2014年11月19日

『天才スピヴェット』

天才スピヴェットモンタナのレオナルド・ダ・ヴィンチ、ベアード賞授賞式出席のため旅に出る!
これは天才子役カイル・キャトレットくんの繊細にして表情豊かな演技とジャン=ピエール・ジュネ監督の優しさが詰まった心が温かくなる映画です。
フランスに出戻りして14年、あの忌まわしき『エイリアン4』の呪縛も無事に解けた模様です。

ハリウッドシステムに嫌気が差した反動で作り上げた『アメリ』の少年版ともいえるこの作品ですが、まず何よりも素晴らしいのは生まれる時代が100年遅かったカウボーイな父親、虫を愛しすぎる昆虫博士の母親、ミス・モンタナを目指す姉、心優しき愛犬タピオカに囲まれながらも、銃の暴発により亡くなった双子の弟レイトンの死にトラウマを抱えたまま、次々と天才的発明をするT.S.スピヴェットを見事に演じたカイル・キャトレットくんの魅力でしょう。

家族の愛を求めながらも、父親に最も愛された亡き弟のことを考えると自分が生きていることに引け目さえ感じてしまう。でも発明界の最高賞でもあるベアード賞を受賞出来るとあれば、何としてでも授賞式に参加したい。
そんな生と死を常に感じながらも、子供らしい空想と大人顔負けの発想を持ち合わせたスピヴェットをここまで見事に演じ切る姿を見ると、もうモンタナからワシントンD.C.までの単身大陸横断という冒険を始めとする彼の一挙手一投足全てを応援したくなるんですよね。

本当に小さな身体で大きなバッグを抱え、警察や警備員に追いかけられながらも大陸横断鉄道に乗り込んでは博識なホームレスや気前のいいトラック野郎に助けられながら、スミソニアン協会のあるワシントンD.C.を目指す。
時に開く水門を飛び渡ろうとして脇腹を痛めようが、まだ10歳なのに泣き言一つ言わずに授賞式に挑む。
でも授賞式のスピーチで明かされる亡き弟レイトンの死の真相を知ると、この10歳の少年がその小さな身体でどれだけの無理と我慢をしてきたかを思うと、もう彼が脇腹を痛めていることも忘れて抱きしめたくなってしまうんですよね。

だからこそ、あのインタビュー番組での母親との再会からのくだりは涙なくしては見れないこと。
子供が目の前から消えて冷静でいられる親なんて一人もいない。それは裏返すと親にとって邪魔だと思える子供も一人としていないということ。

そんな海より深い母の愛がジブセン次長へのビンタで、山よりも高い父の愛が不倫司会者へのグーパンチで表現されると、父親の背中に乗りカウボーイハットを被るスピヴェットくんの笑顔が温かい涙を否応なしに誘ってくれるんですよ。

トースターの生まれ変わりとして新たな命を迎えるスピヴェット家の自慢の息子であり、世紀の天才発明家T.S.スピヴェットがベアード賞の副賞として手に入れたもの。それが何にも代え難い家族愛である。
そんな温かい作品をアメリカを舞台に作り上げたジャン=ピエール・ジュネ監督も、スピヴェットくん同様に、ハリウッド進出という忌まわしき過去のトラウマを克服されたのでしょう。

深夜らじお@の映画館はホタルを捕まえようとするタピオカも可愛くて仕方ありませんでした。

※お知らせとお願い
【元町映画館】に行こう!

この記事へのトラックバック

1. 「天才スピヴェット」:見事な3D、至福の映像  [ 大江戸時夫の東京温度 ]   2014年11月20日 13:24
映画『天才スピヴェット』は、「この映画が好きだあ!」と叫びたくなるような秀作。『
2. 「天才スピベット」☆不器用な愛  [ ノルウェー暮らし・イン・原宿 ]   2014年11月20日 13:40
天才だけど、甘え方と泣き方だけがわからないスピベット。 予告編で泣けて、本編でも泣いて、思い出してまた泣ける、観ているこっちはずっと泣くよぉー あざとい盛り上げ方で泣かせない分、心に温かく湧き上がる愛が、目から涙となって溢れる作品。
3. 【天才スピヴェット】強い抱擁禁止!  [ ジョニー暴れん坊デップの部屋 ]   2014年11月21日 05:50
{{{[]}}} {{{: }}} ● [[embed()]] {{{[]}}} → 『』 {{{[]}}} → 『』 ● [[embed()]] {{{[]}}} → 『』 {{{[]}}} → 『』 {{{[
4. 映画・天才スピヴェット  [ 読書と映画とガーデニング ]   2014年11月21日 08:37
原題 The Young and Prodigious T.S. Spivet2013年 フランス、カナダ合作 アメリカ西部、モンタナ州の田舎に暮らすT.S.スピヴェット(カイル・キャトレット)、10歳理科系科目は大の得意しかし、10歳のレベルをはるかに超えており学校の先生やクラスメートからは...
5. 天才スピヴェット  [ 風情♪の不安多事な冒険 Part.5 ]   2014年11月21日 11:12
 フランス&カナダ  アドベンチャー&ドラマ  監督:ジャン=ピエール・ジュネ  出演:カラム・キース・レニー      ヘレナ・ボナム=カーター      ニーアム・ウ ...
6. 天才スピヴェット (3D字幕)  [ ★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★ ]   2014年11月21日 12:46
【THE YOUNG AND PRODIGIOUS T.S. SPIVET/L'EXTRAVAGANT VOYAGE DU JEUNE ET PRODIGIEUX T.S. SPIVET】2014/11/15公開 フランス/カナダ 105分監督:ジャン=ピエール・ジュネ出演:カイル・キャトレット、ヘレナ・ボナム=カーター、ジュディ・デイヴィス、カラム・...
7. 天才スピヴェット  [ 映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜 ]   2014年11月23日 01:36
評価:★★★★【4点】(F) 風変わりな家族だってとても温かいんです。
8. 天才スピヴェット  [ 象のロケット ]   2014年11月23日 12:47
10歳の天才少年科学者スピヴェットは、カウボーイの父と昆虫学者の母、アイドルを夢見る姉と共に、モンタナの牧場で暮らしている。 弟レイトンの突然の死で、家族の心はバラバラになっていた。 そんな中、スピヴェットに、スミソニアン学術協会から、最も優れた発明に贈ら
監督:ジャン=ピエール・ジュネ出演:カイル・キャトレット、ヘレナ・ボナム=カーター、ジュディ・デイヴィス、カラム・キース・レニー、ニーアム・ウィルソン、ジェイコブ・デイヴィーズ、ドミニク・ピノン12歳の天才発明家、T. S. スピヴェットの冒険が始まる天才少年...
10. 天才スピヴェット (3D字幕)  [ ★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★ ]   2014年11月24日 23:01
【THE YOUNG AND PRODIGIOUS T.S. SPIVET/L'EXTRAVAGANT VOYAGE DU JEUNE ET PRODIGIEUX T.S. SPIVET】2014/11/15公開 フランス/カナダ 105分監督:ジャン=ピエール・ジュネ出演:カイル・キャトレット、ヘレナ・ボナム=カーター、ジュディ・デイヴィス、カラム・...
11. 『天才スピヴェット』  [ 京の昼寝〜♪ ]   2014年11月26日 17:29
□作品オフィシャルサイト 「天才スピヴェット」 □監督 ジャン=ピエール・ジュネ□脚本 ジャン=ピエール・ジュネ、ギョーム・ローラン□原作 ライフ・ラーセン□キャスト カイル・キャトレット、ヘレナ・ボナム・カーター       ジュディ・デイビス、カラ
12. 天才スピヴェット  [ だらだら無気力ブログ! ]   2014年11月27日 00:37
姉役の娘、時おりクロエ・グレース・モレッツに見える。
13. 天才スピヴェット/あの親にしてこの子あり  [ MOVIE BOYS ]   2014年12月01日 19:54
『アメリ』や『ミックマック』のジャン=ピエール・ジュネ監督がライフ・ラーセンの小説を実写映画化。わずか10才の天才少年スピヴェットが権威ある学術賞・ベアード賞を受賞したことから、授賞式会場にたった独り旅立つ…。主人公スピヴェットを演じるのは本作で長編映画デビ
14. 小さな放浪の科学者〜『天才スピヴェット』 【2D・字幕版】  [ 真紅のthinkingdays ]   2014年12月08日 07:45
 THE YOUNG AND PRODIGIOUS  T.S. SPIVET  L'EXTRAVAGANT VOYAGE DU JEUNE  ET PRODIGIEUX T.S. SPIVET  モンタナ州の分水嶺近く、広大な牧場に家族と暮らす10歳のT・S・スピヴェ ット(カイル・キャトレット)は、科学が大好きな天才少年。
15. 天才スピヴェット  [ とりあえず、コメントです ]   2014年12月21日 14:55
ライフ・ラーセン著『T・S・スピヴェット君傑作集』を『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督が映画化した作品です。 予告編を観て、小さな少年がどんな冒険をするのだろうと気になっていました。 心に傷を負った少年が自分と家族を変えるために始めた大冒険は、家族の
16. 天才スピヴェット ★★★★  [ パピとママ映画のblog ]   2014年12月30日 14:29
『アメリ』『ロング・エンゲージメント』などのジャン=ピエール・ジュネが、ライフ・ラーセンの小説「T・S・スピヴェット君 傑作集」を実写化したアドベンチャー。発明家を対象とした権威ある学術賞に輝いた10歳の天才少年が、授賞式出席のためにモンタナからワシントンへ...
17. [☆☆☆★★][映画]「天才スピヴェット」感想  [ 流浪の狂人ブログ〜旅路より〜 ]   2015年02月11日 19:35
 ライフ・ラーセン原作の小説「T.S.スピヴェット君 傑作集」を、「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督が映画化。孤独な天才少年T.S.スピヴェットくんが、モンタナからワシントンD.C.を目指して冒険の旅に出るロードームービー。 ちなみに、本作が長編映画デビュ
18. 天才少年の冒険  [ 笑う社会人の生活 ]   2015年03月22日 01:26
25日のことですが、映画「天才スピヴェット」を鑑賞しました。 3Dにて見ました 天才ゆえに周りと溝がある10歳の少年T・S・スピヴェット、事故で亡くなった弟のこともあり家族にも 理解されずに そんな彼にスミソニアン学術協会から ベアード賞受賞を知らせる電話があり...
19. 天才スピヴェット  [ 銀幕大帝α ]   2015年06月30日 21:44
THE YOUNG AND PRODIGIOUS T.S. SPIVET/L'EXTRAVAGANT VOYAGE DU JEUNE ET PRODIGIEUX T.S. SPIVET 2013年 フランス/カナダ 105分 アドベンチャー/ドラマ 劇場公開(2014/11/15) 監督: ジャン=ピエール・ジュネ 『ミックマック』 原作: ライフ・ラ...
20. 天才スピヴェット  [ いやいやえん ]   2015年08月30日 10:30
【概略】 由緒あるベアード賞を受賞することになった10歳の天才少年、T・S・スピヴェットが、授賞式に出るためにたったひとりでアメリカ横断の旅に出る。 ドラマ どこかふわっふわっとした部分はあるものの、少なくとも「家族の心に空いた穴を埋めるため、10歳の天
21. このこホンマに愛されてる?〜「天才スピヴェット」〜  [ ペパーミントの魔術師 ]   2015年09月10日 18:13
主演のカイル・キャトレットはめっちゃ可愛かった。以上。 ・・・ってそれじゃ感想にならないのでもすこし。(^_^;) 天才だが、それゆえに周囲との溝を感じる10歳の少年T・S・スピヴェット(カイル・キャトレット)。 そんな彼にスミソニアン学術協会から、最も優れ...

この記事へのコメント

1. Posted by ノルウェーまだ〜む   2014年11月20日 13:40
にゃむばななさん☆
いやー泣けましたよねぇ。
にゃむさんのラストシーンのくだりを読んで、思い出してまた泣いちゃいました。
小さい体で、本人にとっては宝物だけど要らないものばかりを詰めた大きなバックの中身をだんだんと捨て去って、最後に大きな愛を詰めて帰ったのが本当に良かったです☆
2. Posted by にゃむばなな   2014年11月20日 23:18
ノルウェーまだ〜むさんへ

そうそう、あの大きなバックにたくさんの家族愛を詰め込んでの帰宅。
カイルくんが本当に小さいだけに、余計に愛が大きく思える作品でしたね。
3. Posted by ジョニーA   2014年11月21日 05:48
キャロとの共同監督だったら、きっと
魅力的なカイルくんの取り合いになっ
ちゃってたでしょうから、今回は単独
の制作で正解だったでしょう〜w
(「抱きしめられて、脇腹が痛いから
キャアーッ!って叫ぶ練習ね♪」とか
言いながら、絶対何回もハグしてるはずw)
シネリーブル神戸は2D上映だったので、
機会があれば3Dでもう一回観てみたい
と思える魅力的な小品でしたー
4. Posted by にゃむばなな   2014年11月22日 11:51
ジョニーAさんへ

脇腹が痛い演技練習はさもありなんですね〜。
ほんま、共同監督じゃなくて良かったですよ。
5. Posted by きさ   2014年11月22日 13:51
ジュネ監督の映画としては割と毒がなく爽やかな印象でした。
ビジュアルの素晴らしさはさすがです。
主人公を演じる子役のカイル・キャトレットがうまいなあ。
一人旅の描写がほのぼのとして良かった。
6. Posted by にゃむばなな   2014年11月23日 14:58
きささんへ

フランスに出戻りして以降、徐々に毒気が薄れてきてますからね。
またダークな世界観も戻ってほしいですけど、この子役の魅力を思うと、こういうほのぼのとした作品もいいですよね。
7. Posted by yukarin   2014年11月24日 23:05
素敵な家族愛のお話でした。
ラストの母親との再会のシーンは泣けましたわ。
カイル・キャトレットくんの演技が良くてこれからが楽しみの俳優さんですね。
8. Posted by にゃむばなな   2014年11月24日 23:40
yukarinさんへ

親の愛が言葉になった時のあの感動。いいですよね〜。
カイル・キャトレットくんの名演技も光ってましたよ。
9. Posted by Caine   2014年12月03日 00:21
久々に見た後心がほっこりでしたよ。皆きっとにっこりして観ていたんじゃないかなぁ。スピヴェットが看板のフリしてるところは、悪いなと思いつつゲラゲラ笑ってしまうほどツボでした(笑)
10. Posted by にゃむばなな   2014年12月04日 14:38
Caineさんへ

あの看板のモノマネは可愛かったですね。
とてもトラウマを背負っている少年には見えませんでしたよ。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
昨日の訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

※オススメです♪※
『KANO~1931海の向こうの甲子園〜』主題歌
ぷろふぃ〜る

にゃむばなな

Twitter始めますた
nyamu_bananaをフォローしましょう
livedoor 天気
ちょいとした広告掲載