2010年06月12日

『FLOWERS』

フラワーズ結婚、妊娠、恋愛、婚約、出産、育児。女性にとっての幸せと苦悩は紙一重、表裏一体。
1936年から2009年までの3世代のお話をそれぞれの時代を代表する映画のような映像で見せてくれるこの映画は、29歳の男性監督が撮ったとは思えないほど、日本の美しさが詰め込まれた静かで深い作品。やはり『ガチ☆ボーイ』の小泉徳宏監督にハズレなしですよ。

「優美な女性」が花言葉の桜が舞う1936年春に、親同士が勝手に決めた結婚に悩む蒼井優さん演じる凛。
「辛抱強い愛情」が花言葉の紫陽花が似合う2009年梅雨時に、一人身のまま妊娠したことに悩む鈴木京香さん演じる奏。
「永遠の若さ」が花言葉の松が生い茂る1964年初夏に、思い出の地で死別した夫との日々を回想する竹内結子さん演じる薫。
「純潔」が花言葉の百合が庭に咲く1969年晩夏に、仕事と婚約の狭間で揺れ動く田中麗奈さん演じる翠。
「心が通じる」が花言葉のススキが川辺に茂る1977年秋に、自分の命を賭けて出産に挑もうとする仲間由紀恵さん演じる慧。
「控えめな優しさ」が花言葉の椿に雪が積もる2009年冬に、姉の妊娠を機に亡き母の愛を知る広末涼子さん演じる佳。

相関図で言えば凛の娘が薫・翠・慧、その慧の娘が奏と佳になるので、『彼女を見ればわかること』とは違い、この映画が主軸として描いているのは母娘の関係。
でもこれが面白いことに、その母娘関係が映像中心ではなく、常に言葉だけで語られているというところに、実はこの映画の素晴らしさが詰まっているような気がするんですよね。

というのも、これはあくまでも男性である私の個人的見解なんですが、家族を作り出すことの出来る女性にとって母親という存在は一種の憧れであり、目標でもあると思うのです。
どういうきっかけであれ、どういう形であれ、家族を作り出したことで幸せな人生を過ごした母親のように自分も幸せになれるかと悩み、そして自分の娘には自分が経験してきた幸せ以上のものを経験してほしいと願う。これって父親と息子の関係にはない、母娘独特の関係だと思うんですよね。

結婚、妊娠、恋愛、婚約、出産、育児。それらは全て母親が通ってきた道。自分が母親の背中を追いながら今進んでいる道。そして自分の娘がいつか辿る道。
よく男性に幸せにしてもらいたいという言葉を女性から聞きますが、本当は女性も窓を開けるように自らの手で幸せを手に入れるもの。
そんな想いをストレートに伝えるためには、映像よりも言葉。雪降る日に佳が見つけた慧の手紙があれほど泣けるのも、そういう演出に拘った結果ではないでしょうか。

凛のハレの日に庭先で声高らかに万歳三唱を歌い上げる塩見省三さんや祖父のように優しく翠を見守る長門裕之さん、妻・彗の意思を尊重する井ノ原快彦さん、娘思いの優しい平田満さんを始めとする男優陣のナイスアシストぶり。
そして戦前映画や高度成長期時代の映画を思わせるような映像。
それぞれの時代の雰囲気を醸し出すように、見事に描き出される6人の女性の幸せと苦悩。

田園風景、雨、竹林、海、秋風、雪といった日本の美しさと、日本女性が持つ美しさが見事にリンクした素晴らしい作品でしたよ。

深夜らじお@の映画館は井ノ原快彦さんが老いると平田満さんになることに少し勇気をもらいました。

この記事へのトラックバック

1. FLOWERS -フラワーズ-  [ 佐藤秀の徒然幻視録 ]   2010年06月12日 21:25
公式サイト。小泉徳宏監督、蒼井優、鈴木京香、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、広末涼子、真野響子、塩見三省、大沢たかお、長門裕之、平田満。1936年春、満開の桜の季節に19歳で結婚した凛(蒼井優)が2009年冬、子や孫に囲まれて大往生を遂げる。春夏秋冬を織り交ぜて、凛....
2. FLOWERS フラワーズ  [ LOVE Cinemas 調布 ]   2010年06月12日 21:52
日本映画界が誇る女優が一挙終結。蒼井優、鈴木京香、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、広末涼子の6人が、昭和初期から平成までの3世代の女性を演じ、それぞれの時代で自分らしく、女性らしく生きる様子を描いた人間ドラマだ。監督は『ガチ☆ボーイ』の小泉徳宏。世代によ...
3. FLOWERS -フラワーズ-  [ うろうろ日記 ]   2010年06月12日 22:22
試写会で見ました。有名な女優さん6人が一同に会する。というコンセプトを見た時点で
4. 『FLOWERS フラワーズ』  [ ラムの大通り ]   2010年06月12日 23:00
(原題:The Hangover) ----これって6人もの女優が共演している映画だよね。 なにかで原稿書かなくちゃいけないときに、 短い中には収めにくいって言ってなかった? 「うん。だって1936年に始まり、1964年、1969年、1977年、2000年、2009年と、 あまりにも多くの時代が登場...
5. FLOWERS フラワーズ  [ 象のロケット ]   2010年06月13日 00:48
昭和11年・春。 進歩的な考えを持つ凛は、親同士が決めた結婚の当日に家を飛び出す…。 昭和30年代・夏。 凛の娘たち、長女・薫は最愛の夫と結ばれ、次女・翠は仕事と結婚の間で揺れ、三女・慧は病気の身体で妊娠する…。 平成・現在。 夢にも恋愛にも挫折する慧の長女...
6. 『FLOWERSフラワーズ』(2010)/日本  [ NiceOne!! ]   2010年06月13日 07:35
監督:小泉徳宏出演:蒼井優、鈴木京香、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、広末涼子試写会場 : 東宝試写室公式サイトはこちら。<Story>昭和11年・春。古き日本のしきたり...
6月12日公開の映画「FLOWERS」を鑑賞した。 この映画は資生堂のCMに出演する6人の女優による 共演で戦前の昭和、高度経済成長期の昭和、 そして平成に継承されるその時代を生きた 女性の生き方が描かれるストーリーである。 3代に繋がる世代を超えて受け継がれてい...
8. FLOWERS−フラワーズ− 「TSUBAKI」のCMやん!  [ 労組書記長社労士のブログ ]   2010年06月14日 11:42
【{/m_0167/}=25 -10-】 予告編を観ていて、たぶんこれは俺は観に行かないだろうと思っていたら試写会が当たった。 一昨日〜昨日にかけて一泊二日でおこなったうちの労組の春闘総括の会議にて、ほぼ徹夜で語り過ぎ・議論し過ぎ・飲み過ぎでボロボロになっている身体に鞭打っ...
9. FLOWERS フラワーズ  [ とらちゃんのゴロゴロ日記-Blog.ver ]   2010年06月14日 23:36
昭和初期から平成の現代にかけての女性の生き方に焦点を当てた、大河ドラマのような物語だ。蒼井優・竹内結子・田中麗奈・仲間由紀恵・鈴木京香・広末涼子という主役クラスの女優が、それぞれの魅力を充分に発揮している。涙が出てきて仕方がないほど感動した。
10. 青森散歩 & 「FLOWERS -フラワーズ-」  [ 東葛brass(29) blog ]   2010年06月15日 00:15
蔦温泉@青森 行ったわけではないのです。 ただの途中停車したバス停。 きっとけっこう有名な温泉です。 ---------- 映画「FLOWERS -フラワーズ-」 これまたワーナー千葉NTで鑑賞。 公開初日ですがやはり1割程度の入り。 主演(好きな順) 田中麗奈 鈴木京香 仲間由紀....
11. FLOWERS/フラワーズ  [ そーれりぽーと ]   2010年06月17日 00:54
時代を隔てた6人の人気女優達による6通りの女性の物語。 『FLOWERS/フラワーズ』を観てきました。 ★★★★★ 全く予備知識の無い方は、観る前に読まれない事をお勧めします。 チョイバレ 冒頭の女優達の紹介映像的な映像から鷲掴み。 お洒落で不思議な映像の連鎖、「あ...
12. [Flowers」  [ YUKKOのI LOVE MOVIES ]   2010年06月19日 21:49
この映画を見に行ったのは、なんといっても、監督が「タイヨウのうた」「ガチボーイ」の小泉徳宏監督だったからです。                                             日本中の女性を元気にしたいというのが、うたい文句です。....
13. 「Flowersーフラワーズー」  [ ひきばっちの映画でどうだ!! ]   2010年06月25日 01:45
                            「Flowersーフラワーズー」 ユナイテッドシネマ豊島園にて。 企画・製作総指揮・大貫卓也 監督・小泉徳宏 蒼井優、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、鈴木京香、広末涼子、という日本を代表する(?)6人の女優さ...
14. FLOWERS−フラワーズ−  [ いい加減社長の映画日記 ]   2010年06月27日 17:41
なかなか記事のアップが追いつかない^^; ストーリーはよくわからないけど、キャストの豪華さと、なんとなく気になる内容で、「FLOWERS−フラワーズ−」を鑑賞。「UCとしまえん」は、土曜日の午前中にしては、少なめか。 「FLOWERS−フラワーズ−」は、大きめのスクリーンで...
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資生堂の化粧品“TSUBAKI”のCMから生まれた、スピンオフ企画の劇場用映画。 製作委員会にも資生堂とCMの代理店、ADKが含まれている。 小泉徳宏目..
16. 『FLOWERS フラワーズ』  [ 京の昼寝〜♪ ]   2010年07月03日 08:25
  □作品オフィシャルイサイト 「FLOWERS フラワーズ」□監督 小泉徳宏 □脚本  藤本周、三浦有為子□キャスト 蒼井 優、鈴木京香、広末涼子、仲間由紀恵、竹内結子、田中麗奈、大沢たかお、井ノ原快彦、河本準一、平田 満、真野響子、塩見三省、長...
17. Flowers  [ 映画的・絵画的・音楽的 ]   2010年07月07日 05:17
 一つの作品で主役級の6人もの女優を見ることができると予告編でわかり、そんな効率的で都合のいいことがあるのならと、『FLOWERS−フラワーズ−』を吉祥寺の映画館で見てきました。 (1)この映画に登場する女優については、昨年や今年の映画でクマネズミが見ている人がほと...
18. FLOWERS フラワーズ/蒼井優、鈴木京香  [ カノンな日々 ]   2010年07月09日 21:50
『ALWAYS 三丁目の夕日』のROBOT製作で豪華6人の大物女優を配しての昭和初期から平成までの三代に渡る親子の姿を描く女性映画です。予告編の段階で大風呂敷を広げ過ぎてないかやや心配なんですけど、監督が私の大好きな『タイヨウのうた』『ガチ☆ボーイ』の小泉徳宏監督なの...

この記事へのコメント

1. Posted by KLY   2010年06月12日 22:11
いい作品でした。それぞれの時代に合わせた映像表現、そして女性たちを中心に連綿と続く家族。にゃむばななさんの言うとおり、母親の存在をその目で見ながら娘は自分の未来を思い描くのだと思うのです。その意味では日本の女性を元気にする6人ではなくて、真野響子さんを入れて7人と言いたかったりします。
2. Posted by にゃむばなな   2010年06月12日 22:16
KLYさんへ

そうですね。真野響子さんを入れて7人の女性でしたよね。
でも恐らくその真野響子さんも母親から同じように受け継いだものがあるんでしょうね。
そう考えると母娘関係って独特でステキなものなんですね〜。
3. Posted by rose_chocolat   2010年06月13日 07:39
そう、いのっち→平田さんは唸るよね。あれすごいわ。

でもにゃむばななさんがよかったっておっしゃってくださってホッとします。
歴史の陰には地道に生きてきた女あり、ですよね。 必死に自分の道を生きていることに男性も女性も変わりはありません。
4. Posted by にゃむばなな   2010年06月13日 10:06
rose_chocolatさんへ

そうでしょ。将来トニセンの同窓会を行ったら、そこに平田満さんですよ。
あれはナイスキャスティングですわ。

これまで女性一人の一代記はあれども、こういう一族を描いた作品は多分初めてでしょうね。
一代記よりも、こういう作品の方がより母娘関係を理解できるような気がしましたよ。
5. Posted by えい   2010年06月13日 22:31
こんにちは。
内容的には、目新しさは感じず、
むしろ、昔どこかで見た感じだったのですが、
その“昔どこかで見た”を
映像でやっていたのが憎かったです。
もっと、観ていたかった時代もありました(笑)。
6. Posted by PGM21   2010年06月14日 02:05
何時もお世話になっております。

確かに小泉監督はこの作品良く纏められたと思います。
ただやはりこのストーリーの軸を考えると凛の娘たちは3人とも主役である必要はなかったですね。場合によっては広末さんを助演でも良かった位・・・
何でもそうだけれど同じ役割の人たちが揃えば良い作品ができるか?と問われると実際にはうまく機能しないケースも少なくないだけに、本当にこの作品の良さを引き出すなら3時間位取らないと厳しいでしょうね。
私としては凛→慧→奏の継承を軸にしたストーリーに絞った方がもっと良い作品になったのではないかと残念で仕方ないですね。6人も主演女優がいるゆえに難しくしてしまった感じです。
7. Posted by にゃむばなな   2010年06月14日 16:53
えいさんへ

> もっと、観ていたかった時代もありました(笑)。

これ、凄くよく分かります。
単に懐かしさだけでない、どこか時代を問わず本当にいいものを見ているような感じもあって。
個人的には凛のお話はもっと見ていたかったですよ。
8. Posted by にゃむばなな   2010年06月14日 17:02
PGM21さんへ

う〜ん、凛、慧、奏だけの物語にすると女性の幸せと悩みをあまり描けなくなりそうな気もするんですよね。
一人一悩みが分かりやすいですからね。

でも3時間くらいの時間を取ってもっとこの作品の良さを引き出してもよかったかも知れませんね。
9. Posted by 氷雨@竜兄   2010年06月17日 19:41
いやはや、すごくいい感じにまとまった映画に仕上がってて良かったです。鈴木京香ファンとしては、あの中で一番年上の鈴木京香を未来、そしてあの中で一番若いであろう蒼井優を過去に持ってきたキャスティングは…うまくやられたな〜って思ってしまいました。
「おばさんだから…ふられちゃった」のあの奏のセリフは、サトラレのヒロインを彷彿させるセリフですし、…何より母親となった後の鈴木京香の表情がむちゃくちゃいい♪♪

個人的には竹内結子と田中麗奈のキャラのエピソードだけ余分だったような気がしないでもないですが、二人とも相変わらずの存在感ですし…逆にだからこそ仲間由紀恵の彗の影が余計に薄く感じてしまうのかも…。


とにかく大好きな女優がいっぱい出てたんで、それだけでもお腹いっぱいな映画でした。


10. Posted by にゃむばなな   2010年06月17日 21:05
氷雨@竜兄さんへ

確かに女優陣の起用法は巧いですよね。
それにしても鈴木京香さんの起用で『サトラレ』ですか。
懐かしいですね。でも確かに共通項がありますもんね。
11. Posted by YUKKO   2010年06月19日 21:47
小泉徳広監督への期待度が高かったせいか、私は物足りなかったです。連続テレビドラマをギューと1本の映画にまとめた感じで、惜しいなあという感じです。あれだけの女優さんたちに少し遠慮がちに撮った気がしました。
12. Posted by にゃむばなな   2010年06月20日 11:29
YUKKOさんへ

私も小泉徳宏監督への期待は高かったですが、これで十分だと思います。
この監督はまだ若いですし、荒削りなところもありますからね。
他のアラフォー監督たちと同じ期待で見るのだけは禁物ですからね。
13. Posted by ノラネコ   2010年06月27日 22:16
個人的には薄すぎてボーっとしたまま終わってしまった感じですね。
特にここが悪いって訳ではないのですけどね。
私の連れが「長すぎる予告編」と評していましたけど、確かにそんな印象でした。
女性でもこの話にはあまり感情移入できない人もいるみたいですね。
14. Posted by にゃむばなな   2010年06月28日 13:08
ノラネコさんへ

この映画って6人の女優を主役級の女優として見たいか、それとも6人それぞれを主役脇役関係なしに一人の女優として見たいかで評価が別れているみたいですね。
私は後者だったので楽しめましたが、前者の方々はやはり6者6エピソードではなく、6者6作品で見てみたかった感じがしますよ。

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