2013年01月08日

『チャップリンの黄金狂時代』

黄金狂時代皮肉の効いた笑いとハッピーエンドが素晴らしい。
チャールズ・チャップリンの代表作の一つでもあるゴールドラッシュ時代にアラスカで一攫千金を夢見る探検家を通して、人間の剥き出しになった欲望を見事に描き出したこの作品。改めてチャールズ・チャップリンという映画人がサイレント俳優としてだけでなく、映画製作者としても素晴らしい才能を持った方だと痛感しましたよ。

まずこの映画には映画史に残る有名なシーンが3つあります。食糧難の山小屋で空腹のあまり革靴を煮て食べるシーン、崖から落ちそうになった山小屋から必死に脱出を試みようとするシーン、そしてパンにフォークをさしてダンスをするシーン。
そのどれもが例えこの映画を見ていなくても誰もが一度は目にしたことのあるシーンばかりなのに、これが一本の映画のワンシーンとして見ると、その素晴らしさを改めて感じずにはいられないんですよね。

特にこのどれもに貧困生活を笑いに変え、金持ち共への皮肉として描かれているというのが、よりその素晴らしさを痛感せずにはいられないこと。

例えば革靴を食べるシーンであれば、その日に食べるモノさえないがゆえに革靴をチキンに、釘を骨肉に、紐をスパゲティに見立て、いつか夢見たナイフとフォークで食べるクリスマスディナーのように食べるという皮肉。
山小屋からの脱出シーンは、傾いた床の先にある谷はまるで貧困者をこの世の地獄に呼び込もうするかのようで、そのこの世の地獄からの招きから必死に逃げるべく、時に仲間と協力し、時に必死に走ってロープ一本で繋がれたこの世にしがみついているという皮肉。
そしてパンのダンスシーンは、貧困や裏切りにより仲間を失い孤独になった者たちへの皮肉。

ですからこれだけ貧困者は辛い思いをしているんだという思いを笑いに変えているがために、逆に酒場でヒロインと出会って恋に落ちるくだりはちょっとトーンダウンしたようにも感じてしまうんですよね。
好きな男へのあてつけとしてダンスパートナーに選ばれ、大晦日パーティに誘っても約束を忘れられてしまう小さな探険家。その姿が哀れでならない、このヒロインも嫌な女やで…と思っていたら、再会した山小屋で出会った大男と共に最後の最後で人生大逆転。

でもこの映画はこの人生大逆転が気持ちいいのではなく、実はラストで小さな探検家が伝記を書いてもらうべく、成功の原点でもある小汚い格好をした状態でヒロインと豪華客船で再会するシーンなんですよね。
ヒロインはもちろん彼が成功したなんて知らないので無賃乗船者だと思っていたら、やってきた船長から大富豪だと聞かされ、彼に施しをするつもりが逆に施しを受ける立場になる。

人生だけでなくヒロインとの立場も大逆転するこの気持ち良さ。人間の器が小さいと言われればそれまでの話かも知れませんが、「小公女セーラ」を始め最後の最後で人生だけでなく周囲の嫌な奴らとの立場も大逆転するって本当に気持ちいいと思いませんか?

そんな人間の本質を見事に描き出したチャールズ・チャップリン。やはり映画史においてこの方は本当に偉大な映画人だと改めて確信しましたよ。

深夜らじお@の映画館の人生も大逆転してほしいです。

※お知らせとお願い
【元町映画館】に行こう!

acideigakan at 20:59│Comments(2)clip!映画レビュー【あ行】 

この記事へのコメント

1. Posted by ジョニーA   2013年01月08日 22:48
>パンにフォークをさしてダンスをするシーン〜
『妹の恋人』の劇中、ジョニー・デップがそのシーンの
再現をしていたのを覚えています♪ある意味、原点なん
でしょうねー
2. Posted by にゃむばなな   2013年01月09日 20:25
ジョニーAさんへ

山小屋が傾くシーンがバラエティで使われていたりなど、この映画って笑いのある意味原点ともいえますよね。
本当に素晴らしい映画ですよ。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
昨日の訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

※オススメです♪※
『KANO~1931海の向こうの甲子園〜』主題歌
ぷろふぃ〜る

にゃむばなな

Twitter始めますた
nyamu_bananaをフォローしましょう
livedoor 天気
ちょいとした広告掲載