2014年11月06日

『マダム・マロリーと魔法のスパイス』

マダム・マロリーと魔法のスパイス革新とは交流なり。衰退とは対決なり。
頑固支配人のヘレン・ミレンと頑固パパのオム・プリの対決から交流までがとにかく心地よく素晴らしい!ハッサンとマルグリットの本来なら主軸になるはずの若い2人の恋物語が邪魔になるほど素晴らしい!
ただどの料理も全然おいしそうに見えなかったのが残念でした。

大臣も通うほどの伝統を重んじるミシュラン一つ星フレンチレストランの前に出来たのは、大音量でワイワイ騒ぎながら食事を楽しむことを重んじるインド料理のレストラン。
本来ならジャンルの違う店同士争う必要もないのに、これが歴史あるフランス人とインド人のプライドのなせる業なのか、とにかく意地を張り合うこと。

でも意地を張り合っているのは格式を重んじるばかりに石頭になった頑固者支配人マダム・マロリーと、フランスでもインド流を曲げない頑固者パパの2人だけ。互いに必要な食材を市場で買い漁って邪魔をしたり、何かと敵視したりと、まぁあれでは子供たちや若手スタッフたちも呆れるのも当たり前。

ところが絶対的味覚を持つ次男坊ハッサンの腕前をマダム・マロリーが知ったことと同時期にフレンチレストラン従業員によるインドレストラン放火騒動が起きたことから、壁の落書きを消したり、傘を差し出したりと互いに交流が始まると、徐々に仲良くなっていくマダムとパパのやりとりも実に面白いこと。

ただその一方で料理の天才でもあるハッサンとシェフを目指すマグリットの若き男女の交流にあまり魅力もフレッシュさもなかったのが残念なところ。
しかもインド風味をフランス料理に取り入れることでマダムのレストランがミシュラン二つ星獲得に成功したを皮切りに、ハッサンが様々な名店でフランス料理にインドのスパイスを取り入れて新しい料理を完成させたといっても、あまり実感がないんですよね。

恐らくそれは日本料理自体が日々様々な海外料理の要素を取り入れては進化しているのを日本人として当たり前のように間近で見聞きしているからだと思うのです。
フランス料理やインド料理にとっては異文化との交流が革新に繋がる大事件であっても、「和食界の異端児」とまで呼ばれた鉄人・道場六三郎さんの雄姿を「料理の鉄人」で見てきた世代にとっては大事件でもなんでもない、ただの日常茶飯事。

さらにその異文化との交流で革新した新たなフランス料理も特別おいしそうに見えなかったので、余計にハッサンとマルグリットの関係にも、そして肝心の料理にもインパクトが感じることが出来なかったんですよね。

ですから結局のところ、この映画の面白味はやはりマダムとパパの交流のみ。ミシュラン二つ星獲得の電話を切ったマダムの隣で祝宴前に開けたシャンパンを戻そうかと言い出すパパに笑ったり、パパに直接お手製の一品を「あ〜ん」するマダムに恋する乙女の姿を感じたりと、このくっつきそうでくっつくのかどうか分からない男女を見る方がはるかに面白いこと。
本来ならこの男女の魅力は若いハッサンとマルグリットで見せるべきなんですけどね…。

てな訳で本編を見ずにつけたのか?と思えるほどセンスのない邦題に少々淋しさを覚えつつも、ラッセ・ハルストレム監督もミラマックスが本気でオスカーを獲りに行って見事に失敗した『シッピング・ニュース』以降、アカデミーの常連になれていないことにもどこか淋しさを覚えてしまう映画でもありました。

深夜らじお@の映画館は20世紀に撮られたラッセ・ハルストレム作品が好きです。

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この記事へのコメント

1. Posted by オリーブリー   2014年11月07日 20:12
そうなんですか?
食いしん坊の私は、どれも美味しそうでした(笑)
特にあのオムレツ、作っている時からもう間違いなさそうで、ヘレンの後姿、背筋が伸びた時、あー食べたいーと思いましたよ(笑)
2. Posted by にゃむばなな   2014年11月09日 15:29
オリーブリーさんへ

普段の食事風景の差がこの映画の感想の差にも表れそうですね。
私はああいう高級料理に縁がないだけに、そう見えてしまったのかも。
牛丼や鯖の味噌煮に幸せを感じてしまう男なので…。
3. Posted by ジョニーA   2014年11月12日 04:10
終盤の、パリの二つ星レストランに引き抜か
れてからのストーリーにあまり魅力を感じま
せんでしたねー。あれなら、マルグリットの
家を訪れた時に、「やっぱり僕はこの街で三
つ星を狙うよ!」とか言って、踏みとどまる
方が良かった。放火で途中退場させられたあ
のシェフの兄ちゃんが果たし状を叩き付けに
来て、最後は魂の料理対決〜〜!みたいな日
本のグルメアニメのような展開まで期待して
しまったので、そこんとこはやや期待はずれ
・尻すぼみ感が強かったですねー
4. Posted by にゃむばなな   2014年11月16日 23:24
ジョニーAさんへ

そうそう、パリで修行するくらいなら、マルグリットと共にマダムの店を三ツ星にせんかい!って思いましたよ。
何だか無駄にも思える遠回りって感じでしたね。

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