2013年01月16日

『渾身 KON-SHIN』

渾身絆や思いやりという言葉だけ言い表せない日本の心がここにある。
島根県隠岐諸島に伝わる日本の国技・相撲の原点とも言われている古典相撲。20年に一度しか開催されない遷宮相撲大会を通して描かれるとある家族の再生に、改めて日本人であることを誇りに思える映画でした。まさか、本当に相撲で泣くなんて。

水若酢神社がある座元と周辺地域の寄方に分かれて男たちが一晩掛けて300番近い相撲を取り続け、しかもどの相手とも遺恨が残さず1勝1敗の五分になるように2番ずつ取る事で互いに奮闘を称え合うというこの遷宮相撲大会。

この映画はそんな遷宮相撲大会に挑む英明を彼の後妻となった多美子の視点で描いているのですが、まずこの英明という男がかつて結婚式をドタキャンして花嫁を寝込ませ、別の女性と結婚して島に戻ってくるも爪弾きにされてしまった、いわゆる訳あり男。
でもそんな風当たりが厳しい中でも必死に仕事と相撲を頑張り、妻・麻里を病気で亡くし一人娘・琴世との生活が大変でも、また娘の世話をしてくれる多美子との恋に臆病になりながらも、それでもただ真摯に、そして寡黙に相撲に打ち込む男でもあるんですよね。

なので当然この英明と多美子の物語と思いきや、実は英明の過去と最高位の正三役大関に選ばれ大一番に挑むまでの現在を交互に描きながらも様々な登場人物の想いも少しずつ描いているので、最後の座元と寄方の大関同士の大一番になると、そんな溜まりに溜まったみんなの想いが総重量2トンにも及ぶ塩の大雨と共に一気に感動となって溢れ出す。これがもうたまらんのですよ。

亡き妻と娘と多美子のために土俵に向かう英明、琴世に母親として認めてもらいたい多美子、もう淋しい思いはしたくないと涙を見せる琴世を始め、英明を勘当した両親・麻里の両親・多美子の両親の子供を想う心、真摯に頑張る英明を大関に推挙してくれた世話役たちの親心、そして世話役の清一と伸江の不器用だけど素直な恋心。

人はみな一生に一度、真剣勝負に挑まなければならない。そしてその真剣勝負をする最大の相手は自分自身でもあるからこそ、誰もがその真剣勝負に挑む背中を全力で応援する。自分の中にある全ての想いをぶつけて応援する。
そう、日本人最大の美徳は正々堂々恥ずかしくない勝負をする者を誰もが褒め称えること。高校野球にも代表されるように、敗者を称賛することを忘れないこと。

ですから同体による取り直しの一番で脳震盪を起こし、遺恨を残さぬように行われるはずだったもう一番がなくなっても、対戦相手の大関が御柱と共に正々堂々恥ずかしくない勝負をした英明を褒め称えるあのラストに感動するんですよね。もうあのラストこそ日本人の美徳。日本人として誇りを感じずにはいられませんでしたよ。

てな訳で西日本横断ブログ旅で稲垣早希ちゃんも訪れた隠岐諸島出身の関取・隠岐の海が特別出演してくれているだけでも素晴らしいのに、EDロールを見ればFLOGMANの名前が!さすが島根県のために動く男!このEDロールにも地元のためには協力を惜しまない日本人として美徳を感じましたよ。

深夜らじお@の映画館は兵庫県出身の妙義龍関を応援しています。

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acideigakan at 21:31│Comments(4)clip!映画レビュー【か行】 

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この記事へのコメント

1. Posted by かのん   2013年01月16日 23:17
そうそう、日本人の魂、そして誇りを強く感じさせてくれる物語でした。勝負ごとには激しく熱くなりながらも、決して対戦相手を見下さず讃えるのはそれが神への畏怖でもあるからのでしょう。今年の始めにとてもいい作品に出会えました。
2. Posted by にゃむばなな   2013年01月17日 16:03
かのんさんへ

勝つことだけが正義ではないという、日本独特の美徳。そこに神への畏怖も込められているというのがいいですよね。
ほんと、年の初めにいい映画に出会いましたよ。
3. Posted by BC   2013年01月18日 23:35
にゃむばななさん、こんばんは。

本来、試合は相手に向けるものではなく、
自分自身と向き合う為にあるものなのでしょうね。
勝つか負けるか二つに一つの結果だけが全てではなく、
お互いの健闘を讃える日本人ならではのスピリッツが清々しかったですね。

4. Posted by にゃむばなな   2013年01月19日 11:30
BCさんへ

アメリカなどは試合=相手との勝ち負けとなってますけど、やっぱり自分との戦いも含んでいるというのが日本ならではですよね。
だからこそ相手への敬意も忘れない姿が清々しく見えるのでしょう。

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