2014年10月22日

『グレート・ビューティー 追憶のローマ』

グレート・ビューティーニヒリズムのイタリアン・ダンディ。
これはフェデリコ・フェリーニ作品が好きでない方にはオススメできない映画です。第86回アカデミー外国語映画賞受賞作品という触れ込みだけで見るにはハードルが高すぎる映画です。
予備知識なしで見ると理解し難い作品でもあると思いますが、ただ男性としてはどこか自分の将来を見ているような作品でもありました。

40年前に絶賛された小説「人間装置」で一生遊んで暮らせるほどの財を築いたジェップが夜な夜なセレブが集まるパーティやクラブで享楽の時間を過ごす姿。咥えタバコに乱さぬ髪型、そして妥協を許さないファッションセンスは生粋のイタリアン・ダンディであるものの、決して満足することのない虚無感が彼に本当の笑顔を作らせない。

そんな金にも女にも困らないのに満たされない男性像はどこか全ての男性が歳を重ねた末に辿り着く姿にも見えてしまうんですよね。
もちろん金にも女にも困らないほど成功する方は一握りだけですが、ただ成功しなくても金にも女にも困らない生活を送っているのが普通に家庭を持った男性でもあると思うんですよね。
だからこそ仕事を辞めて目標を失った時、しかも運悪く同時期に初恋の女性の訃報でも聞けば、果たして世の男性はジェップと同じように人生を見つめ直せるかというと、それはとても難しいことだと思うのです。

特にその大きな要因として挙げられるのは、やはりローマという世界屈指の悠久の歴史を持つ古都に住んでいるかどうかということ。
考えてみればローマという街は古都でありながら、古代史以降は世界の中心になることのなかった、まさにジェップと同じ「昔の一時期にだけ輝いていた存在」。
観光都市としては有名であれど、オリンピックや国際映画祭の開催、様々な作品の舞台以外で歴史的に目立つことのない街でありながら、その悠久の歴史を刻んできた街並みはパリやロンドン、京都といった先進国の古都と同様に住む者に様々な影響を与える街。

虚無主義というニヒリズムなんてことも、東京やニューヨークに住んでいては考える機会すらないでしょうが、ローマや京都ならそんな哲学の世界に浸ることも出来るもの。
つまり歴史の深い街には人に人生を見つめ直させるだけの懐の深さもある。だからこそ古都に住む老紳士は、初恋の女性を忘れられない女々しさと賢者タイムに浸りたがる男性ならではの精神活動と相俟って、やがて「ダンディ」という最終形態に辿り着くのだと思うのです。

乱痴気騒ぎをしても、大切に想う女性なら例え下着一枚姿でも手を出さない。遊ぶ時は遊び、守る時は守る。緩めるところは緩め、締めるところは締める。一貫性がないようで実は状況に応じて対応していく男の余裕を持たなければ貫けない、それがダンディズム。

同じ60代を過ごすなら、こんなイタリアン・ダンディを見習いたい。男性としては心からそう思える作品でした。

深夜らじお@の映画館はイタリアン・ダンディに憧れますが、日本人なのでジャパニーズ・ダンディを目指します。

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acideigakan at 23:54│Comments(0)clip!映画レビュー【か行】 

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