2015年01月14日

『トラッシュ!-この街が輝く日まで-』

トラッシュ!恐れるな。事は成された。
イギリス人のスティーブン・ダルドリーが監督を、イギリスを拠点に活動するニュージーランド人のリチャード・カーティスが脚本を担当し、ブラジル人のフェルナンド・メイレレスを製作総指揮として迎えて作り上げたこの作品。
正直な感想としてはいい映画なんですけど、感涙するまでには至らない作品でした。

ほとんど前情報なしに見たこともあって、当初はこの製作メンツからスラム街でラファエル、ガルド、ラットの3人が逞しく生きていく物語なのかと予想していたのですが、OPから程よい緊張感と何やら血生臭い大人の事情が徐々にブラジル社会の変革へと繋がっていくこともあってか、予想していたものとは違っていたことに少々驚かされつつも、無駄なシーンも特にないこの映画を十分楽しませていただきました。

特に『シティ・オブ・ゴッド』を彷彿とさせる素人少年たちの現実を直視しながらも夢見ることは忘れないその逞しさと内面に秘めた輝きは、フェルナンド・メイレレスの影響もあってか、素直に彼ら3人を応援したくなる気持ちにもさせてくれるんですよね。

当初はゴミ拾いの仕事場でもあるゴミ山で偶然拾っただけの財布。警察が必死に探す様子から「巧くやって儲けてやろう」と「裏があるから気を付けないと」という2つの想いが程よいバランスで3人を謎解きへと導いていく緊張感。
しかもその謎解きが収監された活動家、聖書、アニマル・ロト、夜の墓園というルートを辿って市長の椅子を狙うサントス議員の収賄、市民を守らない傲慢な警察の汚職を白日の下に晒す裏帳簿へと繋がっていくと、3人の少年には「正しいことだから」という想いが芽生える面白さ。
そしてサントス議員を裏切って不正を正そうとしたジョゼ・アンジェロという一人の男の愛娘が生きる未来のブラジルへの熱き想いと、ラファエル・ガルド・ラットの3人の「正しいことだから」という想いがリンクしていく気持ち良さ。

なので、当然ここまで感涙出来る要素が揃っていると素直に泣けるはずなんですけど、ただ不思議なのがこの映画を見て泣くことは一切ないどころか、ラストの清々しさで涙腺が緩むようなことさえも一切ないですよね。

その理由を考えると、やはりブラジル人のフェルナンド・メイレレス監督が作り上げた『シティ・オブ・ゴッド』に込めた想いと、外国人であるスティーブン・ダルドリーとリチャード・カーティスが作り上げた本作に込めた想いに微妙でも明確な差があったからではないかと思うのです。

もちろん『シティ・オブ・ゴッド』は泣けるタイプの映画ではありませんが、ただブラジル社会への想いに関しては今作よりも熱いものがあったのは確かなこと。その混沌とする母国の未来に対する危機感や希望などの様々な熱い想いを外国人が描けるかといえば、それは恐らくどこの国でも無理な話だと思うのです。
ですからこの映画をもしフェルナンド・メイレレスやウォルター・サレスのようなブラジル人監督が撮っていたなら、また違った感想になっていたのかも知れませんね。

てな訳でスティーブン・ダルドリーとリチャード・カーティスとフェルナンド・メイレレスのコミュニケーション不足を何となく感じた映画でした。

深夜らじお@の映画館は最近べっぴんさんとのコミュニケーションが不足しています。

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この記事へのコメント

1. Posted by ノルウェーまだ〜む   2015年01月15日 17:50
にゃむばななさん☆
子供たちがなんともキラキラと眩しく美しい映画でした。
この手の映画が好きなのでしっかり泣けちゃいましたょ〜〜
「シティーオブゴッド」は社会派の映画で、私も公開当初は二の足を踏む恐ろしさを秘めていたけれど、その点この映画はエンタメ性もあるので多くの人に観てもらえそうですよね☆
2. Posted by YUKKO   2015年01月16日 22:13
私は充分楽しみました。子供3人が飛んだり走ったりする疾走感がたまらなかったです。悪い奴が悪いってのがすっきりでした。今年もよろしくお願いします。
3. Posted by にゃむばなな   2015年01月16日 23:19
ノルウェーまだ〜むさんへ

個人的には楽しめたことは楽しめたのですが、でもこの監督と脚本家でこの程度か〜という期待した程でもなかった感が残ったのも事実。
やっぱり期待し過ぎはダメですね。
4. Posted by にゃむばなな   2015年01月16日 23:24
YUKKOさんへ

勧善懲悪で分かり易いストーリーなので素直に楽しめる作品であるのは確かなんですけど、やっぱり外国人が他国の政治に口を出すようなものと思えたしまったことが個人的には引っ掛かったのかも知れませんね。
5. Posted by ノラネコ   2015年01月20日 22:58
これはリアルなリオを描く作品というよりも、リオをモチーフにしたファンタジー。
寓話なのだと思います。
そういう意味では軽めですよね。
メイレレスも製作チームに加わってるので、リアリティに関しては担保してるんでしょうけど、「シティ・オブ・ゴッド」と対をなす「シティ・オブ・エンジェル」なんだろうなあと。
6. Posted by にゃむばなな   2015年01月20日 23:22
ノラネコさんへ

何とも分かり易い説明をいただき、ありがとうございます。
自分とみなさんの温度差の原因がよく分かりましたよ。
そうか、寓話と見ずにリアルを追いかけてしまうと「何か違う」になってしまうのは当然ですわね。
7. Posted by きさ   2015年01月31日 09:28
評判いいので見ました。
警察組織が主人公らの命を狙うあたりははらはらさせられます。
展開が主人公たちにうまく行き過ぎるという所はありますが、話の運びがうまいので見せますね。
オーディションで選ばれた主人公らの3人の少年がいいです。
原作では舞台は架空の街なんだそうですね。
8. Posted by にゃむばなな   2015年02月02日 23:52
きささんへ

原作では架空の街を舞台にしているんですね。
個人的にはその方が良かったかも。
変にブラジルというのを意識してしまったので。
9. Posted by latifa   2015年06月09日 14:05
にゃむばななさん、こんにちは!
面白かったのですが、やっぱり、かつて見た『シティ・オブ・ゴッド』が鮮烈過ぎて、本作が若干かすんで見えちゃった感じでした。

>その理由を考えると、やはりブラジル人のフェルナンド・メイレレス監督が作り上げた『シティ・オブ・ゴッド』に込めた想いと、外国人であるスティーブン・ダルドリーとリチャード・カーティスが作り上げた本作に込めた想いに微妙でも明確な差があったからではないかと思うのです。

確かに!!

>本作をフェルナンド・メイレレスやウォルター・サレスのようなブラジル人監督が撮っていたなら

そうですね。興味あります。どんな風だったかしら・・・。
10. Posted by にゃむばなな   2015年06月09日 23:17
latifaさんへ

映画は出逢った時のタイミングとよく言いますが、この作品も『シティ・オブ・ゴッド』の前に見ることが出来ていたら、感想もまた変わっていたでしょうね。

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