2015年06月19日

『グローリー/明日への行進』

グローリーいつの日か 主の栄光が訪れるとき その輝きは我らのものとなる。
アメリカ市民の行進は誰にも止められない。例え合衆国大統領やアラバマ州知事であろうと、肌の色や宗教に関係なく、アメリカ市民の明日を求める行進は誰にも止められない。
今改めて耳を傾けるべきマーティン・ルーサー・キングJr.牧師の言葉が心に響く映画がここにある。

1992年にはスパイク・リー監督により『マルコムX』が既に映画化されているにも関わらず、2014年まで意外にも映画化されていなかったマーティン・ルーサー・キングJr.牧師。
アメリカの現代史を語るうえでは、ある意味ジョン・フランクリン・ケネディ大統領よりも重要な人物であるはずなのに。

ノーベル平和賞を受賞し、国内外からも重要人物として注目され、ジョンソン大統領とも直接交渉する36歳のキング牧師。求めるものはただ一つ。肌の色や宗教に関係なく、等しくアメリカ市民として扱われることだけ。

ただ南部出身のジョンソン大統領はホワイトハウス内でも建国の父の肖像画の前でキング牧師に言う。他にもすべきことがあるのだと。
差別主義者のアラバマ州知事ジョージ・ウォレスはただ権利を求めて行進をする黒人を騒ぎを起こす者と蔑む。そして警察や州兵を用いて催涙弾や警棒、ムチなどで暴力をふるい、殺人が起きても白人は一切裁かれない。

合衆国憲法が保証している権利を認めてほしい。そのために非暴力の運動として行進をしているだけ。マルコムXとは違い、報復暴力は一切許さない。
なのに、教会で少女たちが爆破により命を落とす。祖父に「死ぬまでに投票に行けるよ」と話してくれた若者が州兵の銃弾により命を落とす。有権者登録を何度も不当に断られた女性が警察により殴打される。7000万人がTV中継を見ている状況下でも多くの仲間が権力の暴力により血を流す。

そんな人間としての尊厳が奪われている現状に、アメリカ市民としての権利が享受されない現実に、全米から聖職者たちが、白人たちが、黒人たちが、キング牧師が決戦の街として選んだセルマに集まる。

多くの仲間が命を落とした。多くの仲間がこれから命を落とすかも知れない。未来ある若者の命が、数々の苦難に耐えてきた先輩たちの命が、そして家族の命が、自分の決断と行動に委ねられている。
そんな状況下で一人の人間として悩み続けるキング牧師が放つ数々の言葉。そこには悩む己への叱咤激励も含まれた強い言葉が並ぶ。

ただ起きた事実を並べ、ただ一人の人間として感じたことを並べ、そして一人のアメリカ市民としてすべきことを並べた言葉。
それはどんなに悩んでも決して揺るがない信念を持つ者にしか語れない言葉。

まるでマーティン・ルーサー・キングJr.牧師のようなデビッド・オイェロウォが公民権法制定を成し遂げた国会議事堂の前で演説する。

栄光あれ、ハレルヤ。

これは決して歴史の勉強映画ではない。人として当然の権利を求めた一人の男を描いた崇高な作品である。
アカデミー主題歌賞に輝いたコモンとジョン・レジェンドに「Glory」という名曲も、そんな崇高な想いを受け継いだからこそ生まれてきたものなのでしょう。

深夜らじお@の映画館は現在36歳。同じ年齢の男としてマーティン・ルーサー・キングJr.牧師の言葉の素晴らしさに感動しております。

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この記事へのコメント

1. Posted by mig   2015年06月30日 10:53
こんにちはー☆
キング牧師のことは特に知らなかったので過去の史実としてもすごく興味深く観られました。
にゃむばななさんはまだ30代だったんですね。キング牧師がそんなに若かった事も驚き。
ひとつの執念と強い意思によって、いくらでも未来は変わるという証明ですね。
2. Posted by ノラネコ   2015年06月30日 22:52
幕末の志士たちと同じですよね。
歴史を大きく変革しようと先頭に立つ人たちは、たいがい抵抗勢力に殺されちゃう。
もしもキング牧師が生きていたら何をなし遂げたんだろう。
もしかしたら、アメリカ史上最初の黒人大統領はもっと速く誕生していたかもしれませんね。
3. Posted by にゃむばなな   2015年06月30日 23:14
migさんへ

実は私も似たようなもので、キング牧師ってもう少し中年の方だと思っていたんですよ。
でも自分と同じ年齢だと知って驚きましたね。
執念と強い意志。これを30代で持つのは凄いことですよ。
4. Posted by にゃむばなな   2015年06月30日 23:16
ノラネコさんへ

ほんと、歴史は古今東西関係なく繰り返されているんですよね。
もしそんな不幸な繰り返しがなければ、仰る通り、アメリカ初の黒人大統領は20世紀のうちに誕生していたかも知れませんね。

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