2010年07月05日

『ザ・コーヴ』

ザ・コーヴ自分の間違いを一切認めない狂信者リック・オバリーのプロパガンダ映画です。
日本人の視点から見ると偏った情報だらけの非常にレベルの低いドキュメンタリー映画です。
ただ決して安易に上映を中止してはいけない、日本人としては見てから文句をつけるべき映画です。

第82回アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したり、上映館に妨害行為が及んだりなどで、何かと話題の多いこの映画。特に「盗撮」による映像を使用したことに多くの批判が及んでいますが、ただそれはこの映画を見るべきでないという理由にはならないと思いました。

というのもイルカ漁により入り江が、まるで赤い絵の具をかなり濃度が濃い状態で溶かしたかのようにイルカの血で真っ赤に染まった映像などは、この映画を見る限り盗撮でしか明かすことのできなかった事実でしょう。それはこの映画の大きな功績だと思います。

ただこの映画はそもそもリック・オバリーという人物が狂信者であり不審者でもあるがゆえに、その大きな功績にも傷をつけていることも確かなんですよね。

例えばこの映画の冒頭。ナレーションで「合法的に撮影をしようと試みたが、リスクを考えるとこうせざるを得なかった」とありましたが、この「リスク」がいったい何なのかは一切明かされず。
仮にまず合法的に撮影交渉をして無下に断られたので最終手段として盗撮を行ったのならまだしも、この映画は全く何も明かされないどころか、ハナから交渉よりも盗撮ありきで撮影が行われているとしか思えない作りになっているんですよね。
そしてそういう映像は全て相手側の意見を除外した上でしか作られない、あまりにも一方的なプロパガンダなものばかり。

ですから劇中、イルカ肉に含まれる水銀濃度の話が出てきても比較対照が示されないので、ただただ「水銀が含まれている。有害だ」と吠えているだけで全く説得力なし。
さらにイルカ肉が食べられていることを知っている人は東京や大阪ではほとんどいないのに何が食文化だ!と吠えているくだりに関しても、地方文化というのは決してその国全土で知られている訳ではないのは当たり前。アメリカ人でもアーミッシュの存在を知らない人がいるのと同じことなのに、その辺りの配慮もなし。

なので日本人から見ると、何かと今まで自分が知らなかった新事実をあれこれ教えてくれるドキュメンタリー映画としては非常にレベルが低いんです。新事実よりも明らかに偏った調査だけで構成されている情報が多いことが容易に分かってしまうばかりなんです。
ただそれでもあの入り江が血で真っ赤に染まった映像はこの映画における大きな功績であることだけは改めて言及したいと思います。

またこの映画がアカデミー賞を受賞したことで、アカデミーの権威が落ちたという意見があるみたいですが、私はそうは思いませんでした。
そもそもドキュメンタリー映画というのは、基本的にこの作品のように意図的に悪意とも取れる狂信的な思いを持って作られたモノと、『不都合な真実』のように公式な数値データを使って作られたモノとの2種類があり、過去のアカデミーを見ても全米ライフル協会を意図的に悪意を持って批判した『ボウリング・フォー・コロンバイン』が受賞していますし、また捕鯨に反対するアメリカの映画賞ですから、当然この映画が選ばれても決しておかしい話ではないんですよね。

ただ自分たちを「オーシャンズ11」のように持ち上げ、不法侵入を繰り返し、挙句の果てに撮影機材を密輸に近い形で日本に持ち込んだ犯罪集団化した製作者たちをアカデミー受賞者として賞賛することだけは決してしたくないと思ったのは私だけではないはず。

イルカ漁が残酷な形で行われていることは確かに恐ろしいことです。でもこの映画ではイルカ漁を残酷でない形にできないかという議論が一切されていないところを見ても、製作者たちが狂信者リック・オバリーと一緒に犯罪集団化しながら「イルカ漁をやめさせろ!」と一方的に自分たちの意見を吠えているだけの映画にしか見えないんですよね。

そんな映画に対して、映画を見ずに批判することも結局はリック・オバリーたちと同じ一方的に自分たちの意見を吠えているだけ。それを思えば、この映画は日本人としてはイルカ漁の現実とイルカ漁に関する誤認識を知る上でも是非見るべき映画だと思いました。

深夜らじお@の映画館はクジラベーコンが大好きです。


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この記事へのコメント

1. Posted by ポメラニアン   2010年07月05日 22:19
初めまして、にゃむばななさん。
毎回楽しくサイトを拝見させてもらっています。


掲げたテーマに向かって次々と明かされる事実!みたいな形で撮影されているので、そういう面で観ればけっこう面白い作品なのかもしれませんね。
日本人には気分が悪い作品なんですけど(泣)


この作品って、フランスやイギリスなんかでも批判的みたいですね。
こういう白人の暴走なんて見慣れてますから、ある程度冷静に観られました。
2. Posted by にゃむばなな   2010年07月05日 22:36
ポメラニアンさんへ

こちらこそ初めまして。いつもご贔屓にしていただき、ありがとうございます。

この映画はイルカ漁の実態を見せてくれるという点では評価できるのですが、それ以外はやはり日本人としては気分悪いですよね。

しかしフランスやイギリスはアメリカとは違うんですね。劇中ではイギリスで反捕鯨の運動が始まったと描かれていたのに。
3. Posted by 佐藤秀   2010年07月05日 23:36
あのイルカの血の海のシーンも壱岐で昔映像で出てましたね。太地町でも昔は入江でやらず堂々と誰もが見られる浜辺でやっていたそうです。反捕鯨団体がうるさいもんだから仕方なく入江の奥でやり始めたそうですよ。その意味では自作自演なんです。
それから、オリバーじゃなく、オバリーね。
4. Posted by にゃむばなな   2010年07月06日 10:13
佐藤秀さんへ

反捕鯨団体がうるさいから仕方なくであっても、ああいう一般に知られていない映像を収めたことはこの映画の大きな功績だと思いますよ。
知っているのに何も動かないよりはマシですからね。
ただ悪意が映画のあちこちから感じられるのはいただけませんが。
5. Posted by mig   2010年07月06日 23:16
こんばんはー☆
観られたんですね、これお蔵入りになるとか言ってたのに結構公開してるみたいですね、
私はとりあえずDVDになったら観ます〜★
6. Posted by にゃむばなな   2010年07月07日 10:08
migさんへ

やはり関西の映画ファンとしては、同胞である和歌山・太地が歪んだ主張によって批判を受けてる作品ですからね。
それは是非映画を見て文句を垂れないと!
7. Posted by コッスン   2010年07月09日 00:06
こんばんわ。
私も、これは良いとか悪いとかじゃなく
日本人なら見ておく映画だと思いました。
私は、日本人ですが、そんなに気分悪くなかったです。
8. Posted by にゃむばなな   2010年07月09日 16:26
コッスンさんへ

そうですよね。内容について良い悪いとか言う前に、日本人としてみておくべき映画ですよね。
ほんと、妨害行為にも負けずに上映してくれた映画館さんたちに感謝感謝ですよ。
9. Posted by dai   2010年07月10日 22:16
こんばんは★

>映画に対して、映画を見ずに批判

これは思いますね。映画を見ずにプラカード掲げて一方的に批判するというのはただのバカがやること。否定をするのなら、きちんとその作品を観てもらわないとダメですよね。
10. Posted by にゃむばなな   2010年07月11日 13:33
daiさんへ

そうそう、相手を知らずして無闇に批判するなっちゅう話ですよね。
この映画を批判できるのはこの映画を見た人だけ。
それはごく当たり前のことですよね。
11. Posted by ミツ   2010年07月12日 18:36
いろいろ公開前から情報が入ってきたため内容に関してはその通り、問題作云々の以前に、ただただ出来の悪いドキュメンタリーでしたよ。
だから上映中止騒動や来日したリック・オバリーがいろんな戯れ事を言っていたのを楽しんでしまいました。
本編以外の外野で、もっとも楽しめると元より思ってもいましたが(笑)
よく思うんですけど、この手の反対運動を起こす人って、自分が広告塔になっているとは考えないんですかね?
12. Posted by にゃむばなな   2010年07月12日 19:59
ミツさんへ

ほんと、見事に反対運動を起こしている人が広告塔になっていましたね。
結局映画を見ずに映画を批判するからそんなことになるだけなのに、それすらも分からないなんて、悲しいだけですよ。
13. Posted by とらねこ   2010年07月13日 16:15
にゃむばななさん、こんばんは
映画を見もしないでレッテルを貼る人は本当にたくさん居そうな作品ですね。
おかげで頭に来て、何がなんでも見てやろう、という気になってしまいました。
ちなみに、上映禁止ニュースが流れた後、この映画のシンポジウムが中野で行われたのですが、人気がありすぎて、キャンセル待ちに応募したんですが、
残念ながら当たらなかったです。シンポジウムではどんなことが言われたのか、見たかったですね。
14. Posted by にゃむばなな   2010年07月13日 17:54
とらねこさんへ

そういえば中野でのシンポジウムはニュースになってましたね。
ありゃま、そんなに盛り上がっていたとは。
それにしてもこの映画の上映に反対する人の気が知れませんよ。
15. Posted by PGM21   2010年08月09日 00:20
何時もお世話になっております。

だいぶ遅れてようやく新潟でも上映されましたが、大きな混乱はありませんでした。

正直観た上で書かないと感じる事ができない事も少なくありませんので批判するならまず観なさいというのが率直な感想ですね。
撮影手口はグリーンピース的に多少過激な面が強いんですが、普段の撮影すら許可しない姿勢が外国では日本への避難対象になったのかもしれません。
ただこれがイルカだからという論調に終始したのがどうなのでしょうか?というのが率直な気持ちですね。
これが牛なら犬ならOKなのか?という事になるのならこのドキュメンタリーは完全にイルカ批判一辺倒、しかしこれが全ての動物を対象にして客観的に考えられたなら一部評価があるでしょう。
これなら4年前に公開されためぐみの方が外国人ながら客観的に描かれていた作品だと思います。
客観性これが欠けた作品でしたね。
16. Posted by にゃむばなな   2010年08月09日 13:18
PGM21さんへ

客観性のない映画であるからこそ、牛や犬ならどうなの?というツッコミが簡単に入れれてしまう作品でしたよね。
そんな客観性のない映画を見ずに批判するのもまた客観性のないこと。
本当にこの映画に関してはまずは見てから批判すべきですよね。

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