2009年08月29日

『サブウェイ・パニック』

サブウェイ・パニック地下と地上。地下鉄ジャック犯と地下鉄公安局。互いに互いが「見えない」関係。それ故に生まれる先入観。これがとてつもない面白さを醸し出す不朽のクライム・サスペンスの名作です。コメディアンとしての印象が強いウォルター・マッソーのラストに見せるあの彼ならではの表情も、粋な演出でお見事!これぞパニック映画全盛期の1970年代を代表する傑作ですよ。

トニー・スコット監督によるリメイク作『サブウェイ123激突』のオリジナル作品として、最近また注目を集めつつあるこの作品。
まず地下鉄をジャックするOPから洒落っ気があって面白いこと。特に一駅ごとに犯人が一人ずつ地下鉄に乗り込みながら所定の位置について、「その時」を待つところがオシャレにも思えるほどの緊迫感もあって秀逸なんですよね。

またこの地下鉄ジャック犯4人の構成が冷静冷徹なリーダー、短気なヤツ、気弱で風邪気味のヤツ、自己主張しないヤツというのもお見事。特に短気なヤツがいることでいつ機関銃が火を噴くか、いつリーダーの冷静な計画が御破算になるか、いつ情勢が地下鉄公安部の方に傾くか。これまた「その時」がいつ来るかで緊張感が高まってくるんですよ。

そしてその緊張感を高める一番の要素。それが犯人と公安が「互いが見えない」という関係にあること。
もちろん地下と地上ということで視覚的に「見えない」のですが、そもそも逃げ場のない地下鉄をジャックすること自体が無謀なこと。そのため冷静に犯行を行う犯人たちの今後の動きも「見えない」「読めない」というのがこの映画の一番の面白さだと思うのです。

つまり犯人たちはその「逃げ場のない地下鉄」というフレーズが生み出す先入観を利用して「信号を全て青にしろ」と要求したり、また公安部のガーバーも「犯人たちは我々が地下鉄車内のことは何も分かっていない」という先入観を逆利用して「身代金が届いた」などの嘘で時間稼ぎをしたりして対抗する。
それがクライマックスで地下鉄の暴走やラストでのガーバーの「お大事に」というセリフに繋がっていくところも本当に秀逸でしたよ。

またその「先入観」というものがこのミソであることをOPでガーバーが日本からきた東京地下鉄の役員たちを案内するシーンで「フリ」として描いているのもこの映画の洒落たところ。
当初は何も話してこない日本人たちを勝手に英語が通じないものだと思っていたら突然全員が英語で返答してくるというのも、一種の先入観が生み出す面白さなんですよね。

先入観が生み出す面白さ、冷静な犯人グループのリーダーと公安部ガーバーとの頭脳戦、地上で警察のあたふたぶり、そしてクライマックスでの地下鉄車内でのパニックシーンなどを全て洒落た面白さでコーティングしたこの傑作。
是非リメイク版と見比べてみるのも一興かと思います。

深夜らじお@の映画館は場合によっては「見えない」と興奮します。

acideigakan at 18:01│Comments(2)clip!映画レビュー【さ行】 

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1. 地下鉄疑惑  [ Akira's VOICE ]   2009年09月03日 16:00
「サブウェイパニック」 「ダウト 〜あるカトリック学校で〜」
2. サブウェイ・パニック [DVD]  [ 映画鑑賞★日記・・・ ]   2009年10月06日 12:53
原題:THE TAKING OF PELHAM ONE TWO THREE公開:1975/02製作国:アメリカ上映時間:100分監督:ジョセフ・サージェント出演:ウォルター・マッソー、ロバート・ショウ、マーティン・バルサム、ヘクター・エリゾンド、アール・ヒンドマン地下鉄のハイジャックに始まり白昼の....

この記事へのコメント

1. Posted by yukarin   2009年10月06日 12:59
こんにちは♪
とにかくラストが良いですねー。皆さん絶賛されてましたが。
“お大事に”はニヤリとしてしまいますね。
日本人が英語を理解できないと思ってたら実は・・・って所はなかなかですね〜。
リメイクはオリジナルの良さが引き継がれてないように思いました。
2. Posted by にゃむばなな   2009年10月06日 20:15
yukarinさんへ

ウォルター・マッソーならではの締め方には唸ってしまいましたよ。
ああいう洒落た面白さがリメイク版にもほしかったですよね。

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