2012年02月14日

『ブルーバレンタイン』

ブルーバレンタイン永遠の愛があることを信じたい。でも本当に永遠の愛なんてあるのでしょうか。
傷つけることでしか愛せなくなった夫と傷つけることを躊躇う愛し方をしてしまう妻の出会いから結婚を経て別れまでの7年間を描いたこのラブストーリー。
ブルートーンの映像のおかげか、最後までどちらかに感情移入することなく冷静に見せてくてる演出の先に待つ花火が何とも切なすぎる映画でした。

ある人が言うに、女性は男性が変わってくれることを望み、男性は女性がそのままでいることを望むそうです。
確かにどの夫婦、いや既婚・未婚を問わず愛を知るどの男女から話を聞いても、いつの時代も異性に望むものはこういうことなんですが、その望みを叶えるために女性は常に男性を叱咤激励し、男性は女性に甘えようとしているのでしょう。

ですからこの夫婦に関しても、シンディがディーンを突き放すくらい叱咤すれば、ディーンがシンディに素直に甘えたいと言えば、こんな別れは待っていなかったはず。

でもシンディは自分が避妊しなかったことで身籠った娘のことまで含めて結婚してくれたディーンに少なからず負い目を感じているのか、愛する夫に「才能があるのに…」という優しい言葉しか掛けず突き放そうとはしない。
ディーンも自分の意志で結婚したとはいえ、いつ嫉妬に狂いそうになるかも知れない現状に疲れたからこそシンディに甘えたいのに、愛する妻に嫉妬に狂った言葉しか掛けれない。

凄く愛し合っている2人だからこそ、自分のことよりもお互いのことばかりを考えてしまう歯がゆさ。
もし2人が自分の気持ちを素直に相手にぶつけることができたなら、この2人の愛は永遠の愛になったはず。

そんな2人の出会いから結婚までを回想録として挟み、同時進行で別れまでを描くデレク・シアンフランス監督の演出も素晴らしいこと。
特にディーンがシンディの勤務先の病院を訪れるカウンター越しに言い合いをするくだり。ガラス扉を巧く利用し本来なら向き合っているはずの2人を寄り添っているように見せる演出は、この2人の素直になれない現状と愛し合う気持ちを観客にだけ語りかけるお見事なもの。

しかも終始ブルートーンのため、観客はどちらかに感情移入することなく冷静にこの愛し合う2人を見ていられるからこそ、お互いを想いすぎるがゆえの切なさも心を締め付けてくれるんですよね。

永遠の愛を誓った結婚式を回想録として挟みながら迎える、ディーンとシンディが別れを選ぶラストで打ち上がる花火。
それは結婚と真逆になっても新たな道を選ぶ2人の未来を応援しようとして打ち上がる花火なのか、それとも最後まで素直になれない2人の本音を掻き消すために打ち上がる花火なのか。

自分のことよりも相手のことを想うだけが永遠の愛ではない。時には相手よりも自分の想いを優先してこそ、そこに永遠の愛が生まれるのかも知れない。

永遠の愛なんてあるのでしょうか。

「僕は君を傷つけることでしか愛せない」というディーンがシンディのために歌った歌詞が、「それでも永遠の愛を信じたい」に聞こえるEDロールが本当に切ない映画でした。

深夜らじお@の映画館は未婚だからこそ、永遠の愛を信じたいです。

※お知らせとお願い
【元町映画館】に行こう!


この記事へのトラックバック

1. 映画『ブルーバレンタイン』を観て  [ kintyre's Diary 新館 ]   2012年02月14日 21:39
11-31.ブルー・バレンタイン■原題:Blue Valentine■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:112分■字幕:岸田恵子■鑑賞日:4月29日、TOHOシネマズ・シャンテ(日比谷)■料金:1,600円□監督・脚本:デレク・シアンフランス□脚本:ジョーイ・カーティ
2. いつかは消えてしまう感情について〜『ブルーバレンタイン』  [ 真紅のthinkingdays ]   2012年02月14日 21:59
 BLUE VALENTINE  シンディ(ミシェル・ウィリアムズ)とディーン(ライアン・ゴズリング)の夫婦は、 幼い娘フランキーと3人暮らし。夫婦はそれぞれに娘を愛しながら、互いへの 不満を募らせ...
3. ブルーバレンタイン/Blue Valentine  [ LOVE Cinemas 調布 ]   2012年02月14日 22:28
一組のカップルの出会い・結婚・別れの全てを描いたラブストーリーだ。一見幸せな生活を送る2人を描きつつ、出会いから結婚までの回想が挿入される。主演は『ラースと、その彼女』のライアン・ゴズリングと本年のアカデミー賞で主演女優賞にノミネートされたのミシェル・ウ
4. ブルーバレンタイン  [ 心のままに映画の風景 ]   2012年02月14日 23:30
結婚7年目を迎え、娘のフランキーと3人で暮らすディーン(ライアン・ゴズリング)とシンディ(ミシェル・ウィリアムズ)夫婦は、平穏な家庭生活をおくりながらもお互いに不満を募らせていた。 あるカッ...
5. 出会い、結ばれ、別れる  [ 笑う学生の生活 ]   2012年02月14日 23:43
25日のことですが、映画「ブルー・バレンタイン」を鑑賞しました。 あるカップルの出会いから結婚の日々 そして別れるまでの 1日を描いてます ストーリーとしては 本当にそれだけ じっくりと見せていきます 壊れかけた現在を見せながら 出会い 幸せな時を交互に見せて...
6. ブルーバレンタイン  [ 映画的・絵画的・音楽的 ]   2012年02月15日 04:27
 『ブルーバレンタイン』をTOHOシネマズシャンテで見てきました。 (1)この映画は、タイトルからすると若い女性向きのたわいもないラブストーリーなのかなと敬遠していたところ、実は悪くない作品だと聞き及んで、見に行ってきた次第です。  実際にも、話の中身自体はよ...
7. 『ブルーバレンタイン』 (2010) / アメリカ  [ Nice One!! @goo ]   2012年02月15日 13:58
原題: BLUE VALENTINE 監督: デレク・シアンフランス 出演: ライアン・ゴズリング 、ミシェル・ウィリアムズ 、フェイス・ワディッカ 、マイク・ヴォーゲル 鑑賞劇場: TOHOシネマズシャンテ 公式サイトはこちら。 試写で観たコの感想を読んでて、かなり...
8. ブルーバレンタイン /BLUE VALENTINE  [ 我想一個人映画美的女人blog ]   2012年02月15日 20:50
ランキングクリックしてね←please click WARNINGラブラブ進行形カップルは決してデートで観ないように ライアン・ゴズリング&ミシェル・ウィリアムズ主演ってことしか前知識無く、まったくどういう話なのかも知らず鑑賞。 ライアンはいつも素晴らし...
9. ブルーバレンタイン  [ Memoirs_of_dai ]   2012年02月15日 21:31
永遠…の儚さ 【Story】 結婚7年目を迎え、娘と共に3人で暮らすディーン(ライアン・ゴズリング)とシンディ(ミシェル・ウィリアムズ)夫妻。努力の末に資格を取って忙しく働く妻シンディに対し、夫デ...
10. 「ブルーバレンタイン」感想  [ ポコアポコヤ 映画倉庫 ]   2012年02月16日 16:54
これは・・・!辛かった・・・。 でも、凄く良く出来てた! 4つ★半〜5つ★
11. ブルーバレンタイン  [ Akira's VOICE ]   2012年03月09日 10:46
何なの,この後ろ向きな映画!
12. ブルーバレンタイン  [ いやいやえん ]   2012年03月24日 09:11
これは痛い。痛くて上手い作品だ。結婚している人は身につまされる部分もあるだろうし、独身の人は恋愛と結婚が嫌になるかもしれない。でもこれが現実。 若い頃の愛に溢れた2人と、結婚後の愛だけじゃ足りなくなった2人の姿を交互に映し出す手法が上手くいっていて、
13. ブルーバレンタイン  [ 悠雅的生活 ]   2012年05月21日 00:07
愛が生まれる。煙が目にしみる。花火が消えてゆく。

この記事へのコメント

1. Posted by KLY   2012年02月14日 22:34
私は結局のところ結婚することと、恋をすることの違いってこういううことなんだろうなと感じました。
どちらが悪い訳でもない、そしてどちらが良い訳でもない。でもそれだと相手を想い、理解し、共に生きることって実は出来ないのかもしれませんね。
2. Posted by ジョニーA   2012年02月14日 23:21
花火は一瞬で消えていくからこそ美しいのです。そして思い出の中でだけ、永遠に光り輝いていくものと言えましょうー
「結婚もそういうものだよ」っていう監督のメッセージのように感じました
3. Posted by リバー   2012年02月14日 23:42
TB ありがとうございます。

恋愛のプロセス
切なく、つらい・・・

最後の花火は印象的でしたね
4. Posted by にゃむばなな   2012年02月15日 10:28
KLYさんへ

そうでしょうね。結婚と恋は全くの別物なのは、独身の私でもいろんな夫婦を見ているとそう思います。
まさに「どっちもどっち」が当たり前になってこその夫婦なのかも知れませんね。
5. Posted by にゃむばなな   2012年02月15日 10:29
ジョニーAさんへ

なるほど〜、深いですね〜。
一瞬で消えていくものの思い出は永遠に残る。
シャレてますわ〜。
6. Posted by にゃむばなな   2012年02月15日 10:30
リバーさんへ

ほんま、切ないですよね。
花火があんなにも切なく見えたのは久しぶりでしたよ。
7. Posted by dai   2012年02月15日 21:47
こんばんは。

バレンタインデーに見ない方がいいランキングでもランクインしていた本作をこの日に選ぶあたり映画通ですね。ただ内容が結構シビアに描かれているので、カップルでは見ない方がいい一本です。

永遠は単一ではないんでしょうね。永遠を永遠にするためには違う形に昇華するしかないんでしょう。子供というのもある意味その一つなのかもしれないです。
8. Posted by にゃむばなな   2012年02月15日 21:53
daiさんへ

ほんと、タイトルとは裏腹にバレンタインには不向きな映画でしたよ。
でも永遠っていったい何なんだろう?とあれこれ考えさせられました。
子供もある意味永遠ですか〜。
う〜ん、深いですが、いい言葉ですね。
9. Posted by laifa   2012年02月16日 17:03
にゃむばななさん、こんにちは!
うわ〜〜っ。。この映画をバレンタインデーに見るとはっ!!

永遠の愛、子供の頃は有ると信じて疑いませんでした(そういう人は多いはず・・)

まあ、形を変えて愛は持続すると思いますよ^0^
10. Posted by にゃむばなな   2012年02月16日 18:08
latifaさんへ

バレンタインには全く不向きな映画でしたわ。
でも愛し合うってどういうことかを知るにはいい映画でした。
永遠の愛って…形を変えてでも存在すると信じたいですよね。
11. Posted by オリーブリー   2012年02月18日 01:34
こんばんは。

どちらかに肩入れするのではなく、どちらの気持ちも分かりましたね。
映画とは思えない、身近に感じさせられたのは、役者の上手さなんでしょうね〜。

結婚してましてや子供ができると、役割や責任が見えてきて、状況に応じて愛の形が変わるんだろうに、この二人は上手く折り合いつけれなかったな〜と思いました。
それはまた愛情とは少し意味あいが違うと思うけど、なかなか難しいもんですね。
12. Posted by にゃむばなな   2012年02月18日 13:25
オリーブリーさんへ

そうですね。愛情ってものは状況によって変わってしまうものですもんね。
そしてそれを受け入れられないと愛は永遠にならない。
いやはや、愛って難しいですわ。
13. Posted by 悠雅   2012年05月21日 00:21
永遠の愛…
様々な出来事や心境の変化や不測の事態をも乗り越えて共に長く生きるのがそうなのか。
短くても信じられる想いを、遠くで長く抱いているのがそうなのか。
それとも、そんなものでは全くないものなのか。
とっても難しいところですね。
「この人だ」と思った相手と30年近く共に暮らしてますが、
さて、これで本当によかったのか、どうなのか、
愛とは何なのか、未だに明確に言い切れないものがあります。
14. Posted by にゃむばなな   2012年05月21日 20:34
悠雅さんへ

既婚者と未婚者ではまた感じ方も違いますよね。
永遠の愛なんて人の感じ方も違いますしね。
本当に難しいところですわね。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
昨日の訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

※オススメです♪※
『KANO~1931海の向こうの甲子園〜』主題歌
ぷろふぃ〜る

にゃむばなな

Twitter始めますた
nyamu_bananaをフォローしましょう
livedoor 天気
ちょいとした広告掲載