2013年09月26日

『あの頃、君を追いかけた』

あの頃、君を追いかけた幼稚なのに頼りがいもあるのが男子。大人びているのに可愛らしさもあるのが女子。
またしても台湾から可愛らしい青春映画がやってきました…と言いたいところなんですが、どのエピソードも可愛らしい割には映画としては可愛らしさが少々足りないこの映画。それでも青春時代を思い出さずにはいられない映画でした。

台湾の人気作家ギデンズ・コーが自らの自伝的小説を初監督作品として映画化したこの作品。それが良くも悪くもこの映画に如実に現れているんですよね。

例えばこの映画に出てくる幼稚なイタズラで日々を過ごすコートンと、優等生でクラスの人気者のチアイーが織り成す学生エピソードはどれも可愛らしいうえに、全て身近に感じるものばかり。
「幼稚な男子だと思っていたのに、英語の教科書を忘れた私に自分のを渡して代わりに怒られるなんて…」から始まり、「ただの優等生だと思っていたのに、根も葉もないキョンシーの噂に本当に怖がっているなんて…」など、昨日まで気にしていなかったのに、ひょんなことからクラスメイトを異性として認識してしまうあの甘酸っぱさ。

加えて自分のためにと試験問題を作ってくるチアイーの努力を無にせず毎朝必ず提出してはすぐに訂正もするコートンの真摯さがあれば、そのコートンに声も掛けず肩も叩かずペンで背中を突くチアイーのお年頃の女の子らしい可愛らしさがより青春時代ならではの心の温かみを思い出させてくれれば、試験の点数勝負で負けて丸坊主にしてきたコートンに対して、勉強を頑張ったご褒美とばかりにポニーテールにしてくるチアイー。
この学生時代ならではの友達以上恋人未満の、微妙だけど改めて思い起こせば学生時代はこの関係が一番幸せに感じていたのかもという2人の距離がたまらなくいいんですよね。

ただ高校を卒業してコートンが大学で天下一武道会を開いてチアイーを心配させたり、チアイーもコートンに「大好きだ」まで言わせておいて「付き合ってくれ」と告白されていないというだけで別の男と付き合うくだりになると、何となく身近に感じなくなるというか、映画としての面白味もトーンダウンしてしまうこと。
まぁこの辺りが初監督作品であるにも関わらず自叙伝を自ら映画化したという弊害でもあると思うのですが、台湾大地震も時系列程度にしか扱われていませんでしたし、ちょっともったいないという印象が強くなってしまいましたね。

でもOPでコートンが迎えるチアイーの大事な日は2人の結婚式かと思いきや、実は別の男と結ばれるチアイーの結婚式にコートンも参列するんだと判明するあのクライマックスはコートンの何度も吸い付くキスさえ除けば凄く良かったですね。

花嫁の唇を奪いたければまずは私にキスが出来るかい?という花婿のジョークに迷わず花婿を押し倒して唇を奪うコートン。
そんなコートンに対して「私がかつて好きになった幼稚なコートンのままでいてくれて良かった」というような笑顔を見せるチアイー。

本当に好きな相手だったから、チアイーの幸せを祝福すべきだ。
本当に好きな相手だったから、コートンが変わらずにいてくれることが嬉しい。

初恋は成就しないから美しいのではなく、初恋が本当の愛に昇華するから美しい。
そんな大人にならなければ理解出来ない甘酸っぱさが様々なエピソードから味わえるこの作品。出来れば映画全体としてもそんな甘酸っぱさを味わえれば、今年屈指の佳作になっていたと思いました。

深夜らじお@の映画館はストーリーが進むにつれ、どんどん可愛らしく、そしてキレイになっていくチアイー役のミシェル・チェンに恋をしちゃいそうになりました。

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acideigakan at 23:20│Comments(8)clip!映画レビュー【あ行】 

この記事へのトラックバック

1. 『あの頃、君を追いかけた』  [ ラムの大通り ]   2013年09月28日 08:53
(原題:那些年,我們一起追的女孩) ※カンの鋭い人は注意。 ※映画の核に触れる部分もあります。 鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。 ----これって久しぶりに、えいが泣いたとか言っていた あの台湾の映画だよね? 「そうだね。 まあ、..
2. あの頃、君を追いかけた  [ 風情♪の不安多事な冒険 Part.5 ]   2013年09月29日 10:35
 台湾  青春&ロマンス  監督:ギデンズ・コー  出演:クー・チェンドン      ミシェル・チェン      スティーブン・ハオ      イエン・ションユー 【物語 ...
3. あの頃、君を追いかけた  [ だらだら無気力ブログ! ]   2013年09月30日 00:36
直球ど真中の青春映画!
台湾の人気作家ギデンズ・コーが初めて長編映画のメガホンを取り、自身の自伝的小説を映画化した『あの頃、君を追いかけた (原題:那些年,我們一起追的女孩、You Are the Apple of My E
5. 我的青春〜『あの頃、君を追いかけた』  [ 真紅のthinkingdays ]   2013年10月27日 18:19
 那些年,我們一起追的女孩  YOU ARE THE APPLE OF MY EYE  1994年、台湾・彰化。私立の中高一貫校に通う16歳の柯景騰コー・チントン (柯震東クー・チェンドン)は、勉強そっちのけで友人と悪ふざけばかり。見かね た担当教師は、学年一の優等生にし
◆『あの頃、君を追いかけた』 五つ星評価で【★★★★ミシェル・チェン可愛い】 こんなんだよ。 こんな青春映画が観たかったんだよ。 玉木宏みたいなクー・チェンドンはバ ...
7. No.380 あの頃、君を追いかけた  [ 気ままな映画生活 ]   2014年05月22日 00:01
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8. 「あの頃、君を追いかけた」感想  [ ポコアポコヤ 映画倉庫 ]   2014年07月09日 11:17
最後の方で、やられました。 4つ★〜4つ★半未満

この記事へのコメント

1. Posted by えい   2013年10月01日 23:00
この映画のラスト、
試写では周囲で「おおっ」というどよめきが複数。
ぼくにとっても忘れられないシーンの一つとなりました。
公衆電話の列、それが携帯へと変わる時代の動きもオモシロかったです。
2. Posted by にゃむばなな   2013年10月03日 16:54
えいさんへ

あのラストは確かに驚きですよね。私も多くの方と同じで「てっきり…」と思いましたもん。
でもあんなラストを用意しても違和感なく見せてくれるのも台湾青春映画のパワーなのでしょうね。
3. Posted by 南平岸   2013年10月05日 20:10
4 新聞の映画評(シネマ万華鏡)を目にして、新宿の上映館へ駆け付けた映画ファンは多いはず。かく云う私も、その一人。
「青春の輝き鮮烈に/あの頃、君を追いかけた」・・・《一九九四年、主人公コー・チントンは十六才。・・・いかにもその年齢の男の子らしい、バカさと元気を持て余しつつ、四人の級友とその時期でしか持てない親密さで時間を共有していた。》
高校時代、女子生徒の早熟・聡明さに対し、男子生徒の単純・幼稚さ。それが時として感情の行き違いをもたらし・・・これでは同級生カップルが長続きする訳ありません。しかも、クラス一の秀才・女子と問題児・男子の組み合わせなら、尚更。本作の主人公、コー・チントン(クー・チェンドン)とシェン・チアイー(ミシェル・チェン)が高校卒業後の交際を経て、結局破局したのは、或る意味 当然の帰結だったのかも。
それにしても、高校の授業中、先生の目を盗んで自慰に耽る男子二人(劣等生)には、笑いました。丸刈りとポニー・テールのエピソードも、微笑ましかった。等々、青春群像の描き方における日・台の違いが、なかなか興味深かったです。

《あらすじだけ見れば、よく有る青春ストーリー。だが、作者(ギデンズ・コー)ならではの実感が・・・切なく胸を打つ。》
高校時代の級友(女子)の結婚式。その女子が、「元カレ」だった男子を披露宴に招待しますかね。そして、「元カノ」が「元カレ」へ「あの頃のように、いつまでも幼稚で居てね」・・・って。ラストシーンにも、日・台の青春観、結婚観の微妙な違いが反映していたみたいです。
4. Posted by にゃむばなな   2013年10月06日 10:00
南平岸さんへ

いろいろと思うところのある映画でしたね。
この長文に見合うお返事を書こうとすると、こちらも長文になってしまうので、この一言で済まさせていただきます。
ごめんなさい。
5. Posted by ふじき78   2014年02月17日 18:36
こんちは。やっと観たので遅レスです。

青春が、む、むず痒い。

旦那さんが「チアイーを抱きたければ〜」と言わなくて本当によかった。
6. Posted by にゃむばなな   2014年02月18日 17:40
ふじき78さんへ

ほんと、むず痒い。これぞ台湾の青春映画ですよね。
私もこういう青春時代を送りたかった〜!
7. Posted by latifa   2014年07月09日 11:20
にゃむばななさん、こんにちは!

>友達以上恋人未満の、微妙だけど改めて思い起こせば学生時代はこの関係が一番幸せに感じて

言えてますなぁ。そうかもしれません!

花婿にブチュー!は、私も少々やり過ぎかな?と思いましたが、彼の彼女への思いの深さということで・・・。
8. Posted by にゃむばなな   2014年07月11日 18:26
latifaさんへ

友達以上恋人未満。腹八分目ではないですが、完全に満たされない。それが一番心地良い状態なのかも知れませんね。

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