2009年11月28日

『脳内ニューヨーク』

脳内ニューヨークチャーリー・カウフマンは映画監督としては全くダメだと痛感した作品でした。やはりこの方は脚本家に専念すべき才能です。監督としては演出がダメダメなうえに、脚本のバランスもムチャクチャ。奇想天外な脚本家としてその地位を確立した彼だけに、本職の脚本までダメになるなら監督業は仲間内のスパイク・ジョーンズやミシェル・ゴンドリーに任せるべきです。

聞いた話ではこの映画を絶賛する知識人が多いそうですが、正直ほとんどの方はこの映画の面白さを分かっていないのに、自分の知識人のプライドだけで無理解のまま褒めていると思います。
というのも、この映画はよく言えば難解、悪く言えば理解不能なんですもん。

そもそも仕事は評価されるも人生に冴えない舞台演出家ケイデンが賞金で得た金を全て注ぎ込んで自分の頭の中にある「もうひとつのニューヨーク」を舞台化するというものなのですが、正直どこからがケイデンの実生活で、どこからがケイデンの生活を舞台化しているのかが全く分からないんですよね。
というか、観客に理解させるための「色分け」というか「仕分け」が全くできていないんです。

ですから賞金を得るまでの彼の生活にはちょいちょい彼の精神世界がTVCMやウンチが云々に投影されていてまだ分かりやすかったものの、中盤からは交通整理が全くできていないので、ヘイゼルとヘイゼルを演じる女優とか、クレアがどうだとか、アデルとオリーヴがベルリンでマリアと云々とか、もう完全に理解不能。

しかも散りばめたパズルのピースを最後に見事に集めて完成させるとかという脚本における技術的巧さもないので、ストーリーの着地地点も全く見えず。結局この映画を作ったチャーリー・カウフマン自身は理解できていても、それを他人に理解できるように教えることができていない。そんなレベルの映画でした。
あと本物のニューヨークと「もうひとつのニューヨーク」を比較するシーンを全く入れていないのも、映画監督としても脚本家としても中途半端に感じましたね。

でもまぁこの脚本家も『マルコヴィッチの穴』で絶賛され、『ヒューマンネイチュア』で失望され、『アダプテーション』で自らをネタにし、そして『エターナル・サンシャイン』でアカデミーを受賞した経歴を持つ方ですからね。当たり外れが結構ある脚本家だけに、今回は映画監督を兼任したことで脚本家として大ハズレといったところでしょうね。
ですから次からは脚本家一本で、また映画ファンを唸らせる脚本を書いてほしいものです。

深夜らじお@の映画館はこの脚本家の完全復活を望んでいます。

acideigakan at 17:58│Comments(4)clip!映画レビュー【た行】 

この記事へのトラックバック

1. 脳内ニューヨーク / SYNECDOCHE,NEW YORK  [ 我想一個人映画美的女人blog ]   2009年11月28日 23:27
批評家受けが良くても一般受けがいいとは限りません{/light/} 1999年 「マルコヴィッチの穴」、2001年「ヒューマンネイチュア」製作/脚本 、 2002年  「コンフェッション」脚本 、「アダプテーション」製作総指揮/脚本、   2004年「エターナル・サンシャイン 」...
2. 脳内ニューヨーク  [ LOVE Cinemas 調布 ]   2009年11月28日 23:58
『マルコヴィチの穴』の脚本家、鬼才チャーリー・カウフマンの記念すべき初監督作品。プロデューサーにこれまた『マルコヴィッチの穴』のスパイク・ジョーンズが参加している。主演は『パイレーツ・ロック』のフィリップ・シーモア・ホフマン。現実のニューヨークの広大な倉...
3. 「脳内ニューヨーク」:千駄木三丁目バス停付近の会話  [ 【映画がはねたら、都バスに乗って】 ]   2009年11月29日 09:25
{/kaeru_en4/}こんなところに帽子屋があるとは知らなかったな。ひとつ、新調するか。 {/hiyo_en2/}あなたの場合、帽子よりそれを被る脳ミソを新調したほうがいいんじゃないの? {/kaeru_en4/}ああ、どうせ俺の脳の中はフニャフニャよ。 {/hiyo_en2/}きっと、ぬるま湯のお風...
4. Synecdoche New York / 脳内ニューヨーク  [ Akasaka high&low ]   2009年12月02日 22:27
Charlie Kaufman(チャーリー・カウフマン)原作・監督の暗い映画がSynecdoche New York(脳内ニューヨーク)。 確かに日本語の題名は映画の内容を表現してますが、明るいイメージとポップなHPは鬼才の難解な作品とは正反対です。今回はPhilip Seymour Hoffman(フィリッ...
5. 迷宮劇場〜『脳内ニューヨーク』  [ 真紅のthinkingdays ]   2009年12月03日 20:29
 SYNECDOCHE, NEW YORK  NY在住の人気演出家ケイデン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、画家の妻 アデル(キャサリン・キーナー)と4殮.
6. 脳内ニューヨーク  [ Movies 1-800 ]   2009年12月06日 23:03
Synecdoche, New York (2008年) 監督:チャーリー・カウフマン 出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、エミリー・ワトソン、ミシェル・ウィリアムズ、キャサリン・キーナー 私生活で問題を抱える舞台監督が、自身の手がける舞台と現実の区別がつかなくなる話かな。 「マル...
7. 脳内ニューヨーク(2008)  [ 銅版画制作の日々 ]   2009年12月12日 00:13
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8. 脳内ニューヨーク  [ パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ ]   2010年01月29日 18:36
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9. mini review 10502「脳内ニューヨーク」★★★★★★★★☆☆  [ サーカスな日々 ]   2010年11月14日 02:29
『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』の脚本家、チャーリー・カウフマンが監督デビューを果たすエンターテインメント・ムービー。人生に行き詰った人気劇作家が、自分の人生を再生す...

この記事へのコメント

1. Posted by mig   2009年11月28日 23:36
こんばんは、にゃむばななさん
コメTBありがとー★

うん、監督としてはダメなんでしょうねぇ、、、

脚本家としての不思議な世界を作り出すのは面白くて好きだけど
監督までやらせちゃうとまたそのまんま
自分のやりたいように出来ちゃった、みたいな、、、。
新たなる、面白い脚本に期待したいなぁー。
2. Posted by KLY   2009年11月29日 00:03
>他人に理解できるように教えることができていない

まさにその通り。自分の中だけで完結しちゃってます。だから思うんですけど『脳内ニューヨーク』って邦題は秀逸だなぁと。(笑)これ絶対担当者がカウフマンを皮肉ってるとしか思えないですもん。それにしても一人ぐらい「こんなの意味わかんねーよ!何みんな絶賛しまくってんの?」っていう文化人はいないんですかね。何だか海外で評価された作品は無条件に受け入れないと自分の評価に傷が付くみたいな香りがプンプンします。
3. Posted by にゃむばなな   2009年11月29日 11:49
migさんへ

やっぱりこの脚本家は脚本家としてだけで頑張ってほしいですよね。
脚本家が疎かになるくらいなら、監督業なんてやっちゃダメですよね。
4. Posted by にゃむばなな   2009年11月29日 11:51
KLYさんへ

ほんと、この邦題は秀逸ですよね。
カウフマンを皮肉っているというのも納得です。

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