2013年07月29日

『終戦のエンペラー』

終戦のエンペラー歴史サスペンスと思いきやラブサスペンスでした。
昭和天皇にも戦争責任はあったのか。この歴史的ミステリーを解明すべく進んでいく映画のように思えた予告編とは違い、蓋を開けるとフェラーズ准将の恋愛話が結構な比率を占めるこの作品。ハリウッド映画としては必要な恋愛部分も、日本史を描く作品としては恋愛部分が作品のレベルを下げてしまったと思えました。

ダグラス・マッカーサー元帥を欲深い司令官と描き、玉音盤奪還事件も描き、日本人俳優に西田敏之局長を始め、火野正平、中村雅俊、伊武雅刀、そして故・夏八木勲と名優陣を揃えておきながら、見終わった後の満足感がさほどでもないこの作品。

その原因を探っていくと見えてくるのが、やはり日本という文化に対する理解がまだまだ足りぬというところでしょうか。
例えばボナー・フェラーズ准将が「親日家」ではなく「知日家」とはいえ、要人との面会時に会釈などの礼を重んじないのに、日本の専門家というのは果たしてどうなのか?と思えますし、また映画全体を通して「本音と建前」「信奉」など日本人にとっては当たり前のことに対する対外的な説明も少ないこと。
つまり日本の資本で作られているとはいえ、製作側に日本文化に対する理解度がそんなに高くない。だからこそ日本人的感覚としては「もう一歩踏み込めていない」という印象が残ってしまうのです。

加えてフェラーズ准将の恋愛部分が中盤以降大きく割合を占めてしまうので、東條英機を始めとする政府要人の思惑も見えてこなければ、新たな史実も出てこない。木戸幸一内大臣の秘密裏の告白で映画が大きく転換することもない。
要は愛しの日本人女性アヤが空襲により亡くなったと知ったことで、フェラーズ准将が「彼女のこと」を想い報告書をまとめているだけ。だからラブサスペンス止まりなんですよね。
仮に「彼女の生まれた国」までを想い報告書をまとめていたら、この映画は歴史サスペンスになっていたのですが、いやはや日本人としては残念です。

てな訳で昭和という時代を少しでも知っている者にとってはやはり裕仁陛下は人としても偉大であったことを再認識出来た映画であると共に、京都や桜と並び天皇陛下という存在もまた日本人にとって大きな精神的支柱であることを痛感した作品でした。

深夜らじお@の映画館は今でも日本民族は天皇陛下の一言でどんな争いも止めることが出来ると信じています。

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この記事へのコメント

1. Posted by 悠雅   2013年07月30日 00:11
これは、きっと歴史サスペンスという位置づけで作っていないのだと思います。
日本女性を愛した1人のアメリカ人将校が、
自分の知り得る範囲の情報を集め、報告書を書く、ということに
特化したお話だったのだと思うのです。
なので、東条英機の心中がわかりもしなければ、彼が得る新事実もないし、
日本を敬愛しつつも、心底日本の文化を理解できているわけではない。
それでも、公正な目を持ち、
ただ、天皇を処刑するかしないか、その情報を集め、結論を出した人物を描いたものだと思いました。
2. Posted by BROOK   2013年07月30日 05:56
フェラーズとアヤの恋愛要素が強くて、“真相”が霞んでしまったという感じでしょうか。
そもそも“真相”もあやふやなままで終わってしまったような印象です。
結局のところ、アヤとの恋愛があったことが前提で報告書がまとまったというのも、ちょっとツッコミどころのような気がしますね。
3. Posted by yukarin   2013年07月30日 10:46
恋愛部分があったから見やすかったかもしれませんがちょっと長く感じました。
もうちょっと歴史的な部分が見たかったです^^;
4. Posted by にゃむばなな   2013年07月30日 11:01
悠雅さんへ

予告編を見た時は歴史サスペンスだと思っただけに、個人的にはこの内容はちょっと物足りなかったですね。
それでもアメリカらしい偏見も少なく、日米公正な目で描かれていたことは大いに評価すべきことだと思いました。
5. Posted by にゃむばなな   2013年07月30日 11:09
BROOKさんへ

真相があやふやで終わったのは日本の白黒つけぬをそのまま表現したのでしょうかね。
まぁ史実が真相を解明しないままですから、そこを変えれないというのもあったと思いますが。
ただアヤとの恋愛ありきで報告書をまとめるというのも、何だかなぁ〜でしたね。
6. Posted by にゃむばなな   2013年07月30日 11:12
yukarinさんへ

そうですよね、もうちょっと歴史サスペンスが見たかったですね。
日本人俳優の渋い存在がもっと見たかったです。
7. Posted by かのん   2013年07月30日 21:54
「日本民族は天皇陛下の一言でどんな争いも止めることが出来ると信じています。」

たしかにその通りかもしれませんね。それは名言かも。

そういえば天皇陛下が「さかなクン」の名前を口にされた時、何だかとても感動したのを思い出しちゃいました。
8. Posted by にゃむばなな   2013年07月31日 22:39
かのんさんへ

前大統領が天皇陛下に対して暴言を吐く韓国人たちには理解できないことかも知れませんが、日本人の心底における天皇陛下の存在の大きさって凄いですよね。
さかなクンの件に関しても感動してしまうのは、天皇陛下が我々日本人の心底においてどれほど大きな存在であるかの証だと思いますよ。
多分こういう感覚は王国に住んでいるイギリス人やオランダ人なら理解できることでしょうね。
9. Posted by えふ   2013年08月01日 18:54
恋愛話がないほうが良かったですね〜。
しかし、映画や大河ドラマを見て知る史実のなんと多いこと!
もっと日本の歴史をちゃんと学校で教えなきゃだめですよね。
10. Posted by にゃむばなな   2013年08月01日 22:55
えふさんへ

ほんと、日本人なのに日本の近代史を知らないなんて情けないですよね。
もっと日本人として知るべきものは学校で教えてくれないと!
11. Posted by q   2013年08月04日 19:09
統治者のサイドから戦後の日本を描いて
恋愛は不要な部分。バサっと切れば
もっと重厚だったのに!残念
天皇(片岡幸太郎)とマッサカーサーの会見や
東京の街並み
詳細に描いていた時代世界
そのものが「こうだったんだ!」と感心して引き込まれた
そーそー 昔、近衛氏のご自宅を
近くて観ていたので
思い出しちゃった
 中村サン、もう少しソリッドが良かったかな?!と・・・
この作品と「太陽」というイッセー尾形氏の作品と
日本においての史実の作品は大切だよね!
12. Posted by FREE TIME   2013年08月04日 20:03
こんばんは。
自分も恋愛話は余計だったと思う側ですが、当時の日本の様子を克明に描かれていた作品だった印象を受けました。
都合が悪くなったら、物事をあやふやにしようとする日本人の悪い部分は今も昔も一緒なんですね(汗)
13. Posted by にゃむばなな   2013年08月04日 22:24
qさんへ

そうそう、歴史の勉強としては『太陽』と並んで大切な映画ですね。
それゆえに恋愛部分をバッサリといって欲しかったですよ。
14. Posted by にゃむばなな   2013年08月04日 22:29
FREE TIMEさんへ

白黒ハッキリさせないのは美点もあれば汚点もあるんですよね。
その汚点が今も昔も目立ってしまうのは何とも淋しいことですね。
15. Posted by latifa   2014年01月29日 11:44
にゃむばななさん、こんにちは!
私も恋愛部分は、不要だったかなーと思いました。
もしあったとしても、もうちょっと少な目な割合だったら良かったのに・・・。
16. Posted by にゃむばなな   2014年01月30日 16:36
latifaさんへ

そうそう、恋愛部分はもっと短くあるべきですよね。
何を描くべきなのかをこの映画はどこかで間違ってしまったのでしょうね。

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