2014年07月21日

『思い出のマーニー』

思い出のマーニー宮崎駿を意識していないがゆえに、中途半端で個性に欠ける。
宮崎駿・鈴木敏夫というスタジオジブリを支えた2本柱が引退して初めての作品となるこの映画。米林昌宏監督と西村義明プロデューサーがどのような方向に進もうとしているのかを探るためにも見てきましたが、全く方向性が定まっておらず、ゆえに全てにおいて中途半端な印象だけが残る映画でした。

良くも悪くも宮崎駿という巨大な存在に左右されてきたスタジオジブリ。マイペースな高畑勲監督はさておき、実力派の近藤善文監督や細田守監督、奥の手・宮崎吾朗監督まで様々な才能を引っ張り出しては御大一人に頼らぬ映画会社を作り上げてきた鈴木敏夫プロデューサー。
その歴史はいわば「宮崎駿を意識してきたがゆえの歴史」でもあると思うのです。

そんな鈴木Pの作りあげてきた歴史に対し、次世代を託された米林監督と西村Pはどんなアプローチを見せてくれるのかと楽しみにしていたのですが、残念ながらこの映画には「ジブリから宮崎先生のイメージを打ち消すぞ!」や「宮崎先生に対して俺らはこういう作風で挑む!」といった宮崎駿を意識した強い想いや個性がほとんど感じらず、逆に「宮崎先生に憧れてます」という中途半端な想いしかなかったように感じられました。

つまり米林監督と西村Pには宮崎監督や高畑監督のような職人魂もなければ、吾朗監督のような親父越えという使命感もない。なのに「宮崎先生は宮崎先生、俺らは俺らです」といった個性もない。
だからこそ、原作ありきとはいえ、どのように見せるかという演出や脚本の作り込みも浅はか。マーニーの正体が杏奈のお婆さんというオチも早々にしてバレるどころか、その感動を最後まで持続させることも出来ていない。

恐らく米林監督も西村Pも凄く純粋な方なのだと思います。それはこの作品に漂う、まるで北海道の澄んだ水の如く、冷たく透明感のある雰囲気からも理解出来ます。

ただこの2人は杏奈と同じく金髪お嬢様のマーニーに憧れているだけ。杏奈と同じく自分は何をしたいのかをハッキリとさせていないだけ。憧れの対象の外側だけを見て中身をまだきちんと考察出来ていないだけ。
その結果、この作品には「対宮崎駿」というジブリならではの色が全くないのです。

良くも悪くも宮崎大先生を意識することで数々の名作を作り上げてきたスタジオジブリ。
別に米林監督や西村Pに宮崎監督や鈴木Pの真似をしてほしいとは全く思いませんが、ただスタジオジブリという看板を背負う以上、いかにして「宮崎駿・鈴木敏夫」という色を自分たちの色に変えていくかは示して欲しいと思うのがファンの心理。

『コクリコ坂から』と同様にファンタジー路線から等身大路線への変更は大変心地良いものの、杏奈もマーニーもどちらも宮崎親子が好きなタイプの女の子ではないどころか、米林監督もどちらもさほどタイプではないだろうという、ヒロインへの強い下心もあまり感じられなかったこの作品。
せめて「宮崎先生とは女の子の趣味が違いますねん」という米林昌宏流のヒロイン道が描かれていれば、映画の雰囲気ももっと違っていたでしょう。

深夜らじお@の映画館が以前聞いた格言:ストーリーは上半身の筆で、ヒロインは下半身の筆で書く(描く)もんや!

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この記事へのコメント

1. Posted by BROOK   2014年07月21日 19:56
「アリエッティ」の時は米林監督もなかなかやりますな…と思っていたのですが、
今作はう〜ん…となってしまいました。

個人的にはジブリの原点回帰として、
壮大なファンタジー作品が観たいところです。
2. Posted by にゃむばなな   2014年07月21日 23:18
BROOKさんへ

壮大なファンタジーはもう作らないでしょう。それは『コクリコ坂から』の時で判明したようなものでしたから。
でもどのような路線を歩もうが、宮崎大先生を意識せずに作ってはジブリの意味がありませんよね。
3. Posted by kajio   2014年07月29日 00:42
ジブリにとっては間違いなくターニングポイントになる作品なのに、

あちこちの設定をいじらないと映像化が困難な原作を敢えてチョイスしなくてもよかったのに…

とは見終わって数日経って思いましたが、

香川県の出身の関係者の方が、この原作をジブリの方に非常に熱心にプッシュ続けたのも ひとつのキッカケだったらしい、

という話を先日聞いたので厳しい事を言いにくくなってしまいました(苦笑)

4. Posted by にゃむばなな   2014年07月31日 17:12
kajioさんへ

難儀なことですね〜(笑)
でもまぁターニングポイントになるのは間違いないでしょうね。
ただ現在のジブリの真打ちはやはり吾朗監督でしょうから、彼の新作がどうなるか。
それが楽しみですね。
5. Posted by FREE TIME   2014年08月01日 00:51
こんばんは。
脱宮崎駿路線が却って宮崎氏の存在を感じてしまいましたね。
ストーリーは透明感があって幻想的で良かったと思うのですが(^^;)
6. Posted by にゃむばなな   2014年08月01日 23:20
FREE TIMEさんへ

やっぱり宮崎駿氏の存在は無視できないのがジブリの宿命なんでしょうね。
さてそうとなると吾郎監督はどんな作品を作ってくるのかも楽しみですね。
7. Posted by みすず   2014年08月07日 21:39
こんばんはー^^

面白くないことはなかったんだけど、なんだかなぁって感じの映画でした。
中盤に正体がわかるような台詞入れて、一体なに?って思ってしまいましたもの・・・
8. Posted by にゃむばなな   2014年08月09日 11:18
みすずさんへ

宮崎大先生への意識の足りなさが映画の物足りなさに直結してしまいましたね。
何とももったいない映画でした。
9. Posted by    2015年10月27日 20:07
何か、ジブリ映画の屋台骨となる、大きなテーマはあっても、その実行となる物語を展開する凄みに欠けた感がありました。

それにしても、現実味のある田舎町の生活感たっぷりの物語に、パラレルワールド的な要素、つまり、マーニーという霊魂を絡ませたのは、果たして、上手く行ったのか、という疑問は残りました。
10. Posted by にゃむばなな   2015年10月30日 23:50
隆さんへ

確かにこれは本当に微妙なラインで立ち止まってしまったような作品でしたね。
やはり造り手に確固たる思いがなかったのが要因かも。
そう考えると、やはり宮崎監督は凄い存在ですよね。
11. Posted by ジョニーA   2016年02月29日 03:24
アカデミー賞ノミネートということでやっと観ました。
やはり宮崎パヤオの呪縛から逃れられませんでしたかね。
パヤオからすれば、「こんな作品ごときでノミネートされるなんて
10年早いわっ!」とか思ってそう。アカデミー会員たちに、投票し
ないように裏工作してんちゃうか?とさえ思ってまいますーw
12. Posted by にゃむばなな   2016年02月29日 09:21
ジョニーAさんへ

御大からすれば、そんな裏工作もするレベルではないわ!と思っているかも知れませんね。
でも個人的には裏工作とかしてくれたら、それはそれで楽しいんですけど。
ともあれ、この内容でオスカーはないと私も思いますよ。

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