2014年07月04日

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

オール・ユー・ニード・イズ・キル良くも悪くもライトノベル原作。独特の世界観とキャラクターは面白いが、伏線のない物語は何も印象に残らない。
桜坂洋先生の原作をハリウッドが実写映画化したことで大いに話題になっているこの作品。日本映画界では作れないハリウッドならではの映像は面白いものの、見終わった後の満足度は決して高くない作品でした。

歴代トム・クルーズ作品の中でも群を抜いてヘタレ男でもあるこの作品の主人公ウィリアム・ケイジ少佐。宣伝担当で実戦経験なし。態度はデカいが安全装置の解除方法は全く知らない。しかし悪運だけは強いのでアルファという敵の返り血を浴びたことで生き返りのループ能力をゲット。後はRPGのように何度も死んではそこまでに至る経験値をゲットすることの繰り返しで次々とステージをクリアしていく。で、その後に何かあるかというと何もない。本当にただこれだけの映画。

途中で同じくループ経験を持つ“戦場の女神”という異名を持つリタ・ヴラタスキがケイジを鍛え上げる以外に何か活躍をするかというと何もない。恋人が死ぬところを300回も見たという話も全く伏線にならない。
また終盤で活躍の場を与えられたJ分隊も何かやってくれるだろうと思わせておきながら、結局捨て駒扱いで出番終了という酷さ。

さらに前線基地に送られたところから何度も始まるというループも、全てが全て同じく現象を描こうとはしないので、途中からはループシーンが完全にダイジェスト化してしまっているのも少々残念なところ。
もちろん毎度毎度同じことを描かれてはエンドレスエイトになってしまうのでダイジェスト化は映画を見易くするためには必要行為なのですが、ただそれが勢い重視になってしまうと作品としての薄っぺらさに繋がってしまうのも事実。
ですからこの作品に関しては中盤から戦争がゲームのように思えてしまうほど、作品としての軽さが目立ってしまっているのです。それでは「人類殲滅」というフレーズにも重みがなくなってしまう。

結局これがライトノベル作品の良し悪しというもの。伏線もない、重みもないストーリーだからこそ読み易い。けれどそんな軽い物語では成立しない作品を独特の世界観と何だか応援したくなるキャラクターで魅せ切る。

ただそれをそのまま実写映画化するのはハリウッドとしてどうなの?と思ってしまうのも映画ファンとしての正直なところ。
リタと恋人になるという安易な展開はないものの、逆にリタがケイジの導き役以外での活躍、特に“戦場の女神”の割には戦闘面での活躍がないのは残念。
やはりハリウッドなら作品として不完全であるライトノベルをどうアレンジするかが腕の見せ所。原作リスペクトもいいですが、映画としてどう面白く「進化」させるか。それがなかったのは映画ファンとしては物足りなく感じましたね。

てな訳で日本のライトノベルを映画化していく波は大いに結構と思える一方で、日本のライトノベルとハリウッドの映画化という化学変化はもっと魅力的であって欲しいと思える映画でした。

深夜らじお@の映画館はラストシーンで笑顔のトム・クルーズが見せる白い歯が一番印象に残ってしまいました。

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この記事へのコメント

1. Posted by BROOK   2014年07月05日 06:02
いかにも日本のライトノベルが原作といった世界観と設定でしたが、
最後まで勢いがあり、楽しめました♪

アクションがふんだんだったのも良かったと思います。
2. Posted by qうほほん   2014年07月05日 10:17
原作は未読(気にならず)
伏線がアリかと思ってたら
無いので・・・単調さはアリだったけど
やっぱトムちんの作品だってな〜
「2日前の宿舎で生き返る」 ≒Edge of Tomorrow
コーヒーを出すところあたりとか
上手いなぁ〜
原作云々は別にしても
こういう題材がまた楽しめたよ〜
3. Posted by にゃむばなな   2014年07月05日 15:30
BROOKさんへ

アクションが多めなのはいいのですが、いかんせん物語が薄っぺらい。
ほんまに戦って終わりというのは淋しすぎますよ。
4. Posted by にゃむばなな   2014年07月05日 15:33
qさんへ

これでハリウッドが多少は原作をアレンジしてくれるといいんですけどね。
物語が単調な原作ならアレンジもアリでしょう!
5. Posted by えふ   2014年07月05日 17:10
何度もループして進化していく過程を楽しめないと、
ちょっときつい内容ですかね。
そうおもったけど、
自分はけっこう楽しめました。
トムがそうそう何度も殺されるなんてめったに見れませんしね(苦笑
6. Posted by メビウス   2014年07月06日 20:33
にゃむばななさんこんばんわ♪

日本の小説が原作と聞いてはいたのですが、ライトノベルだったというのは初耳でした。という事はもしかして本作がライトノベル初のハリウッド作品・・って事なんでしょうかね?^^;
・・でもそう踏まえると、どこか軽かったり疑問がチラホラ浮かんだのも得心かも(なんでオメガがあんな所にいたんだろ〜?とか)。

でも『何度もループ』と言うのがゲームでいう『コンティニュー』みたいな雰囲気もあって、ゲームが好きな自分としてはそういう部分は楽しめた感じはしましたw
7. Posted by にゃむばなな   2014年07月06日 23:10
えふさんへ

何度もループというのは面白いのですが、ただ本当に同じことの繰り返しだけでしたからね。
もう少し何かせえよ!って思っちゃいましたよ。
8. Posted by にゃむばなな   2014年07月06日 23:14
メビウスさんへ

恐らくライトノベルでは初でしょうね。
あとはいっそのこと、こういう世界観の作品をハナからゲームとして見せると、作品としてはもっと面白くなるかも知れませんね。
変に戦争を挟んだからこそ軽さが目立ったのかも。
9. Posted by オリーブリー   2014年07月07日 01:08
ゲーム感覚なリセットや、へタレなトムが斬新で面白かったですが、手を変え品を変えでも、繰り返しはダルくなったし、戦闘ばかりなので、いささか疲れてしまいました。
エミリーがカッコ良かった!
10. Posted by にゃむばなな   2014年07月07日 15:53
オリーブリーさんへ

結局は同じことの繰り返しだけでしたからね。
ちょっとでも変えてくてるともっと面白味があったんですけどね。

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