2012年06月19日

『愛と誠』

愛と誠三池崇史監督の手に掛かれば青春ヴァイオレンスとミュージカルを足すとコメディになってしまうのか!
これぞ愛と誠のファンタジア。歌って、踊って、喧嘩して、殴られて、愛を語って、髪を振り乱して、他人のミュージカルを静観して、転校して、恋をして、足を洗って、愛を受け入れてのてんこ盛りな映画がここにあり。
これは『嫌われ松子の一生』に匹敵する和風ミュージカルの傑作です。

『ウェストサイド物語』を彷彿とさせるOPから大真面目に作っているのにどこか笑えてしまう雰囲気が漂うこの映画。
始めは青春ヴァイオレンス作品で笑うのはどうかと思いつつも、でも三池監督作品なんだから逆にここは笑いたければ笑うべきなんだと思い直して見てみると、妻夫木クンが「やめろと言われても〜♪」と歌うたびに「さとし〜♪」と合いの手を入れたくなるほど、これがまぁ楽しいこと。

しかもOPでのアニメーションシーンで大まかな展開予想がつくのでストーリーも分かりやすい分、よりミュージカルシーンに集中できるのが嬉しいこと。
特にミュージカルシーンは毎回歌うキャラが違ううえに、楽しそうに歌う本人を他所に周囲はイタい人を見るかのように冷めた目をしている温度差が笑いを誘うだけでなく、三池監督のミュージカルシーンに対する拘りを感じるかのようなカット割りやカメラワークも素晴らしく、授業中の教室や女子トイレの個室などを舞台に歌い踊る発想も「さすが三池崇史監督!」と唸ってしまうほどの面白さ。

また「月光仮面」と言われると激高する太賀誠や天然お嬢様の早乙女愛以上に、キミが影の主役ちゃうの!と言わんばかりに愛を語るメガネ優等生・岩清水弘の随所における「愛を知る男」としての格好良さもたまりませんでしたね。
愛のために土下座して、愛のために身を引く。誰よりも愛を愛するからこそ、自分が助けに行って死ぬのは自己満足だと言い切り誠を頼る。愛を追いかけて青葉台学園から花園実業に転校してスリッパで叩かれまくる姿も実に面白かったですよ。

あと誠の幼少期を子供店長に演じさせているのになぜOPの愛と誠の出会いのシーンはアニメーションだったのかという疑問も、ラストでこの純愛は実写で描いては嘘になる、他のシーンが漫画みたいな実写でもこのシーンだけはアニメーションにしなければ伝えられない初恋があることを強く感じましたよ。
こういうところの三池崇史監督ならではの拘りはやっぱりいいですね。

てな訳で裏番・高原由紀を演じた大野いとさんの棒演技も、安藤サクラさんが演じたガムコのいい加減さも、48歳の伊原剛志さんにオッサンにしか見えない病を患う高校生役を演じさせるムチャも、誠がスケバン相手でも容赦なくボコボコにする男女平等な喧嘩シーンも、愛の状況を全く読まずに夢見がちな勘違いを連発する天然ぶりも、音楽は小林武史さんで振り付けはパパイヤ鈴木さんというムダに豪華なスタッフも、どれもが本当に楽しくて仕方ない映画でした。

深夜らじお@の映画館は武井咲さんの絶対領域のその奥にある事務所的には絶対不可侵な領域に吸い込まれそうでした。

※お知らせとお願い
【元町映画館】に行こう!

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. 愛と誠 【映画】  [ as soon as ]   2012年06月19日 20:32
これ、おもしろいよ しかし、一青 窈の歌と踊りは全く要らない ノーセンキュー 以前に宣言した通り、 >なんだかんだでこれから >テルマエも愛と誠も観に行くと思う >塀の中の懲りないわた...
2. 劇場鑑賞「愛と誠」  [ 日々“是”精進! ]   2012年06月19日 20:33
「愛と誠」を鑑賞してきました梶原一騎・ながやす巧による往年の大ヒット漫画を「クローズZERO」「ヤッターマン」の三池崇史監督、「悪人」の妻夫木聡、TV「Wの悲劇」の武井...
3. 愛と誠  [ あーうぃ だにぇっと ]   2012年06月19日 20:53
愛と誠@よみうりホール
4. [映画『愛と誠』を観た]  [ 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭 ]   2012年06月19日 21:57
☆・・・素晴らしかったですね^^  この作品、凄く見たかったのですが、昨夜は、彼女との口喧嘩で帰宅が遅く、  今日はバイトを終えて、どうにも、私の行動範囲のいつもの映画館(ワーナーマイカル・日の出/武蔵村山/多摩センター。MOVIX・昭島/橋本)は間に合い..
5. 「愛と誠」総天然色  [ ノルウェー暮らし・イン・原宿 ]   2012年06月19日 22:05
こ〜れ〜はぁ面白い☆ 絶妙な笑わせ加減が実に見事! 1974年の西城秀樹&早乙女愛主演の「愛と誠」は見たことないけど、これをリメイクしたというよりは完全にパロッている。。 とうより、今現在その「愛と誠」を見たら誰もが突っ込みを入れてしまう部分を、劇中で役者に
6. 愛と誠  [ 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評 ]   2012年06月19日 22:40
映画 愛と誠 オリジナル・サウンドトラッククチコミを見る昭和歌謡に彩られたミュージカル仕立ての「愛と誠」に唖然。ひさびさにお目にかかった正真正銘の珍作だ。幼い頃、雪山で ...
7. 愛と誠  [ LOVE Cinemas 調布 ]   2012年06月20日 00:55
梶原一騎原作、ながやす巧作画の同盟漫画を映画化。両家のお嬢様と不良の青年の数奇な運命と恋を描いている。主演は『悪人』の妻夫木聡と武井咲。共演に斎藤工、加藤清史郎、余貴美子、市村正親らが出演している。監督は『一命』などヒット作多数の三池崇史。音楽・小林武史
8. 愛と誠  [ 新・映画鑑賞★日記・・・ ]   2012年06月20日 18:40
2012/06/16公開 日本 PG12 134分監督:三池崇史出演:妻夫木聡、武井咲、斎藤工、大野いと、安藤サクラ、前田健、加藤清史郎、一青窈、余貴美子、伊原剛志、市村正親 天使が悪魔に恋をした 過去への復讐を誓い、東京へやってきた不良の誠。一方、東京で指折りの名家の...
9. 愛と誠 (2012/三池崇史)  [ 晴れたらいいね〜 ]   2012年06月20日 23:12
割と長く生きてるからさ−、秀樹の映画も知ってるし、TVドラマも、原作もね。パロディっぽく思ってる人も多いかもしれないけれど、実は意外にまっとうなんじゃないかなぁと思った ...
10. 映画『愛と誠』 観てきましたよ〜〜♪  [ よくばりアンテナ ]   2012年06月21日 20:36
今日こそ『ホタルノヒカリ』観ようって思って映画館行ったはずなのに、 なんか急に、やっぱこっちみようって気が変わった。 三池監督作品、実は初めてなのです。 食わず嫌いだったかも(*^。^*)意外と...
11. 愛と誠・・・・・評価額1500円  [ ノラネコの呑んで観るシネマ ]   2012年06月22日 00:09
蘇る昭和の純愛神話。 梶原一騎原作、ながやす巧作画による1970年代の純愛劇画、「愛と誠」のまさかのリメイクである。 74年から76年にかけて三部作として映画化されたほか、テレビドラマとしても映像化さ...
12. 「愛と誠」  [ 【映画がはねたら、都バスに乗って】 ]   2012年06月24日 10:41
インドなんか行かなくても三池崇史はしっかり仕事してるでしょ。 俺が「ロボット」の感想で「三池崇史も、インド行きゃあ、やりたい放題できるんじゃないか」って口走ったのをまだ根に持っているのか。 根に持っているんじゃなくて、日本にいたって工夫次第じゃ、こうい...
13. 「愛と誠」喧嘩の死闘の末にみた愛の命を救ってくれた恩人の誠意  [ オールマイティにコメンテート ]   2012年06月30日 00:19
「愛と誠」は1974年に公開された「愛と誠」をリメークした作品で、舞台は1970年代で境遇の違う不良にお嬢様が恋をした事から2人は次第に運命に引き込まれていき、壮絶な ...
14. 愛と誠 評価★★★58点  [ パピとママ映画のblog ]   2012年07月07日 22:45
「ヤッターマン」「十三人の刺客」の三池崇史監督が、過去にもドラマ化され人気を博した梶原一騎・ながやす巧原作によるコミックを、歌や踊りを交えて青春の熱い叫びを表現し映画化。「悪人」の妻夫木聡が復讐に燃えながらも実は優しい心を持つ不良少年の誠を、NHK大河ド...
15. 【愛と誠】三池印の喧嘩ミュージカル!  [ ジョニー暴れん坊デップの部屋 ]   2012年07月08日 02:25
※三池崇史監督の破天荒ミュージカル!と聞いて、真っ先に思い出したのは『カタクリ家の幸福』だ あれは、沢田研二を物語の中核に据えて、松坂慶子や忌野狂志郎といった実力者を散りばめ、見事な サスペンス・ミュージカルに仕立て上げていたっけー。そのことがあるので、
16. 毒物のような純愛、殺陣のような歌劇 『愛と誠』  [ 映画部族 a tribe called movie ]   2012年07月12日 18:10
監督:三池崇史出演:妻夫木聡、武井咲、斉藤工、大野いと、安藤サクラ、前田健、加藤清史郎、一青窈、余貴美子、伊原剛志、市村正親日本映画 2012年 ・・・・・・ 7点
17. 愛と誠  [ いやいやえん ]   2012年11月03日 09:25
歯医者さんに揃えてあって全部読んでた「愛と誠」。子供心にも物凄い劇画純愛漫画だと思ったものでした。それがミュージカル風に生まれ変わるとこうなるんですかねぇ。色々違和感ありました!! これは思いっきり好みの分かれる作品になってそうです。それでも三池崇史
18. 愛と誠  [ 銀幕大帝α ]   2012年11月04日 23:55
12年/日本/134分/青春ロマンス/PG12/劇場公開(2012/06/16) −監督− 三池崇史 『逆転裁判』 −原作− 梶原一騎『愛と誠』 −振付− パパイヤ鈴木 −主題歌− 一青窈『愛と誠のファンタジア』 −エンディングテーマ− かりゆし58『笑っててくれよ』 −出演−

この記事へのコメント

1. Posted by BROOK   2012年06月19日 20:37
冒頭のアニメーション演出から惹き込まれ、
そして、いきなりのミュージカルシーンでさらにあの世界に惹き込まれましたね♪

純愛をテーマにしている中に、“最高”の笑いが詰まっているような感じがします。

こう話していると、また観たくなっちゃいます。
2. Posted by にゃむばなな   2012年06月19日 20:42
BROOKさんへ

三池監督は他の作品を真似したいというような中途半端なことは一切せず、自分が作りたいものを作るスタンスでいるがゆえに、アニメーションシーンから入り、ミュージカルで笑わせ、最後にまたアニメーションシーンできれいに終わることができるのでしょうね。
ほんと、これはまた見たくなる映画ですよ。
3. Posted by ノルウェーまだ〜む   2012年06月19日 22:04
にゃむばななさん☆
本当にどれもありえないところを、何でもありにしてしまう三池監督は凄いですね!
あとスケバンにも容赦ない男女平等の喧嘩にもびっくりでした(笑)
案外そんなことする誠より、岩清水君のほうがずっと男らしいですね。
4. Posted by KLY   2012年06月20日 02:25
楽しかったですねぇ。もう単純に楽しくて。まあ仰るとおりで見ながら「駄目な人は全く受け付けないだろうな」とは思いましたけど、申し訳ないけどこの作品は解る人だけが楽しませてもらえるんで良いかなっておもいますわ(笑)
5. Posted by にゃむばなな   2012年06月20日 14:50
ノルウェーまだ〜むさんへ

三池監督の凄さを改めて感じましたよ。
そうそう、岩清水クンは本当に中身が男前でしたね。
6. Posted by にゃむばなな   2012年06月20日 14:52
KLYさんへ

この作品は三池作品が好きな人にしか受けないかも知れませんが、それで十分だと思いますよ。
そこら辺りは盟友のQTと似てますね。
7. Posted by yukarin   2012年06月20日 18:43
こんにちは♪
面白かったですね!
俳優さんたちが真面目にやってるから面白いんですよね。
まさか伊原さんが高校生役とはホントびっくりでしたが意外にも合ってました(笑)
監督のセンスは素晴らしいですね。
8. Posted by kajio   2012年06月20日 19:45
とりあえず今月中には観ておきたいのですが、早くも客席がガラガラみたいなので、上映回数がどれぐらい減らされるのやら…
9. Posted by にゃむばなな   2012年06月20日 21:28
yukarinさんへ

伊原さんを高校生役に抜擢するこのセンス。
多分この国では三池監督と園子温監督しかいないでしょうね。
10. Posted by にゃむばなな   2012年06月20日 21:29
kajioさんへ

とりあえず2週目になるとかなり上映回数が減らされるのは間違いなさそうですから、お早めに劇場に行かれることをオススメします。
11. Posted by 氷雨@竜兄   2012年06月21日 00:01
久々に楽しめる映画でした♪
しかし、これほど原作を魔改造(笑)した映画も珍しいですね(笑)。
相変わらず三池崇史は僕好みの映画を作ってくれます♪

個人的にガム子さんの登場シーンがかなりツボりました。
「転校してきたばかりだから」に吹き出してしまいましたよ(笑)
12. Posted by にゃむばなな   2012年06月21日 09:38
氷雨@竜兄さんへ

「ガム子」と聞いただけで「ガムを噛んでいるから」というのはすぐ分かるのに、わざわざ説明してくれるあの驚くほどの丁寧さ。
あれもまた三池ワールドですよね。
13. Posted by ノラネコ   2012年06月22日 01:05
観終わって思ったのは「何気にオヤジ向け」ですかね。
妻夫木君はともかく、武井咲ファンのティーンエージャーたちがどう思ったのか知りたいところです。
14. Posted by にゃむばなな   2012年06月22日 20:32
ノラネコさんへ

武井咲目当ての10代にはこの映画の面白さは理解できないでしょう。
なんせ三池ワールドは映画ファン向き、オヤジ向きな世界ですもん。
まぁ私も年齢的にオヤジなので、結構楽しめましたけど。
15. Posted by 『愛と誠』愛好家   2012年06月28日 18:01
こんにちは『愛と誠』関係のブログをネットサーフィンしている者です。
 今回の映画化は原作好きの者にとっては喜ばしいかぎりです。
 もしよろしければこちらのサイトにも一度遊びに来てください。『愛と誠』関係に関する出演者ブログやニュース、他の方の感想ブログのリンク一覧にまとめており、また『愛と誠』に関する書き込みならなんでも書き込んでください。
・ 映画『愛と誠』ネタバレ掲示板 http://aimako.bbs.fc2.com/
他にも
・ 『愛と誠』覚え書き      http://www.myagent.ne.jp/~bonkura/201X.html
・ 梶原一騎ファンサイト『一騎に読め!』 http://www.myagent.ne.jp/~bonkura/
16. Posted by にゃむばなな   2012年06月28日 20:20
『愛と誠』愛好家さんへ

ステキなお誘い、ありがとうございます。
早速楽しませていただきますよ。
17. Posted by kajio   2012年07月02日 00:24
昨日観てきました。

実際に観たら、ファーストデー以外はガラガラなのも納得…かなと。

あのストーリーじゃ若い客層は非常に呼びにくそうだし、

だったら更に開き直って和製のキル・ビルPART1にしてしまって、

喧嘩につぐ喧嘩を描いて、ゲスい昭和の新宿のセットに文字通り血の雨を降らせて、

大野いとにボウリング場跡地で

『ヤッチマイナー!』

と絶叫させて、

オーラスのアニメで、誠の顔の後に地球の絵が描かれるシーンで、

その地球を『デッド・オア・アライブ1』みたいに大爆発させるぐらいの手も、あった様には思います!?

18. Posted by にゃむばなな   2012年07月02日 20:23
kajioさんへ

大衆受けを狙うなら、そういう展開の方が断然いいですよね。
でも三池監督はそんな大衆ウケなんて、これっぽちも考えていないのでしょう。
じゃなきゃ、こんな映画は撮れませんわ!
19. Posted by ジョニーA   2012年07月08日 02:24
「ガム子には幸せになってもらいたいな」
「愛は・・・別にどうだっていいやー」と
思えるラストでした。タイトルは「愛と誠」
ですが、インパクト的には「ガム子と岩清水」
でしたYO〜♪
20. Posted by にゃむばなな   2012年07月08日 15:41
ジョニーAさんへ

確かに純情恋する乙女のガム子と純愛少年の岩清水には幸せになってもらいたいと思いますよね。
ほんま、この2人のインパクトは絶大でした。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
昨日の訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

※オススメです♪※
『KANO~1931海の向こうの甲子園〜』主題歌
ぷろふぃ〜る
Twitter始めますた
nyamu_bananaをフォローしましょう
livedoor 天気
ちょいとした広告掲載