2011年01月13日

『夜の大捜査線』

夜の大捜査線黒人刑事バージルには正義を貫く強さを、白人警察署長ギレスピーには差別する心の脆弱さを見ることのできる映画でした。
第40回アカデミー賞で作品賞などに輝いたこの名作ですが、どう見ても主演俳優はシドニー・ポワチエで、この映画で主演男優賞を受賞したロッド・スタイガーは助演俳優でしょう!できれば男優賞を主演と助演でダブル受賞してほしかったと思えるほど、この2人が秀逸な映画でしたよ。

ミシシッピ州で深夜に起きた白人男性殺人事件。まずこの事件を追う白人警察署長が勘と怠慢捜査だけで次々と無実の人を逮捕しては誤認逮捕として釈放するの繰り返しを行う姿が滑稽というか、見方によっては凄く憐れ。
ベテラン黒人刑事バージルを黒人という理由だけで誤認逮捕、釈放後には捜査を手伝ってもらう格好悪さ。コソ泥を殺人犯として仕立て上げようとしてまたも失敗した挙句に、最後には部下を犯人扱いするなど、どこまでも無能で頑固で差別主義者なんですよね。

しかも誤認逮捕された後に捜査に協力することとなったバージルが被疑者の声にちゃんと耳を傾けたり、科学捜査を念入りにしたりするので、よりこの無能ぶり・怠慢ぶりが強調されること。特に終始ガムを噛む姿はその格好悪さぶりを増幅させる見事な演出だったと思います。

でもそんな無能で頑固で怠慢な差別主義者のギレスピー署長がバージルの有能さと彼に頼らなければ事件が解決しないどころか、次から次へと誤認逮捕を繰り返す自分の評判が下がることへの懸念や自分自身の虚しさが増すことへの恐怖から、憎まれ口を叩きながらもバージルに徐々に歩み寄っていく様は凄く人間味があるんですよね。
特に白人の若者たちに囲まれたバージルを助け出した時に吐くセリフは素直になれない頑固者みたいで、何か好きにはなれないけど憎むことも嫌いになることもできないこのキャラクターっていいなぁ~って思えてくるんです。

またそんなギレスピーの人間味ある滑稽さを描く一方で、バージルの差別や偏見に邪魔されながらも差別や偏見で見えなくなっている真実を一つ一つ指摘していく地道な捜査が、実は黒人差別の実態を見せながらも同時に犯人像を少しずつ絞っていく面白さも兼ね備えている構成も見事なもの。ただレストラン店主が真犯人だったというのは展開的にちょっと急だったかと。あの辺りはもう少し時間を掛けてもよかったのかもと思いました。

てな訳で刑事サスペンスとしての面白さも十分なんですけど、個人的にはバージルとギレスピーの時にぶつかり合い、時に酒を飲みながら身の上話や淋しさを吐露する人間味ある掛け合いが非常に面白く感じた映画でした。
ですからギレスピーが町を去るバージルと握手をし、笑顔で見送るラストは何とも言えない心地よささえ感じるほどでしたよ。

あと余談ですが、ロッド・スタイガーが撮影中に噛み続けていたガムはなんと263箱分だとか。ギレスピー署長、お疲れ様です!

深夜らじお@の映画館はガムを噛むなら1箱分もいらないです。

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acideigakan at 18:00│Comments(2)clip!映画レビュー【ま行】 

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1. 夜の大捜査線  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2011年01月13日 21:12
 コチラの「夜の大捜査線」は、ジョン・ボールのベストセラー小説「夜の熱気の中で」を、ノーマン・ジュイソン監督が映画化した刑事映画です。人種差別と偏見が根強く残る南部ミ ...

この記事へのコメント

1. Posted by miyu   2011年01月13日 21:13
なかなか渋いチョイスが続きますね^^
主演と助演、なんつ〜かまぁそういったところにも
この映画のテーマが潜んでたりしてw
なんて思っちゃいましたね。
まぁでもなかなか見応えありましたね。うん。
2. Posted by にゃむばなな   2011年01月13日 22:12
miyuさんへ

これでお正月に見た映画のレビューはひとまず終了です。

で、この映画についてですが、シドニー・ポワチエはこの映画を撮る数年前に『野のユリ』でオスカーを受賞していることもあってノミネートからも漏れたのではないかという見方もあるらしいですね。
でもやっぱりこの映画ではシドニー・ポワチエこそが主演ですよ。

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