな幸せをいくつも積み重ねてこそ夫婦なのかもしれませんね。
8. Posted by rose_chocolat   2009年07月30日 21:57
本当に月日の経つのは速いものです。 私にとっては80年代サイコー!(→ って『レスラー』でも言ってましたね)なだけに、結婚して落ち着いてしまった90年代ってつまらないんです(笑) あり得ない事件の萌芽もたくさんあった時代ですし。

夫婦とは本当に難しいものでもあり、またぶつからないといけない時もあるし。うちはまだまだ夫婦途上です(苦笑
9. Posted by mezzotint   2009年07月30日 23:20
にゃむばななさん
今晩は☆彡
長い人生を共に生きるってパワーが
入りますね。惚れたはれたの次元じゃ
なくなり、もう人間としてお互いに
どう繋がれるか?一緒に頑張れるか?
弱さも強さもすべてさらけ出すことが
出来たら、本当の夫婦になれる気が
します。なんて理想の話かな・・・。
10. Posted by とらねこ   2009年07月31日 00:36
にゃむばななさん、こんばんは。
これ結構去年邦画のベストに入れていた人が多かったんですよね。
それも納得の作品だと思います。
長い時間を経て夫婦間が少しづつ変わっていく様、そこに暗い影を落とす世間のニュースがあって。。。とてもリアルに心に響いた作品でした。
11. Posted by cyaz   2009年07月31日 08:33
にゃむばななさん、こんにちは^^
暑中お見舞い申し上げます。
TB&コメント、ありがとうございましたm(__)m

夫婦というものは、夫婦にだけしかわからないことがたくさんあります。
そういう意味では、この映画はそういった部分に入り込んで描いていると思いました。
リリーさんがそのもの等身大に見え、彼のドキュメンタリー(笑)かと思えるほど?!
“仲良きことは美しき哉”の実篤の言葉がわかるのは、
夫婦も長年やらないとわからないものですよ(笑) ・・・老婆心ながら(汗)
12. Posted by にゃむばなな   2009年07月31日 15:52
かのんさんへ

夫婦に歴史ありとよく言われますが、未婚の身にとっては全く分からないことだっただけに、この映画を見てなるほど〜って思いましたよ。
13. Posted by にゃむばなな   2009年07月31日 15:55
rose_chocolatさんへ

考えてみれば2000年問題で騒いだことでさえ、今や遠い昔のこと。
月日が流れるのは早いですよね。

多分結婚して夫婦としての時間を長く過ごされている方なら、もっと早く感じられたのではないでしょうか。
この映画を見て、そんな気がしました。
14. Posted by にゃむばなな   2009年07月31日 15:58
mezzotintさんへ

私はまだ結婚をしたことがないので、あまり詳しいことは分かりませんが、結婚することによって精神的に強くなる人は多いみたいですね。
簡単に言ってしまえば愛の力なのかも知れませんが、それだけではないパワーがあるんでしょうね。
15. Posted by にゃむばなな   2009年07月31日 16:00
とらねこさんへ

この映画って、あの時代を夫婦で過ごされてきた方ならもっと感情移入しやすかったんじゃないか?って思いましたよ。
夫婦だから見えてくる時代の風景。私のような若造にはまだまだ到達できない場所ですよ。
16. Posted by にゃむばなな   2009年07月31日 16:07
cyazさんへ

こちらこそ暑中お見舞い申し上げます。

> 夫婦も長年やらないとわからないものですよ

こういう言葉が言えるってなんか格好いいですよね。夫婦二人で歩んできた時間というのは他の誰かがすぐに真似できるものではない、唯一無二のものだからこそ、独特の価値が出てくるんでしょうね。
ほんと、ちょっと羨ましくなりましたよ。
17. Posted by ミチ   2009年07月31日 20:06
こんにちは♪

リリーさんが素人なのになんともいえない雰囲気を出していました。
私生活でもモテモテなのがわかる気がしましたよ(笑)
18. Posted by にゃむばなな   2009年07月31日 20:49
ミチさんへ

リリーさんのああいう雰囲気って、同性である男性でもお近づきになりたくなりますよ。
男女問わずモテモテなリリーさんの魅力って本当に凄いですよね。
19. Posted by KLY   2010年09月11日 22:01
夫婦って当然愛し合ってるから結婚したわけですけど、二人で一緒にゆっくり成長していくものなんだろうなって思いました。私のところは今年で丁度10年なんですね、この夫婦ほどではないですが、色々あったよなぁと振り返って観ていましたよ。^^
20. Posted by にゃむばなな   2010年09月11日 22:21
KLYさんへ

あら、KLYさん夫婦は今年で10周年ですか。それはおめでとうございます。
でも10年も一緒にいるって本当にステキですよね。
こういう映画を見るとよりそう思いますよ。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
昨日の訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

※オススメです♪※
『KANO~1931海の向こうの甲子園〜』主題歌
ぷろふぃ〜る

にゃむばなな

Twitter始めますた
nyamu_bananaをフォローしましょう
livedoor 天気
ちょいとした広告掲載