2012年08月30日

『ニッポンの嘘〜報道写真家 福島菊次郎90歳〜』

ニッポンの嘘福島菊次郎氏90歳。現役の報道写真家というよりはカメラを武器に隠蔽されようとしている事実を映し出し、世間に叩きつける現役の戦士。ただし正義の味方ではない。
被爆後の広島から激動の昭和を駆け抜け、原発問題に揺れる福島で報道写真家として活動を続ける老戦士に密着したこのドキュメンタリー。素晴らしい映画ではありますが、決して手放しで称賛すべき映画ではない、まさに自分の意見を持つ者だけが見るべき映画だと思います。

問題自体が法を犯していれば、カメラマンは法を犯しても構わない。この信条を胸に被爆地広島、三里塚闘争、安保闘争、全共闘運動、水俣公害、ウーマンリブ、祝島など、戦後日本の激動を撮り続けた伝説の報道写真家・福島菊次郎氏。

ピカドンの毒にやられた仇を取ってくれという故・中村杉松さんの依頼や特攻隊員だった自分の立場から考える昭和天皇の戦争責任追求などを原動力とし、表に出ない、いや国家が様々な事情から表に出さない事実を暴きだすという行動自体、とても素晴らしいことだと思います。
ただしそれは日本の嘘を暴きだしているから素晴らしいのではなく、何が真実であるのか、様々な事情から何が重要なのかを日本に生きる人全てが考えるための選択肢を増やしているから素晴らしいのだと個人的には思うのです。

昨今のK国やC国でもそうですが、国家から発信される情報だけを鵜呑みにする国家は大変危険です。それこそまさにK国やC国が嫌う帝国日本と同じことをしているだけに過ぎないのですから、行きつく先は容易に想像できてしまいます。

ではそうならないためにはどうすべきか。それこそ国民一人一人が考えなければなりません。でも考えるには複数の選択肢が必要ですが、戦後日本では一部の情報が国家の都合で隠蔽され続けてきた、つまりは選択肢が国家によって意図的に狭められてきたのです。
ですから福島菊次郎先生がカメラを片手に写真を撮り続けることは国家が意図的に狭めてきた選択肢を増やすという作業。いや元の選択肢の数に戻そうという作業。
そしてその写真から私たちは何が真実で何が重要かを見極め、時に妥協が必要かどうかも考えなければならないのです。

現代日本においても自民党の嘘、民主党の嘘に辟易した有権者が安易に新興勢力である維新の会に投票するなどとなれば大問題です。原発反対派の意見に安易に賛成してデモに参加するのも大問題です。
なぜなら維新の会がこれまでの政党と違って嘘をつかないという保証も、首相との面談の後の会見で「受け入れることができない」と上から目線で妥協を拒否した原発反対派の意見がどこまで正しいかも、現時点の情報だけでは誰にも判断できないのですから。

だからこそもっと情報が必要なのです。隠蔽された情報が、隠蔽されようとしている情報が必要なのです。その情報こそ、我々の未来を決める選択肢の一つ。

カメラを構えた瞬間から90歳とは思えない俊敏な動きを連発する福島菊次郎先生。彼が昭和天皇に戦争責任を求める気持ちも分かりますが、世間には若き昭和天皇は軍部政府によって利用されたという意見もあるのも事実。
でも自分はこうだ!と思ったら年金の受取を拒否するなど行動に一貫性があるこの福島先生の姿は、昨今の政治家だけでなく、原発反対運動をしておきながら国外逃亡を考えるエセ正義に酔いしれた人たちにも見習っていただきたいもの。

広島にある故・中村杉松さんの墓前で涙を流すも再び歩みだす福島先生のあの背中にまだまだ戦い続けるという不屈の闘争心を感じたこの映画のラスト。
この老兵の戦いは他人事ではなく、我々の未来に直結していること。だからこそ多くの若人に見ていただきたいと思えた映画でした。

深夜らじお@の映画館は元サイキッカーとしても隠蔽されようとしている真実を見つめていきたいと思います。

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acideigakan at 18:41│Comments(4)clip!映画レビュー【た行】 

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1. 【ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳】  [ ジョニー暴れん坊デップの部屋 ]   2012年08月31日 00:03
eiga.com 作品情報 『ニッポンの嘘〜』 ■解説:戦後日本を見つめ続けてきた報道写真家・福島菊次郎の2009年から11年の3年間に密着したドキュメンタリー。敗戦直後の広島で被爆者家族の苦悩を10年間にわたり撮り続けた福島は、それ以降も三里塚闘争、東大安田講堂、70

この記事へのコメント

1. Posted by ジョニーA   2012年08月31日 00:02
写真は事実の一面を表すもの
中には、(湾岸戦争時の油まみれ水鳥みたいに)情報操作に利用される場合
もあるってことは頭の隅っこに置いておかないとねー♪
情報判断番組S青年団リスナーには言わずもがなでしょうけどー
2. Posted by にゃむばなな   2012年08月31日 21:08
ジョニーAさんへ

確かに写真は事実の一面を表すものですよね。
だからこそ写真を見る者の判断力が試される訳ですが、その判断力を養うためにも選択肢はたくさん必要な訳で。
まぁS青年団のような番組が続いていれば、選択肢が少なくても判断力は養えるんですけどね〜。
3. Posted by kajio   2012年11月27日 13:41
先週観てきました。

何と、自衛隊の基地内での隠し撮りの説明中に機材トラブルが発生してしまい、

『まさかの圧力で上映がバーニング!されるのか!?』

と不安に襲われましたが、10分程後に無事に復旧して、

よりによって(?)福島さんの『叩きつけてやりたい、告発したい』の名台詞を二回も聞く事ができてしまいました。

内容も含めて、いい経験をしました…

4. Posted by にゃむばなな   2012年11月27日 21:10
kajioさんへ

あらま、そんなハプニングあったのですか。
そりゃ圧力かと疑ってしまいますわね。
特にこういう方を扱った映画の場合は、そう思うのが当然になってしまうのかも?

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