2015年11月25日

『ラスト・ナイツ』

ラスト・ナイツ騎士道で武士道を描く。これが世界を知る日本の魂。
日本映画界のしくじり先生こと紀里谷和明監督の実力がいよいよ発揮される時が近づいてきたのではないでしょうか。
もはやマスターベーションな映画を撮っていたのは遥か昔。モーガン・フリーマン殿下の優しき言葉に導かれた紀里谷和明監督の次回作が楽しみになってきましたよ。

ご自分の趣味嗜好ばかりを優先したがために日本映画界から嫌われ者となった紀里谷和明監督を救ったモーガン・フリーマン殿下の「LISTEN:他人の話を聞きなさい」という言葉がここまで作風を変えるのかと思うほど、紀里谷監督のいい部分が凄く目立っていたこの作品。

「忠臣蔵」をただのサムライ・リベンジ・ストーリーとして描いただけの『47RONIN』とは違い、騎士道と武士道の通ずる部分を核にしながら、随所に討ち入り時期と同じく静かに舞う雪、矢頭右衛門七教兼と同じく若さゆえにメンバー入りを躊躇われたガブリエル、犬公方により抱き犬として飼育された狆の登場、ソードアクションではなく殺陣として描くなど、「忠臣蔵」や元禄時代を学んだ日本人なら気付く細やかな演出も見事なこと。

そして出演者やスタッフにも「忠臣蔵」の真意を理解させたのか、討ち入りを復讐劇ではなく美徳を貫く男たちの美しき行為として描いているので、やはり自然とクライマックスの討ち入りシーンは興奮度も上がるもの。

ただ世界に「忠臣蔵」の魂を理解させるために噛み砕いて描いたことが逆に薄っぺらく感じられたりしたのは残念なところ。まぁ脚本家がカナダ人なので仕方ないのかも知れませんし、撮影や衣装なども含め全体的にスタッフも俳優陣ほどの実力者を揃えることが出来なかった弱さがあちらこちらで見えたのも、紀里谷監督の頑張りが見えるだけにちょっと残念でもありましたね。

それでもアン・ソンギ先生の静かな存在感もさることながら、クリフ・カーティスの印象深い副官ぶりといい、アクセル・ヘニーという新たなる悪役俳優の魅力といい、そしてクライヴ・オーウェンとの渋さ対決でも堂々と渡り歩いた伊原剛志さんの魅力といい、これまでの紀里谷和明監督作品にはなかった俳優陣の魅力をスクリーンに映し出すという紀里谷和明という映画監督の魅力もこの作品には詰まっていることが楽しいこと。

恐らくアメリカでアートを学んだものの、それが日本映画界批判に繋がってしまい、しくじり先生として辛い時期をも経験した紀里谷監督は、「忠臣蔵」のような世界にも通ずる魂を持った日本の作品を、元ネタを知らない世界の人々にも理解してもらえるようにアレンジする作品を撮った方が成功するのではないかと思うのです。

日本の魂を知る者にしか描けない日本の物語。
それを世界に発信し理解させることは世界を知っている者にしか出来ない。

ハリウッドでの評価が低かろうとも紀里谷監督はこれから大いに化ける可能性のある監督だと信じたい。
モーガン・フリーマン殿下もそう感じたからこそ、紀里谷監督に優しき言葉を投げ掛けたのではないでしょうか。

深夜らじお@の映画館は紀里谷和明監督の未来に幸あれと願います。

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この記事へのコメント

1. Posted by BROOK   2015年11月26日 06:24
紀里谷監督…やれば出来る子だったんですね♪
今作は前2作よりも遥かに良い出来だったと思います。
もちろん同じ忠臣蔵を描いた「47RONIN」よりも。

こうなると、紀里谷監督の次回作が非常に気になりますね。
きっともう失敗はしないはず。
2. Posted by かのん   2015年11月26日 08:53
私の中では紀里谷監督のしくじり一応は『GOEMON』で帳消しにはなっていましたが、またやらかすんじゃないかと不安があったのも事実です。やれば出来る子YDKなんですよね(笑)
3. Posted by ノルウェーまだ〜む   2015年11月27日 16:41
にゃむさん☆
もう一人満足ではなく、テクもありの相手を満足させたいと思う「気持ち」もあるという、一皮むけた監督になりましたね。
苦労してきただけのことはあって、監督の良い所が存分に発揮できた作品でした。
4. Posted by にゃむばなな   2015年11月27日 23:54
BROOKさんへ

元々才能のある方だけに、方向性さえ間違わなければというのが今作には出てましたよね。
ほんと、次回作は凄く楽しみです。
5. Posted by にゃむばなな   2015年11月27日 23:55
かのんさんへ

確かにYDKですね(笑)
この作品を見る限りでは、またやらかすことはないと信じたいですね。
6. Posted by にゃむばなな   2015年11月27日 23:58
ノルウェーまだ〜むさんへ

自分の実力をどう見せるかも大事ですが、映画も所詮は興行ですからね。
そこをしっかり押さえれば、紀里谷監督の実力ならいい作品を作り上げることが出来るということを世界に知らしめたのではないでしょうか。
7. Posted by yukarin   2015年11月30日 23:55
こんばんは。
本当に紀里谷監督の実力が発揮された作品でしたね。
日本より海外で活躍するほうが合ってるように思います。
忠臣蔵を西洋風にアレンジしても違和感なく観られました。次回作が楽しみですね。
8. Posted by にゃむばなな   2015年12月01日 23:01
yukarinさんへ

日本の物語を海外にも分かるようにという視点を、物語の舞台を置き換えるに変換したところが紀里谷監督の強みなんでしょうね。
本当に次回作も楽しみになりましたよ。

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