2014年03月22日

『ウォルト・ディズニーの約束』

ウォルト・ディズニーの約束ウォルト・ディズニーなくして『メリー・ポピンズ』はあらず。
ミュージカル映画の傑作として語り継がれる『メリー・ポピンズ』の映画化交渉の舞台裏を描いたこの作品。ウォルト・ディズニーの温かく豊かな人間味と原作者パメラ・L・トラヴァースの屈折ぶりが織り成す人間ドラマはいいものの、個人的にはどうしても原作者の人間性が好きになれない映画でした。

娘が好きな原作を映画化したいと20年以上もラブコールを送り続けていたウォルト・ディズニー。対して原作を頑なに守ろうとあれこれと注文を送り続けてくるパメラ・L・トラヴァース。

この製作側と原作者の映画化交渉を描きつつも、なぜにトラヴァースが意地悪ガミガミおばさんのようになったのかを彼女の幼きオーストラリア時代を描くことで徐々に明かしていく展開はいいのですが、ただアメリカ行きの飛行機内でバッグの収納スペースを空けてくれた赤ん坊を抱いた母親に対し、感謝の言葉どころか嫌みしか言わない姿がどうしても好きになれないんですよね。

別に脚本内容にあれこれ注文をつける姿は気にならないのです。あれはクリエイターとしてイギリス文化とアメリカ文化の違いを「通り17番地」と「通り17」という部分などで明確に示すという、脚本では明文化出来ない作品の雰囲気を守るための注文ですから。
まぁ製作側とのコミュニケーション不足は多少目立ちますが、逆に製作側の勉強不足も目立ってましたからね。

ただホテルのバーカウンターで紅茶を出してくれたバーテンダーに話しかけようとしたらタイミングを逃して寂しそうにするなど、ええ歳こいたおばさんが全然自分自身を見つめ直してないのはいただけませんなぁ〜と思えてしまうのです。それもこれもやはりあの飛行機内での嫌みが頭の片隅に残ってしまっているからでしょう。

結局彼女は大好きだった父親への愛と、自分を残して病死してしまったことへの寂しさ、そして2ペンスで買ってきた梨を渡せなかった罪悪感で苦しんだ結果、自ら書きあげた「メリー・ポピンズ」という非現実世界に逃げ込んだだけだと思うのです。なんだかんだ現実を分かっているようなことを言っていますが、彼女の本心は非現実世界から出たがらないだけなのでしょう。

そのことを理解したウォルト・ディズニーがわざわざロンドンまで出向き、自分自身の父親に対する愛憎を全て語ることで原作者の心までを救うくだりは良かったのですが、まぁ考えてみれば非現実世界をディズニーランドとして実現させたウォルト・ディズニーの方が原作者よりも現実を分かっていたというのは皮肉以外の何物でもありませんでしたね。

てな訳でクリエイターとしても人間としてもパメラ・L・トラヴァースよりウォルト・ディズニーの方が上という印象が強く残ってしまったこの作品。
少年の心を持ったトム・ハンクスと古風な知的雰囲気を持ったエマ・トンプソンの演技も良かったのですが、この2人よりも運転手ラルフ役のポール・ジアマッティを始め、B・J・ノヴァク、ジェイソン・シュワルツマン、ブラッドリー・ウィットフォードなどディズニー社員側の俳優陣が凄くステキな映画でした。

深夜らじお@の映画館も現実世界で落ち着かないとダメやなと思い始めてます。

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この記事へのコメント

1. Posted by BROOK   2014年03月22日 15:52
トラヴァース夫人の気難しさが前面に押し出されていました。
思わず笑ってしまうようなエピソードも♪
エンドロールには実際の声も聞けますが、
映画化に向けて、スタッフはかなり苦労されたんでしょうね…。
2. Posted by オリーブリー   2014年03月24日 13:28
気難しい人でしたね(爆)
でも何となく憎めなかったです。
エマだからかな(笑)

父娘の関係がメインでしたけど、その後、女4人がどう暮らしたのか、ちょっと気になります。
3. Posted by にゃむばなな   2014年03月24日 15:29
BROOKさんへ

気難しい人って本当に面倒ですわ。仕事柄、営業をやってますもんで、余計にそう思えるのかも。
もう少し周囲に対する感謝の心を持ってこその大人。
そういう人が相手だと営業という仕事も楽なんですけどね。
4. Posted by にゃむばなな   2014年03月24日 16:07
オリーブリーさんへ

そうそう、トラヴァースの作家として成功するまでの時間がすっぽり空いているのは、ちょっと気になりましたね。
でもその間も悩んでいたのでしょう。その長い悩みを2週間で解決に導くウォルト・ディズニーは素直に凄いと思いましたよ。
5. Posted by きさ   2014年03月28日 05:35
なかなか良かったです。
エマ・トンプソンとトム・ハンクスが良かったです。
トラヴァース夫人の強烈なキャラクターをエマ・トンプソンが熱演しています。
実際には本人はこの映画よりももっと強烈なキャラクターだったみたいですね。
コリン・ファレルがトラヴァース夫人の父親役を好演。
ポール・ジアマッティ演じる運転手役も良かった。
ちなみにトラヴァース夫人は96年に96歳で死去しています。
ちょっと年下のディズニーよりはるかに長生きしました。
6. Posted by にゃむばなな   2014年03月30日 16:23
きささんへ

そうなんですか、ウォルト・ディズニーに対してトラヴァース夫人の長生きなこと。
もし彼女が御存命中にこの映画が完成していたら、どうなっていたのでしょうね。
7. Posted by きさ   2014年04月01日 23:19
存命なら、この映画出来なかったかも。
8. Posted by にゃむばなな   2014年04月03日 00:00
きささんへ

それもそうですね。
9. Posted by ジョニーA   2014年04月06日 02:40
ところどころで、ウォルトを演じたトム・ハンクスが、
TKO木下演じるインチキ・オペラ歌手に見えて可笑し
かったッスわぁーーww
10. Posted by にゃむばなな   2014年04月06日 10:52
ジョニーAさんへ

おぉ〜、ここでTKO木下さんを出してくるあたりがさすがですね。
これからはトム・ハンクスをまともに見ることが出来なくなるかもですよ。
11. Posted by q  原作者パメラからの手紙   2014年04月08日 21:23
はろー!にゃむさん☆

わたくし、原作者パメラですのよ
ご覧になられた事、嬉しいわ
まぁ。ワタクシの「ポピンズ」の話
ウォルトとワタクシの事
ご覧になったのね
ふふふふ。相当に偏屈ババァと思われたでしょうね
そうですね。えぇウォルトは0私を理解しておりました
ふふふ。ウォルトにディズニー・ランドの御案内は素晴らし過ぎ
実はワタクシ・・・とても嬉しかったわ
なのにあの態度。
ワタクシのプライドでしたわね。
そして
運転手の彼の「心」も大変に愛しく思いましてよ
ウォルトの案内。ワタクシにだけのエスコート
当時のディズニー・ランドは如何??
ねぇにゃむさん☆ 
「叔母の鞄」
わたくたちの「メリー・ポピンズ」
 それはとても深き愛の思いなのですわ
12. Posted by にゃむばなな   2014年04月08日 23:04
qさんへ

ごめんなさい。
私、パメラさんとは仲良くなれないですわ。
だって「そんなプライドがナンボのもんじゃい!」って思ってしまいますので。
13. Posted by YUKKO   2014年04月13日 22:28
面白いけど、トラヴァース夫人はダメです。この偏屈ぶりだけで、頭が痛くなりました。この人を説得したウォルトは凄いです。いくら父親を愛していたとはいえ、屈折しすぎです。なんだかモンスターペアレンツに見えて時々怖くなりました。
14. Posted by にゃむばなな   2014年04月14日 10:12
YUKKOさんへ

そのご意見、全く同意です。
自分の作品に対する想い、父親に対する想いがどうであれ、それで他人をあそこまで否定する権利など誰にもないはず。
特に飛行機内での女性に対する蔑視は人間的にはダメダメですね。

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