2011年07月11日

『サンザシの樹の下で』

サンザシの樹の下で1年1ヶ月も待てない。25才になるまでも待てない。でも一生待ち続ける。
この純粋な愛に思わず涙が頬を伝いました。
張芸謀監督4年ぶりの新作は、あの「初恋3部作」を思い出させる本当に素朴で可愛らしく、そしてオーディションで選ばれ「13億人の妹」と称されたチョウ・ドンユイの可愛らしさが最も印象に残る作品でした。

張芸謀監督の好みといえば、これまではコン・リーやチャン・ツィイーのような「ツンデレ萌え」。でも彼女たちに散々痛い目に遭わされて嫌になったのか、今回はその正反対の世界である「義妹萌え」に新たに目覚めている感じがするんですよね。

例えばジンチョウがスンと初めて出会った時に飴をもらうくだりで出来るだけ異性の手に触れないように飴を取る仕草やスンに自分の書いた文章を読んでもらう時のはにかむ可愛らしさ、彼に婚約者がいるという噂を聞けばスネる恋にウブなところなどは、どれもコン・リーやチャン・ツィイーには絶対に似合わないものばかり。

その他にも彼のため病院の正門前で一夜を明かす、彼が隣に寝るというだけで緊張してしまうといった男性が妹系女性に求めてしまう要素から、彼女が困っていれば体操服であろうと長靴であろうとプレゼントし、彼女の足の火傷治療のため軍病院まで自転車を走らせ、彼女を少しでも助けたいと荷車を押し、でも他の人に見つからないように学校の前で姿を消すといった男性が妹系女性にしてあげたい要素まで、この映画にはありとあらゆる「義妹萌え」要素が溢れているんですよね。

もちろんスンのやっていることは「義妹萌え」の理想である一方で、冷静に考えれば金持ちの傲慢さであり、一歩間違えれば完全なストーカー行為です。
でもジンチョウが素朴な女の子だからなのか、それともスンが凄く好青年だからなのか、はたまた素朴だけれど可愛らしいチョウ・ドンユイと爽やかなショーン・ドウの若き主役2人の魅力のおかげなのか、この2人の全てが純粋な愛に見えてくるんですよね。「義妹萌えもいいよね」と思ってしまう男性の心を静かに刺激してくれるんですよね。

彼女の将来のためとはいえ、会えない辛さで涙を流しながら、彼女の足に巻かれた包帯を直す。彼との会えない時間を彼との思い出の場所で過ごす。川の両岸で互いを思いエアーハグをする。
初めての夜になったかも知れないあの夜、彼女のことを思い、秘密の花園から手を引く。
望まぬ妊娠をした友人の言葉に惑わされていたことに反省して、彼の思いの深さを改めて知る。

天井に貼られた、あの日幸せそうな笑顔の2人で撮った写真を見て病床の日々を過ごしたスン。
彼のために赤い服を着て、自分の名前が彼に届くまで涙ながらに連呼するジンチョウ。

1年1ヶ月も待てない。25才になるまでも待てない。でも一生待ち続ける。

『初恋のきた道』のチャン・ツィイーの時と同様に、チョウ・ドンユイにも絶対に女の子走りの演出までしっかりとしていたに違いない張芸謀監督の「義妹萌え」の世界と、
2人の思い出のサンザシの樹も今はダムの底に眠るというこの純粋な愛のが実話。
やはり張芸謀監督は最高の趣味を持った映画監督です。

深夜らじお@の映画館にはリアル妹がいるので、あえて「義妹萌え」と表記させてもらってます。

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チャン・イーモーのこういった純愛映画は大好きです。「初恋が来た道」なんかは、今まで見て来た映画の中でも上位に君臨する作品だし。

この記事へのコメント

1. Posted by KLY   2011年07月12日 22:15
そうですよね、スンの行為って一歩間違えたら単なるストーカー。でもスンもジン・チョウもあまりに純真なのだと。当然ながら実際にここまでだったのか真実は不明、しかし事実をベースに張芸謀監督はこれほどまでの美しいピュアな心を表現してしまう。
彼はジャ・ジャンクーに代表される第6世代の監督の一つ前第5世代の監督ですが、時代背景を考えても、その世代だからこそ紡ぎだせる作品だったように思います。
2. Posted by にゃむばなな   2011年07月12日 22:19
KLYさんへ

張芸謀監督は「初恋3部作」もそうでしたが、ピュアな恋物語の影に中国政府批判を描くのが本当に上手いですよね。

そして仰るとおり、この第5世代だからこそ紡ぎだせるこの作品。
やっぱり中国最高の映画監督ですわ。
3. Posted by かのん   2011年07月12日 23:54
主人公ジンチュウはまさに純潔の乙女でした。キスもしなければベッドインしても何もしないスンも立派でしたね。現代の恋愛ドラマではなかなか味わえない素朴な恋に胸キュンな映画でした。

チャン・ツィイーだって『初恋のきた道』のときは可憐な乙女だったと思うんですけどね(笑)。
4. Posted by にゃむばなな   2011年07月13日 19:38
かのんさんへ

確かにチャン・ツィイーもあの頃は可憐に見えてましたけど、今はその正反対になってますからね〜。
それを思うと、このチョウ・ドンユイの純潔さは一入に感じましたよ。
5. Posted by ノラネコ   2011年07月14日 21:48
最初はねえ、そんなに可愛いと思わなかったんですよ、ジンチュウ。
でも映画のラストではすっかり彼女のファンになってしまっていました。
さすがイーモウ。
美少女映画の撮り方は忘れてなかったですね。
6. Posted by にゃむばなな   2011年07月14日 22:21
ノラネコさんへ

それ、分かります。
始めはチョウ・ドンユイって、そんなに可愛いというほどでもないかな?って私も思っていたんです。
でも映画を見終わった後はもう虜状態ですわ。
この辺り、本当に張芸謀監督の演出は上手いですね〜。
7. Posted by cyaz   2011年07月15日 08:18
にゃむばななさん、こんにちは^^
いつもTBありがとうございますm(__)m

いやぁ〜ひさしぶりにイーモウ監督“らしい”映画を観せてもらいました!
真綿で首を絞められながら泣いていましたよ(笑)
僕的には一言スンの名前を叫んであげて欲しかった〜
あんな純粋な恋愛をしたことが、
遠い過去に僕もありましたねぇ(大汗)?!
8. Posted by にゃむばなな   2011年07月15日 19:20
cyazさんへ

確かに最後くらいはスンの名前を呼んであげてほしかったのですが、最後まで呼ばないのもまた張芸謀監督ならではの純愛の描き方なんでしょうね。

ちなみに私はこういう映画を見るたびにいつも思います。
こんな純愛をしたかったと!
9. Posted by なな   2012年01月22日 22:30
こんばんは

イーモウ監督,「ツンデレ萌え」とはまさに〜〜笑ってしまいました。でもだからこそ,たまには真逆の可憐なタイプに癒されたくなるのかしら。
>川の両岸で互いを思いエアーハグをする。
あのシーンも泣けましたね〜〜
エアーハグって切ないですよね。
一度やってみたい・・・。
10. Posted by にゃむばなな   2012年01月23日 09:01
ななさんへ

ほんと、エアーハグって切ないですよね。
昔のドラマで電車の窓越しに見つめあう恋人たちを思い出しましたよ。
11. Posted by latifa   2013年05月16日 09:31
にゃむばななさん、こんにちは!
この映画、好きでしたー。
主役の女の子が可愛かったー。
ところで、妹さんがいらっしゃるんですね?^^
>あえて「義妹萌え」と表記させてもらってます。

解るー!
私もリアル弟がいるのですが、映画とか小説とかで、姉と弟の恋愛ものとか、気持ち悪くて、ありえん!と思ってしまいます。

特に最近、兄・妹もののフィクション作品って多いですよね、それはリアルにそういう兄妹構成の人は、ありえん!って思うかと思うので・・。
12. Posted by にゃむばなな   2013年05月16日 22:12
latifaさんへ

そうそう、最近の近親恋愛モノって幻想豊かでビックリですよ。
まぁ弟や妹を可愛がる姉・兄はいらっしゃるでしょうけど、それでも限度ってものがありますからね。

それを思うとこの映画はより「義妹萌え」という表記が合っているような気がしますよ。
13. Posted by 添え状   2014年07月29日 08:39
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
14. Posted by にゃむばなな   2014年07月31日 17:12
添え状さんへ

ありがとうございます。
これからも精進致します。

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