2015年05月09日

『ブラックハット』

ブラックハットサイバーテロを描くことは映画界では鬼門なのか。
やはり2次元世界のサイバーテロと3次元世界の銃撃テロを並行して描くことは、例えベテラン監督であっても不可能なのだろうか。
マイケル・マン監督も72歳。ご自身で理解出来ていないことを映画にしても失敗するのは目に見えていたはず。中国市場を意識するならもっとマシな作品を作らねば。

香港の原発がサイバーテロにより水蒸気爆発。先物市場でもサイバーテロにより大豆が急騰。どこにいるのかも分からない、目的も分からない犯人に対して中国当局とFBIの合同チームが切り札として選んだのは、チェン・ダーワイ少尉の元ルームメイトで天才ハッカーにして現在服役中のニコラス・ハサウェイ。
そう、この映画は『ジャッカル』などでお馴染みの毒を以て毒を制すタイプ。

ところが72歳のおじいちゃんでもあるマイケル・マン監督にはハサウェイやチェン少尉がやっていることはチンプンカンプン。だから描き方も「何かアクセスしてます」と「海外のサーバー経由」と「あとは現地へ向かうしかない」の3点だけ。
ハサウェイがサイバーテロに使われたソフトの開発者でもあるということで、このソフトから何を読み取り、どう対処するのかの説明も一切なし。

それどころかチェン少尉の妹にして有能なプログラマーのチェン・リエンにはプログラマーとしての活躍の場は与えず、なぜか急にハサウェイと男女の仲になっては、その恋もいつの間にか愛へと昇華している始末。

加えて香港でのテロ組織との銃撃戦でもなぜかハサウェイがチェン少尉と共にパソコンも持たずに現場に急行して銃撃戦に参加するわ、都合のいいタイミングで立ち入り禁止になっていた原発のコントロールルームに入れるようになるわ、NSAに簡単にハッキングしてコード解読ソフトを不正利用するもすぐにバレるわと、何をどう面白くしたいのか分からない展開も盛り沢山。

特に驚いたのはずっと一緒に行動を共にしていたチェン少尉がまさかまさかのロケット弾で車諸共爆死するだけでなく、助けに来たハサウェイのお目付け役でもあるバレットも9.11で夫を亡くしたという話も深く掘り下げないまま銃撃戦で散る始末。

もうここまで来れば後は野となれ山となれ。どこで知り合ったのかも分からない裏社会の人々に犯罪者用発信機を捨ててもらうわ、小型ジェット機を用意してもらうわのご都合主義の連続。
しかもマレーシアに着けばポンプ場を爆破して錫市場を高騰させるのが犯人の目的だと!?そのための予行演習が同じポンプを使っている原発の爆破だと!?真犯人も政治的意図は全くなくただ金のために傭兵まで雇うただのデブだと!?何だこの大いなる肩透かしは!?

さらにジャカルタで真犯人と対決だ!というのも、生き残ったのはハサウェイとリエンというハッカー2人だけなのに、ハッキングでは戦わないのもどやねん!?
代わりにハサウェイが腹に雑誌を巻き付けるなど体中にあれこれ仕込みをして傭兵や真犯人と対決するのも祭りで賑わう広場って…。勝手に銃撃戦を起こして多くのインドネシア人を巻き込んで、それで真犯人を殺したら話も終わり。最後は真犯人から奪った大豆急騰で儲けた大金でリエンと一緒にどこかへ偽造パスポートで行っちゃいますというのも何だかなぁ〜ですもん。

結局ハサウェイとチェン少尉のアメリカと中国、元ルームメイトとはいえ服役中ハッカーとエリート軍人という立場が異なる2人の男の対決と友情を描くのではなく、筋肉むきむきハッカーが元ルームメイトの妹とネンゴロになって頭脳ではなく筋肉で事件を自分勝手に解決しているだけの、本当にマイケル・マン監督の魅力が微塵も感じられないのが残念でならないんですよね。

中国市場を意識するのは時代の流れなら、サイバーテロを分かり易く描くのも時代の流れでは必要ではないでしょうか。
『ダイ・ハード4.0』の時も思いましたが、やはり製作側がもっとサイバーテロとその対処法についてどう観客に見せていくのか、もっと考えるべきですよ。
そしてマイケル・マンを始めとするおじいちゃん監督たちはこの手の作品には手を出さないでいただきたい!

深夜らじお@の映画館はマイケル・マン監督の復活を望みます。

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1. ブラックハット  [ ハリウッド映画 LOVE ]   2015年05月10日 11:26

この記事へのコメント

1. Posted by 隆   2015年05月10日 01:27
サイバーテロは、スパイの世界では技術革新の賜物なので、インターネットは80年代には軍事利用されていたようですが、それから90年を跨ぐ形での民間への大量普及、何か民間への機密開示に類するリスクもある事から、やり過ぎという感じもないですかね。

つまり、インターネットは機密のコアは国防のリミット内で保守しておいて、実際には、監視体制の賜物で、そうした統制の思惑があってのものだった、と思うのですよ。

グローバリゼーションの試金石でもあったかも知れませんし、いずれにしても、民間セクターのプレゼンス強化に繋がる事は見えていた、と思うので、アメリカの開拓精神の具現だとすれば、分かりますが。

だから、サイバーテロとは、題材として、アクション映画の領域を出られないと、ネットワークを通じた電子戦ではなくなってしまいますね。
2. Posted by えふ   2015年05月10日 11:25
ムダに長くてつまらなかったです(汗
サイバーテロとしての緊張感もなく、、、
ストーリーも粗くて。
全世界が窮地においちいるすごい犯罪なのかとおもいきや、
自己主義的な目的だし。。。
3. Posted by にゃむばなな   2015年05月10日 22:51
隆さんへ

アクション映画としてはサイバ−テロは不向き。
これに製作会社がいつ気付いてくれるのでしょうかね。
4. Posted by にゃむばなな   2015年05月10日 22:51
えふさんへ

期待を膨らませておいてのこの展開ですもんね。
そりゃ、アメリカでコケるのも納得ですわ。

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