2015年01月28日

『劇場版 神戸在住』

神戸在住海の青、山の緑、心の傷。それが「きれいな街に戻った」神戸。
阪神・淡路大震災20周年及びサンテレビジョン開局45周年記念作として製作され、2週間限定モーニングショーのみで公開されたこの作品。
原作があるとはいえ、兵庫を放送エリアとするサンテレビだからこそ、本当に何を後世に残すべきかをしっかりと描いた作品でした。

1995年1月17日火曜日、午前5時46分。それはあの地震を経験した者にとっては生涯忘れることのない時間。でも震災後に生まれた世代にとっては映像や写真で見るだけの「ぶっちゃけイメージがわかん」史実。

震災2日後に東京で生まれた内気な女子大生・辰木桂にとっても、震災ボランティアカップルの娘として生まれたしっかり者の金城和歌子にとっても、姫路出身でモデルでも活躍するオシャレさんの泉海洋子にとっても、震災後の経営破綻で夜逃げ2回・昼逃げ2回でもへこたれず明るい鈴木タカ美にとっても、頭の中ではあの地震はただの史実。

ただ今現在神戸で美術を勉強している以上、どこかで出会ってしまう震災の傷跡。東遊園地へ行けば追悼の灯が燃え続けている。その周辺に震災前まで住んでいたという「おはぎ」のおばさんとも出会う。ギャラリーへ行けば少しの揺れで怖がる女性もいる。
だからこそ心の中では決して「ただの史実」ではないと分かっている。ただそれでも実感が湧かない。なぜならあの震災を経験していないのだから。

そんな時に桂が訪れた、自分が美術の道を歩もうと思ったきっかけをくれた車椅子のイラストレーター日和洋次。
個人的にはこの日和洋次という人物をこの映画は震災を経験した神戸の象徴として描いているように思えたんですよね。

震災から20年経った今の神戸は一見すれば震災の爪痕を探すのが困難な街。だからこそ「きれいな街」だと言われる。
しかしこの街で生きる人々の心の中には震災の傷跡が今も残っている。行くところに行けばそこにも震災の傷跡は残っている。明石海峡大橋の全長3911mという数字にも震災の傷跡は残っている。

でもそれは普通に生きている人々と同じ。誰しも心や過去に傷跡はあれど、それを表には出さない。オシャレして、明るく振る舞って、精力的に生きて、自分を他人と比べるようなことは控えて自分らしさを追求しては他人から好かれる人間になろうと努力している。
そんな風に毎日を生きる、どこの街にでもいる人と同じ。

だからこそ震災の傷跡は大切な人を亡くした時の心の痛みと同じ。大切な人を傷つけてしまった時の心の苦しみと同じ。大切な人を何もしてあげられなかった心の重荷と同じ。そして大切な人に寄り添い、守ってあげたいと思う心の温かさと同じ。

震災は大切な人を奪う。大切な人との時間も奪う。
でも大切な人と過ごした場所は残す。大切な人との思い出も残す。
だからこそ残された者は苦しむ。しかし時間を掛けてでも必ず立ち直る。

私たち震災経験者が後世に伝えていくべきこと。それは経験者にしか分からない「史実」や「恐怖」ではない。未経験者にも実感できる「心の痛み」と「復興した現在」である。

神戸はなぜあの震災から復興出来たのか。
政令指定都市として優遇されたから。ヘコタレない関西の街だから。オリックス・ブルーウェーブが優勝してくれたから。いろんな理由があったと思います。
でも一番の理由は「神戸を愛する人がたくさんいたから」。そんな想いが地味ながらも内の人間が外の視点でしっかりと震災後の神戸の街を見続けたこの秀作には詰まっているように思えましたよ。

深夜らじお@の映画館はこういう作品こそ後世に残すべき映画だと思います。

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